こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール［日本版］」の記事です
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テック界大手であるGoogleは、来たるホリデーシーズンのオンラインショッピングのトラフィックを収益化するために、同社の検索（search）機能を活用した9つの新しいショッピングツールを発表した。
Googleは、同社の「サーチオン（Search On）」と呼ばれるイベントで、Google上でのビジュアルショッピング体験を向上させるように設計されたさまざまな新機能を発表した。新機能を使用することにより、より詳細な商品検索が可能になり、検索エンジンをスタイルのインスピレーション源として利用できるようになる。
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新しいツールのひとつに、シューズブランドのVans（バンズ）やスケッチャーズ（Sketchers）などが試験運用している3Dビジュアルショップ機能がある。この機能を使用すると、買い物客はシューズの3Dビジュアルを確認してから購入できる。また、高額商品を購入するときに、複雑な購買意思決定を支援するための購入ガイドという新機能もある。新機能は、あらゆる規模の小売業者が追加費用なしで利用できる。
検索広告でも頭角を現すAmazon
販売業者と消費者をつなぐ新しいフライホイール（弾み車）を作ろうとするGoogleの試みは、同社の最大のビジネスがAmazonによって脅かされていることから行われた。市場調査会社のイーマーケター（eMarketer）によると、より高くチャネルを収益化しているAmazonは、Googleから検索広告のシェアを奪いつつあるという。このレポートでは、Amazonが検索広告ビジネスで占めるシェアが、2022年の終わりまでに20％を超えると予測されている。あるeコマースの専門家は、Googleの目標は、検索機能を拡張し、一般ユーザーにとって買い物をより簡単なものにすることだと米モダンリテールに語った。
「Amazonは、買い物客がテキストと単語を使用する場合、ある程度はすでにショッピング用検索エンジンとして機能している」と、マーケティング会社のオムニコムリテールグループ（Omnicom Retail Group）でコマース担当シニアバイスプレジデントを務めるブライアン・ギルデンバーグ氏は語る。「ただし、Googleがやろうとしていることは、これはかつてAmazonがGoogleからシェアを奪った方法でもあるが、自社のコアサービスを、より画像ベースの、よりライフスタイルベースのショッピングに結び付け、インスタグラムやTikTokで行われているブラウジングや初期の検索の一部を奪うことだ」。
直感的でパーソナライズ化されたショッピング体験
Googleのショッピングプロダクト担当シニアディレクターであるリリアン・リンコン氏は、米モダンリテールのインタビューで、同社はこの新しい機能を利用して「ショッピングの時間をより自然で直感的にするツールの構築」に集中していると述べている。
同氏は、次のように語っている。「この機能で、3つの大きなテーマを実現する。1つめは、より新しく視覚的なショッピング体験の構築。2つめは、安心して買い物できるようにする機能の提供。そして3つめは、より高い水準のショッピングのパーソナライズ化だ」。
Googleがリリースした新機能には、ユーザーが新しい服を組み合わせることができる「ショップ・ザ・ルック（shop the look）」機能も含まれている。Googleによれば、新しいツールでは、たとえばボンバージャケットとそれに合うアイテムを組み合わせたイメージと、これらをどこで購入できるかが、すべて検索のなかで表示される。「サーチ・ウィズ・ショップ（search with shop）」や通称「購入ガイド（buying guide）」など、一部の新機能はすでにすべてのショップに向けて広く展開されている。ただし、同社によると、「ショップ・ザ・ルック」や「ショップ・ウィズ・3D（shop with 3D）」などのツールは、11月から12月にかけて段階的にリリースされるという。
ブランドの囲い込み
この数年、GoogleはブランドがGoogle上で販売しやすくなるような取り組みを拡大してきた。たとえば、出品者数を増やすために、パンデミックの期間中、マーケットプレイスへの商品掲載料を無料にした。さらに、Googleの広告ツールにショップ固有の広告機能を追加し、たとえば、特定の地域にローカライズされた品目をプロモーションできるショッピングキャンペーンを作成できるようにした。さらに、最近では、広告プロダクトを使用し続けているショップを新しいロイヤルティプログラムに囲い込もうとしている。
また、Googleは、Shopify（ショッピファイ）や、ウーコマース（WooCommerce）、ビッグコマース（Big Commerce）などのサードパーティプラットフォーム上で運営されているショップが、製品カタログ全体をアップロードできるようにする統合機能を構築した。Googleは昨年、AIによるショッピンググラフ（shopping graph）が50％の伸び率を示し、掲載商品数が350億を超えたという。「このグラフの構築には、無料化と、ユーザーが参加できる優れた販売体験を可能にすることが、本当に役立った」とリンコン氏は述べている。
ショッピングにおける検索の価値
ギルデンバーグ氏によれば、Googleは最終的に、これらの機能でインスタグラムに対抗しようとしているという。インスタグラムは9月初め、ショッピング戦略について再考し、ショッピングタブのカスタマイズ性を下げてシンプルにした「タブライト（Tab Lite）」をテストしているとしたが、写真共有アプリは依然として重要な発見の場になっている。Googleは長年、新しいマットレスやテレビを探そうと思ったときに訪れる場所ではあったが、ファッションのヒントを探しに行く場所ではなかった。今、Googleはそれを変えようとしている。
「Googleは、ブラウジングと購入のあいだに、新しい中間領域がないかを探しているところだ」とギルデンバーグ氏は語っている。「インスタグラムやTikTokの興盛を受け、Googleは現在、ショッピングプロセスで検索が果たしている役割を理解し、検索をよりショッピングプロセスに近づけることで、検索を守る方法を考え出そうとしている」。
[原文：Ahead of the holiday season, Google is boosting its search tools for brands]
VIDHI CHOUDHARY（翻訳：ジェスコーポレーション、編集：戸田美子）
Image via Google
