IIJ、複数の携帯電話網を切り替えて利用できる「マルチプロファイルSIM」を開発 既存端末のハードウェアを変更せずにマルチキャリア対応が可能に

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 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は10月25日、1枚のSIMカードで複数の携帯電話網に接続可能な「マルチプロファイルSIM」を開発したと発表した。好きなタイミングで携帯電話網を切り替えて利用でき、障害時などにも別の携帯電話網に切り替えて通信を継続可能となる。

 マルチプロファイルSIMは、1枚のSIMカードの中に、IIJに加えて別の通信事業者のプロファイルも保持したもの。通信時に利用するプロファイルは、端末から自由に切り替えられる仕組みになっている。

 近年に発生した携帯電話網の障害では、全国的かつ長時間に及ぶ通信の混乱が発生した。それに伴い、IoT機器や電子決済端末など社会インフラとなっているシステムにおいては、障害時でも通信を確保する技術の活用が求められていると、同社では開発の背景を説明する。マルチプロファイルSIMでは、通信障害が起こった際に、サーバーとの通信不能を検知した機器がSIMカード内のプロファイルを切り替え、異なる携帯電話網に接続することで通信を確保する。これによって、従来よりも可用性の向上が見込まれるとしている。

マルチプロファイルSIMの動作イメージ

 異なる通信事業者のSIMを複数挿入し、切り替えて接続できる「デュアルSIM」に対応した機器もあるが、設計の変更や部品のコスト、基板上の実装面積といった問題が生じる。マルチプロファイルSIMでは既存の機器においてハードウェアの変更を必要とせず、端末に搭載されたプログラムから簡易なコマンドを送るだけでプロファイルの切り替えが可能なため、ソフトウェアの小規模な改修で既存端末を複数の携帯電話網に対応させられるとしている。

 ローミングに対する優位性としては、ローミング事業者が運用する加入者データベースが正常に作動しなくなる障害が発生した場合でも、マルチプロファイルSIMは各プロファイルの加入者データベースが独立しているため、片方に障害が発生しても、もう片方に切り替えて通信を継続できることを挙げている。

ローミングとマルチプロファイルの比較イメージ

 現在、同社はマルチプロファイルSIMのPoC(概念実証)を進めており、今後は同社の法人向けMVNO通信サービス「IIJモバイルサービス」活用ソリューションとして提供する予定としている。

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マルチプロファイルSIMの解説動画

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