クリエイターエコノミーの国内市場は1.3兆円 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2022/10/13~10/20】

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1. 待望のリアルイベント開催――CEATEC 2022

 「CEATEC 2022」のリアルイベントが10月18日から21日まで幕張メッセで開催された。コロナ禍によって、リアルイベントの開催は3年ぶりとなる。事前の発表では、562社・団体(オンラインのみが21)が出展した。こうしたテーマの展示会は実物を触れたり、見たり、その場で質問ができ、リモートでは代替しがたい貴重なことだ。

 ここではメディアで扱われた主だったニュース記事をまとめておく。大きなテーマとしては政策として上がっている「デジタル田園都市」で、「市町村でもデジタルを積極的に投入し、便利で豊かな社会を、企業と競争して実現」するということだ(ケータイWatch)。そのための要素技術はコロナ禍でも各社が取り組んできたところで、今回はその成果発表の場ともいえそうだ。個別には「ローカル5G小型基地局」「屋内小型発電デバイス」「工作機械加工プログラムの完全自動化」などがCEATEC AWARD 2022を受賞している。

 また、「バイタルセンサー」「仮想オフィスサービス」「MaaS」「自動搬送」「量子コンピューティング」「ワイヤレス給電」「VR/AR」などのキーワードが並んでいる。

 なお、10月31日までオンラインでも開催されている。

ニュースソース

  • 「CEATEC 2022」幕張メッセで明日からリアル開催、21日まで[ケータイWatch
  • 「CEATEC 2022」シャープブース、小型バイタルセンサーやIGZO技術活用の最新ソリューションを展示[ケータイWatch
  • 「CEATEC 2022」日立ブース、出社/リモートワークのハイブリッドを支える仮想オフィスサービスなどを展示[ケータイWatch
  • 「人材会社のパーソル」は「技術屋」だった?CEATEC初出展のパーソルに「技術」を聞いてみた UWBによる動線分析に、MaaS、自動搬送車………[INTERNET Watch
  • 3年ぶり「幕張のCEATEC」がスタート、来場者用「個室ワークブース」で不意のWeb会議も対応OK【CEATECの歩き方】 ワークブースは無料で利用可能、会場には無料Wi-Fiも、「ゆっくり時間をかけて見てほしい」[INTERNET Watch
  • CEATEC 2022NECブース、ローカル5G小型基地局や量子コンピューティング技術などを出展[ケータイWatch
  • CEATEC 2022東芝ブース、ローカル5G子機や量子暗号化技術などを出展[ケータイWatch
  • NEC、小型・一体型のローカル5G基地局「UNIVERGE RV1200」をCEATEC 2022で展示[INTERNET Watch
  • シャープ、屋内光を活用する発電デバイス「LC-LH」をCEATEC 2022で展示[INTERNET Watch
  • 学生が楽しく学べるCEATEC!出展企業と主催者が「リアル」で取り組む、「未来に触れる場」としてのCEATECとは?[INTERNET Watch
  • 岸田首相がCEATECにメッセージ「デジタル技術は社会を変革し、社会課題を乗り越える鍵」 CEATEC 2022オープニングセレモニー、経産大臣、総務副大臣、デジタル大臣も登壇[INTERNET Watch
  • 水も電気も自給自足!トレーラーで移動する「居住ユニット」はまるで国際救助隊? CEATEC会場でリアル体験! 岩手のガス会社が作る「療養にも使える、落ち着ける空間」、それは3.11から始まった………[INTERNET Watch
  • 水中でのセンシングや通信、ワイヤレス給電のデモ、CEATEC 2022のALANコンソーシアムブースで実施[INTERNET Watch

2. 画像処理や映像処理の技術革新――Adobe MAX 2022

 アドビのプライベートカンファレンス「Adobe MAX 2022」が10月18日から20日までオンラインとリアルのハイブリッドで開催された。ここでは画像処理や映像処理の革新的な技術がお披露目されている。

 日本向けには、「写真編集管理ソフトウェア『Adobe Photoshop Lightroom』の機能強化、3Dモデリングツール『Adobe Substance 3D Modeler』の提供開始」が伝えられた(CNET Japan)。他の新機能に比べて地味な取り組みではあるが、ここで注目しておきたいのは「アドビが主導するコンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative:CAI)における、ニコンとのパートナーシップについて」だ。実験的に開発されたニコンのミラーレスカメラに「『来歴記録機能』を搭載し、機能を盛り込んだモデルを参考展示」している。これは、「いつどこでどのように撮影されたかを含む、画像の来歴情報を撮影時に写真へと付与」できる仕組みで、流通させるデジタル写真の「信頼性の確立」が期待できるとしている。デジタル技術の進歩によって巧妙に加工されたフェイク画像による「誤った情報」や「虚偽の情報」が拡散されることを抑止することにつながると考えられる。

