コンパクトPC を第3の選択肢に– Intel NUC × arkhiveでビジネスシーンを拡大

CNET Japan

ビジネスシーンを筆頭にコンパクトPCの存在感が急上昇

 言わずもがなデスクトップPCは高性能で拡張性に優れている一方、ある程度の設置スペースが求められる。現在のテレワーク時代では、自宅を中心に業務を行う機会も多いため、新たにデスクトップPCを導入しようにも、作業スペースの問題からあきらめる方もいるだろう。さらには、デスクトップPCは高性能がゆえに、価格が高くなってしまうこともある。また、業務内容や用途によっては、そこまで高いスペックを要求しない場面もあるため、逆に性能を持て余してしまうケースもある。

 もちろん、ノートPCという選択肢もあるが、メモリーやストレージをアップグレードできない製品もあり、液晶ディスプレイが故障すると使用できなくなってしまうことも。また、自分好みのキーボードやマウスなどのデバイス、ディスプレイを使って業務を行いたいというニーズもあることだろう。

 これらのニーズを満たすPCとして注目を集めているのが、手のひらサイズに収まる「コンパクトPC」だ。デスクトップPCと同様、ディスプレイに接続して使用するものであり、ノートPCよりも小さく、設置スペースも少なくて済むのが特徴。また、持ち運びも簡単にでき、価格も手頃なものが多く登場している。

 性能面に関しても、デスクトップPCには拡張性やスペックでやや劣るが、Officeソフトをストレスなく動かしたり、ある程度以上の性能が必要な作業を行ったりする場合など、ビジネスシーンでの利用に十分耐えられるマシンスペックを持っている。まさにコンパクトPCはテレワーク時代に適したPCの新たな選択肢と言えよう。

さまざまなビジネスニーズを満たすarkhive BUSINESS Alternateシリーズ

 ここからは、ビジネスシーンに適したコンパクトPCを提供する株式会社アーク(以下、アーク)のオリジナルモデル「arkhive BUSINESS Alternate」について解説する。

 アークは、東京・秋葉原に老舗(創業21年)のパソコンショップ アークを展開し、店舗およびECサイトにてオリジナルモデルの「arkhive」シリーズをはじめ、PCパーツや周辺機器の販売を手がけている。アークが提供するarkhiveシリーズには、ビジネスモデル、ゲーミングモデル、クリエイターモデル、サーバーモデルなど各種用途に応じたパーツで構成された製品がラインアップされており、さらにそこから購入者の希望に沿ったカスタマイズも可能となっている。その中で、ビジネス用途に適しているのが「arkhive BUSINESS Alternate」である。

 arkhive BUSINESS Alternateシリーズは、Intelの「NUC」を採用した省スペースかつ低消費電力のPCシリーズだ。IntelのNUCは「Next Unit of Computing」の略称であり、メインプロセッサーが直付けされた小型マザーボードを中心に構成されるコンピューターシステム。Intelが2013年に仕様を発表して以来、PCのフォームファクタの1つとして広く認知され、ビジネスをはじめとしてさまざまな場面で採用されている。

 arkhive BUSINESS Alternateは「Intel NUC 11 Performance kit」および「Intel NUC 10 Performance kit」を採用。Intel NUC 11 Performance kitは第11世代のIntel Coreプロセッサー、Intel NUC 10 Performance kitは第10世代のIntel Coreプロセッサーを搭載。ほかにThunderbolt 3兼用のUSB3.1 Type-Cポートを内蔵し、メモリーはDDR4-3200に対応、ネットワーク機能としてWi-Fi 6および2.5Gb Ethernetを両搭載。さらにストレージはM.2スロットSSDとSATA 6Gb/sに対応した2.5インチSSDにも両対応するなど、高いパフォーマンスを誇る仕様となっている。


まさに手のひらサイズ。店舗でも4K表示のデジタルサイネージに活用中

 最大の特徴はそのサイズ。4インチ四方のマザーボードやメモリー、ストレージなどは専用の小型筐体にキッチリと収納され、幅117×奥行き112×高さ51mmと非常にコンパクト。ACアダプターによる駆動のため電源を内蔵せず、そのぶん本体重量も約1kg程度と軽量。そのため、オフィスデスクやオフィスの受付エリアなど、スペースの限られた場面で重宝され、自宅のデスクなどにも置くことができる。また、VESA規格に対応した付属マウンターにより、液晶ディスプレイに取り付けも容易だ。

用途に合わせた複数の即納モデルを用意

 arkhive BUSINESS Alternateシリーズでは、Intel NUC 10/11 Performance kitをベースにしてスペックの異なる複数の「即納モデル」が用意されている。この即納モデルは、BTOの中でも特に人気高いカスタマイズやOSのインストールが予め施されているモデルであり、電源を投入してすぐに利用開始できるのが特徴だ。

 また購入時には、本体価格の10%の料金で標準の1年保証から3年保証へ延長することが可能。保証期間中は何度も修理が可能であり、保証限度額にも上限はなく、追加料金が一切発生しない仕組みとなっている。

 アークは法人向けに自社製品を販売するチャネルを有していて、各種法人や官公庁、大学や教育機関といった顧客への納入実績がある。法人向けのサービスとして、請求書払いによる機材納入や、複数台のPC納入における個別のBTOカスタムなど柔軟な対応を行っている。

