データクリーンルーム、透明性、Cookieなき世界でのブランドの将来性:DIGIDAY MEDIA BUYING SUMMITレポート

DIGIDAY

米DIGIDAYが主催する「MEDIA BUYING SUMMIT」の最終日には、データクリーンルーム、Cookieなき世界への準備、アプリトラッキングの透明性の環境について、スピーカーたちから話を聞いた。

データプライバシー問題にまつわるに数々の課題を考えると、広告業界はデータクリーンルームの利用を売りにしているように見える。バウンテアス(Bounteous)のメディア担当シニアバイスプレジデント、ジリアン・テート氏は、データクリーンルームが実際にどの程度普及しているのか、そして、サードパーティCookieが消滅するなかで確実な手段となるのかについてDIGIDAYに語ってくれた。

消費者は自身のデータの扱われ方を把握している

本質的に、データクリーンルームは、EU一般データ保護規則(GDPR)とカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)の両方に準拠しているとテート氏は説明する。「社内でのアクセス権が制限されているため、実際にそこに入ることができるのはごくわずかだ」とテート氏は言う。

テート氏はさらに、顧客データプラットフォーム(CDP)とクリーンルームとの連携についても説明してくれた。バウンテアスでは、セグメンテーションを構築するのに、アドビ(Adobe)の「エクスペリエンスマネージャー(Experience Manager)」とクリーンルームの技術を活用しているという。そして、CDPを利用して、「セグメンテーションを活用し(中略)顧客体験をパーソナライズすることができる」とテート氏は言う。

UMWWの米国担当最高マーケットプレイス責任者、ステイシー・スチュワート氏は、Cookieなき世界でブランドの将来性をどう保証するか、そしてこの変化がコンテクスチュアルな関連性の道を開くかどうかについて話を続けた。Cookieが完全になくなるかどうかについてはまだ議論があるが、スチュワート氏は、消費者は自分がどのように追跡されるかをよく理解するようになっていると考える。

「この数年で消費者は間違いなく賢くなったと思う」と、スチュワート氏は言う。「我々全員が認識すべき重要なことは、消費者がデータを共有するのと引き換えに何を得られるのか、彼らがインターネット上のコンテンツを手に入れることでどのような価値を見いだせるのか、そうした評価を快く理解してもらうことに、我々全員が向き合い、それを証明する必要があるということだ」

透明性を実現する最善の方法とは

スチュワート氏は、UMでは、実際に最高プライバシー責任者だけでなく、各アカウントにプライバシーリードメンバーを加えていることに言及した。今後は、好むと好まざるとにかかわらず、多くのエージェンシーが法務担当者との緊密な連携により多くの時間を費やすようになるだろうとスチュワート氏は考えている。しかし、プライバシー責任者を任命したことで、実務的に迅速に適法性を理解し、それについて行動を起こす必要があるかどうかを確認できるようになった、とスチュワート氏は語る。

「ロー対ウェイド裁判が覆された件のように単純なものでさえ、人の生理を追跡するすべてのアプリを見て(中略)それは私にとって何を意味するのか? 私はそのようなサイトに広告を出していいのか? と自問する」とスチュワート氏は語る。

グプタメディア(Gupta Media)の創設者でCEOを務めるゴギ・グプタ氏は、アプリ追跡の透明性とポストATT(App Tracking Transparency)環境において、エージェンシーがこの成功を実現するための最善の方法について説明した。グプタ氏は、特に景気後退の可能性があるなかでは、経営陣やパートナーに成果を伝えるには、測定基準に関する継続的な教育が重要な鍵になると述べる。

グプタ氏はDIGIDAYに対して次のように語る。「我々はいま、それぞれが名前を言わなければならないとしても、こちらのリンゴとあちらのリンゴを比較することはできない、と言うようになった。だから我々は、どのように数字を読み取るべきか、その数字が非常に透明であることをクライアントに伝えるのに多くの時間を費やしている」。

TVと短尺動画プラットフォームの違い

グプタ氏はまた、完璧さの概念と、ユーザー生成動画のクリエイターマーケットプレイスであるビロ(Billo)のようなプラットフォームを使ったポストアプリ追跡の世界で、いかにローファイ(Lo-Fi:低質)な信頼性を受け入れているかについても踏み込んだ。

TVで成功したのは、素晴らしい制作と高いコストの「完璧」な30秒のスポット広告だった、とグプタ氏は言う。しかし、ソーシャルメディアでは、TikTokであれインスタグラムであれ、インフルエンサーがオーディエンスに大きな影響力を持ち、契約を成立させている。この方法により、我々は本質的に、作りこまれた方法を取らなくても、その影響力を得られるようになった。

「彼らは、ローファイだが信頼性が高く、感情に訴えるようなやり方でやっている」とグプタ氏は言う。「人々は、高度に作りこまれたものが好きだが、本当に実用的でローファイなものを求めている。我々は、オンライン上で機能するクリエイティブな方法を模索し続け、それらを見つけ、高品質の動画を作る(という考えを持っている)が、なかには60ドル(約9000円)で、良いものができることもあるのだ」。

[原文:Media Buying Summit Day 3: Data clean rooms, transparency and future-proofing brands in a cookieless world

Antoinette Siu(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:分島翔平)

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