ニュースソース

  • Adobe、画像生成AIを開発へ 倫理や法律面で“透明性”高めたクリエイターのためのツール目指す[ITmedia
  • VR空間でPDFファイル作成 「Adobe Acrobat」に「Meta Quest」版登場[ITmedia
  • アドビ、「Lightroom」などの編集機能を強化–進化したAIでオブジェクト選択が簡単に[CNET Japan
  • アドビ、テキストベースで動画編集できる「Project Blink」発表–AIが感情まで認識[CNET Japan
  • パートナーシップ強化や3D向け新製品–「Adobe MAX Japan 2022」開催[CNET Japan
  • 写真の“来歴”を記録できるカメラ。ニコンとAdobeが協力[Impress Watch

3. クリエイターエコノミーの国内市場は1.3兆円

 インターネットによって、デジタル作品の作成だけでなく、その流通が容易になり、各種プラットフォームでは広告や投げ銭などのマネタイズの仕組みも充実してきた。さらにはこうしたデジタルコミュニティで人気が出たクリエイターがそのファンに対して小ロットから生産が可能な「グッズ」の販売も簡単にできるようになってきた。もちろん、オーディエンスも「投げ銭」などの行為に抵抗が減ってきたという心理的な変化も大きいだろう。

 クリエイターエコノミー協会はこうした「クリエイターエコノミー」の国内市場規模が1.3兆円超あると発表した(Impress Watch)。さらに「クリエイターエコノミーは、個人が創作を楽しむだけでなく、日本経済の成長のエンジンとなる可能性を秘めている」とコメントをしている。クリエイターエコノミー協会では「『コロナ禍』とともに、コンテンツの消費量が増えたことや、副業志向が高まったこともクリエイターエコノミーの成長を後押し。また、インターネットの発展やカメラなど機器の性能向上、投げ銭やファンコミュニティなど“推し”への課金、C2Cプラットフォームの拡大、といった側面も拡大を支えている」と分析している。

 また、「モノやコンテンツの『対価』だけではなく、クリエイター個人活動への『サポート』としても収入を得られる状況となった」ということも、クリエイターとファン(消費者)のあいだに好循環が生じたというだ。今後の市場の変化にも着目しておくべき動向か。

ニュースソース

  • クリエイターエコノミーの国内市場は1.3兆円 「個人」のファン化が進展[Impress Watch

4. ランサムウェアは未だ衰えず

 個人情報を詐取する「フィッシング」は有名なブランドやサービスをかたり、また、内容も巧妙になってきていることはあらためていうまでもなくないことだ。一方で、ランサムウェアの話題は最近、あまりメディアでは報じられていない。事案の性質上、感染した当事者も発表することを控える話題なのかもしれない。

 しかし、決して下火になったわけではないようだ。トレンドマイクロが日本国内および海外における最新のセキュリティ動向を分析した報告書「2022年上半期サイバーセキュリティレポート 『侵入』する脅威が浮き彫りにする『サプライチェーンリスク』」によれば、ランサムウェアの活動は高止まりしているという。「2022年も活発で、2022年第1四半期(2022年1月~3月)だけで、5700件超が検出されており、2019年以降最多となった」と指摘している(Web担当者フォーラム)。

 記事によれば、「世界の国別に見ても日本は飛び抜けて多く、2022年1~6月はアメリカの20倍以上のEmotet感染を記録している。ただし、Emotetは2022年8月以降ほぼ動向が途絶えて、あらためて沈静化しており、現在は休止期に入っていると推測される」と、決して油断できない状況だ。

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5. Yahoo!ニュース、コメント投稿で携帯電話番号を必須化

 ヤフーは「Yahoo!ニュース」のコメント欄へ投稿する場合、携帯電話番号の設定を必須化すると発表した。実施は11月中旬から。この施策によって、コメント欄の健全化を目指すとしている。

 Yahoo!ニュースのコメント欄には不適切な投稿内容が多いことは知られていて、すでに「不適切なコメントを繰り返し投稿したアカウントについては『投稿停止措置』」をとることなどが実施されてきた。今後、確実に実施をするために、携帯電話番号による認証を行うことになった(Impress Watch

 こうしたコメント欄は匿名性が高い場合、「荒れる」ことになるのはいまに始まったことではなく、誹謗中傷、さらにはそこから「おひれ」が付いて誤った情報として流通するということになっている。一連の問題の解決に向けた大きな一手として期待される施策といえよう。

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  • Yahoo!ニュース、コメント投稿で携帯電話番号を必須化[Impress Watch

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