業務効率化の実現と、保護者と職員をつなぐ架け橋にコンパクトPCを活用

 ここでアークからNUCパソコンを購入したことをきっかけに、業務効率化と簡易的なデジタルサイネージの導入を実現した、熊本市にある学校法人 北部学園が運営するほくぶようちえんの事例を紹介しよう。

 ほくぶようちえんは園児数200人を数える規模の認定こども園である。現役プログラマーでもある園長 清田史和氏が理事長を務め、ほくぶようちえん以外にもしすいようちえんなども運営している。

 そんな同園では、熊本の自然を活かしたオーガニックな教育とデジタル要素を意欲的に取り込んだ、リアルとデジタルの共存を目指している。デジタルの取り組みとして、保育系のクラウドサービスを使って保護者と連絡を取ったり、各職員にスマホを配布して園児の様子を撮影し、日々の保育記録をクラウドで管理・共有したりと、リアルでの教育を大切にしつつも、デジタルの利便性を絶妙な具合で取り入れている。

 そんな同園では従来、事務職員はノートPCおよび一般的なデスクトップPCを業務に利用してきた。当時、ノートPCのキーボードの打鍵感やテンキーの有無など、日常業務をこなすにあたって若干のストレスに感じる部分があった。デスクトップPCについては、そのサイズ感はもちろん、事務机の下に筐体を置いていたため、ホコリによって故障したり、電源に問題が起こったりすることもあったという。

 これらの課題を解消すべく同園は、PCのリプレースをきっかけにarkhive BUSINESS Alternateを6台導入。選定の理由について清田氏は以下のように述べる。

 「サイズ感や使い勝手における職員たちからの不満もさることながら、当園の事務所業務はそれほどマシンパワーを必要としないため、必要十分のスペックを持ったコンパクトなPCを導入したいと思っておりました。また、以前一体型のPCを使用したこともあるのですが、数年使用してスペックが陳腐化したとき、ディスプレイごと交換する必要があるのはコストパフォーマンスが悪いと感じました。これらの問題を解消するために、コンパクトPCであるarkhive BUSINESS Alternateの導入を決めました」(清田氏)

 arkhive BUSINESS Alternateの導入により、省スペース化はもちろんのこと、好きなキーボードやディスプレイを使えるようになったことで、作業時のストレスが緩和し、業務の効率化も実現。筐体自体がコンパクトなため、職員の入れ替わりにおける事務所レイアウトの変更にも柔軟に対応できるようになった。


園児の様子を気軽に知れるようになったと保護者からも好評だ

 特筆すべきは、arkhive BUSINESS Alternateがコロナ禍での保護者とのコミュニケーションにも大きな効果を発揮している点だ。

 「接触制限が敷かれたコロナ禍によって、職員と保護者との会話が減ったと感じています。また、ちょうどその頃、園内の運動会や遠足、体験学習時などのイベントで撮影した写真をデジタルで共有する手段がないか検討していました。そこで街中で頻繁に見かけるようになったデジタルサイネージから着想を得て、登園する園児や保護者が通る玄関付近に小型ディスプレイを設置し、arkhive BUSINESS Alternateに接続することにしました。そのディスプレイには、定期的に撮影している園児の写真をフォトアルバム形式で表示し、簡易的なデジタルサイネージとして活用してもらうことにしました。これにより、保護者に園内の活動での写真を共有することで、コミュニケーションの活性化を図ろうとしています」(清田氏)

 arkhive BUSINESS AlternateであればPowerPointなどと組み合わせることで、動きのあるデジタルサイネージが低コストで簡単に再現可能。また、Teamsアカウントなどを活用すれば管理から表示までクラウドベースでも簡単にできる点も評価しているとのこと。

 現時点では試験運用であり写真の表示のみだが、いずれはタッチパネル搭載のディスプレイを使って写真の任意切り替えができたり、写真をダウンロードできたりするような機能を実装していきたいと考えているという。

デスクトップPC、ノートPCに次ぐ第3の選択肢に

 このようにarkhive BUSINESS Alternateは、一般的なデスクトップPCに劣らないパワーをコンパクトな筐体に詰め込んでいるため、アイディア次第でさまざまなビジネスシーンをサポート可能だ。

 現在NUC製品の高性能化が加速しており、グラフィック機能も進化が見込まれている。arkhive BUSINESS AlternateのようなNUC製品は、4K表示や3画面同時出力のような使い方もできるため、一般的に使用する分にはCPU内蔵のGPUでも十分である。しかし、本格的な3DゲームのプレイやAR/VRのグラフィック処理には現状適していない。

 ただ、Intelは数年前からGPU企業の買収などを行ない、「Arc」ブランドで独自のディスクリートGPUの開発を進めているほか、CPU内蔵のGPU機能についても強化を図っているとされている。すでに強力な内蔵GPU「Iris Xe」を搭載したCPUも登場しているし、いずれすべての内蔵GPUの処理能力が格段に向上する可能性は高い。

 このような進歩により、NUCがデスクトップPC、ノートPCに次ぐ第3の選択肢になる日も近いだろう。スペースの問題でデスクトップPCの導入をあきらめた方や、新しい使い方を検討している方は、コンパクトPCの導入を検討してみてほしい。

Source