米国の 結婚ブーム でファッションブランドがブライダルに初挑戦:斬新さ、サイズなど新しい需要が高まる

DIGIDAY

10月ニューヨークで開催されたブライダルファッションウィークでは、初のブライダルコレクションがいくつか発表された。既存のファッションブランドでブライダルを初めて発表したところには、ラポント(LaPointe)とエロクイ(Eloquii)がある。この2ブランドは、ラシェニール(La Chenille)のような新規ブライダルブランドとともに初のコレクションを披露した。

米国のブライダル市場の現状

業界アナリストのテクナビオ(Technavio)によると、ブライダル市場は今年約4%の成長を見せ、米国の市場規模は270億ドル(約4兆円)、世界では610億ドル(約9.2兆円)。一方、米国で行われている結婚式の数は増え続けており、今年は260万件の結婚式が予想されている。これは2020年から62%の増加である。

ブランドはデータが顧客とのインタラクションに影響しているのを目にしている。エロクイのCEOであるマライア・チェイス氏は、昨年同社のサイトで「白いドレス」がもっとも検索された用語のひとつになって以来、ブライダルファッションに対する需要の高まりを追跡していると述べている。

サイズ14以上を展開するエロクイ

2018年に1億ドル(約149億円)でウォルマート(Walmart)に買収されたエロクイは、サイズ14以上の女性を対象としている。しかし、チェイス氏によると、ブライダル市場ではサイズ14以上はあまり品揃えがないそうだ。

「ウェディング市場には、高品質でサイズが14以上のブライダルスタイルを手頃な価格で、オンラインで提供しているブランドはほとんどない。我々はその現状を変えたい」とチェイス氏。「また、(フォーカスグループで)我々の顧客からは、花嫁は結婚式当日の素晴らしい外見だけではなく、ウェディング関連の全ワードローブが必要なのだという意見が声高に主張された」。

チェイス氏によると、エロクイはブライダル用デザインのために既存プロセスを変更する必要はなかったという。ブライダルは同社が全衣服に使っているものと同じフィットモデルでデザインされカットされている。だが、エロクイはベルト、ガーター、グローブなどの新しいアクセサリーを幅広いサイズ展開でコレクションに取り入れた。これらの商品はコレクションのほかの部分と同じフィットモデルにフィットしているものである。このコレクションはエロクイのウェブサイト限定で取り扱いがあり、価格は49〜900ドル(約7400円〜13.5万円)。

だが、このコレクションのマーケティングとなると話は異なる。エロクイのCMO、クリステン・カンポラッタロ氏は、同社は、ヴァネッサ・カミール氏(インスタグラムのフォロワーは2.4万人)やクリスティン・トンプソン氏(インスタグラムフォロワーは50万人)ら、結婚式を計画しているインフルエンサーと協働していると述べている。また、ニューヨークブライダルファッションウィークを祝うローンチパーティも開催した。エロクイのブライダルコレクションを発表した2月28日のインスタグラム投稿は現在までに18万回再生され、これまででもっとも視聴された同社の動画となった。また、1.2万回以上の「いいね」を獲得して、今年もっとも「いいね」を受けた投稿でもある。

エロクイのようなブランドは、パンデミック以前とは大幅に異なるブライダル市場に進出している。違いのひとつには、花嫁がタイムラインを変更していることがある。ブライダルエディトリアルおよびeコマースサイトのオーバー・ザ・ムーン(Over the Moon)の創設者であるアレクサンドラ・メイコン氏は、花嫁は何カ月も前にドレスを購入していたとGlossyに語っている。しかし、パンデミックが始まって以来、花嫁は土壇場での変更やキャンセル、延期を気にかけるようになり、結婚式当日に近くなってから買い物をするようになっている。

定番を超えるスタイルを提供するラポイント

ローンチして12年のラグジュアリーブランド、ラポイントは、D2Cにフォーカスした2020年のリブランディング以前はそのクリエイティブディレクター、サリー・ラポイント氏の名を取ってサリーラポイント(Sally LaPointe)というブランド名だった。ラポイントも今月、初のブライダルコレクションを発表した。ニューヨークブライダルファッションウィークで10月11日にデビューしたこのコレクションは、斬新なものを身につけたい花嫁を対象としている。ラポイント氏はブライダルカテゴリーに意外性をもたらしたいと語っている。

ラポイント氏は次のようにも述べている。「このコレクションは、フェザー付きブレザー、クロップドトップス、パンツスーツなどが特徴である。花嫁からは、一般的な定番ブライダルの世界に代わるものが求められている。だからこそ、品質を重視しながらも新しいものを試したい花嫁のためにデザインされた」。

ラポイント氏は、業界全体でブライダルファッションに対する需要が高まっていることに注目し、さらに同氏の既存のデザインスタイルがブライダルに適切だと思った、と述べている。ラポイント氏はモノトーンのデザインで知られており、コレクション全体を白でデザインするというアイデアは彼女にとって魅力的だった。このコレクションはD2Cで販売される予定である。

「当ブランドはカラー重視で大胆なモノクロームの作品の代名詞になっている」とラポイント氏。「だが、ブライダルはデザイナーとしての私にとって新しい局面だ」。

[原文:Amid a wedding boom, brands are launching their first bridal collections

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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