温室効果ガス排出量見える化の先がわかる「カーボンニュートラルシミュレーター」

CNET Japan

 アークエルテクノロジーズは10月20日、温室効果ガスの可視化から脱炭素化への最適手法の提案までを⾃動化できるサービス「カーボンニュートラルシミュレーター」を発表した。カスタマイズもでき、⼤⼿から中⼩企業まで幅広く⽀援する。12月よりカスタム版、2023年4月移行にSaaS版をリリースする。

「カーボンニュートラルシミュレーター」
「カーボンニュートラルシミュレーター」

 アークエルテクノロジーズは、2018年に設立したクライメートテック(気候テック)企業。気候変動問題の解決とビジネスとの両⽴を⽬指し、カーボンニュートラルに向けたデジタルサービスの提供とカーボンニュートラルを⽬指す企業向けのコンサルティング事業などを手掛けている。

 2020年には国内初の、電力卸取引市場の動きによって価格が変動する「ダイナミックプライシング」による電気自動車(EV)の充電シフトに関する実証実験を開始。2021年度は、ダイナミックプライシングとEV充放電機器(V2H)を組み合わせ、充放電の最適制御をAIで自動化する技術を開発している。

 カーボンニュートラルシミュレーターは、温室効果ガス排出量の可視化から脱炭素化への最適⼿法の提案までを⾃動化したことが特徴。「温室効果ガスの排出量の可視化サービスがでてきて、盛り上がっているが、可視化したものの、どうやってカーボンニュートラルを進めればよいのか、どのくらいの金額がかかるのか、どういった手順を踏むのかわからないという企業は多い。そうした課題を解決するツールとしてカーボンニュートラルシミュレーターを提供していく」(アークエルテクノロジーズ 代表取締役の宮脇良二氏)と背景を説明する。

 カーボンニュートラルシミュレーターでは、排出量計測後のアクションとなる、「排出量削減に向けた具体的な施策抽出や効果のシミュレーション」を、予算内で最も効果的な組み合わせを抽出し、ツール内で⾃動化、提供することが可能だ。

 「カーボンニュートラルへの取り組みは、『温室効果ガス排出量計測』『カーボンニュートラル戦略策定』『実装・運用』という3つのステップと、『電化』『エネルギー効率化』『再エネ化』『燃料転換』『クレジット・カーボン除去』の5つの要素で構成され、いかにしっかりと確実に導入していくかが求められる。シミュレーターでは、このすべてのステップをサポートしている」(宮脇氏)とのこと。

 発表会では、米国のスーパー「ホールフーズ」におけるカーボンニュートラルの取り組みを事例として紹介。スーパーは、空調、照明、冷蔵庫などによるエネルギー消費量が多いが、冷蔵庫に蓋をつける、窓や壁面を二重三重にするなど、107種類の省エネ手法から、予算内で最も効果の高い手法の組み合わせを遺伝的アルゴリズムによって最適化し取り入れたところ、施設全体で46%のエネルギー消費量削減に結びついたという。

 宮脇氏は、「カーボンニュートラルシミュレーターは、こうしたステップをツールに落とし込んだもの。いつまでに達成したいのか、予算がどのくらいあるのかなどを入力していくと、予算内で取るべき施策は何か、施策を実施した結果どのくらい排出量を減らせるのかなどがわかる。施策を優先順位ごとに並べたり、予算内ですることを具体的に提示できる」とポイントを話す。

 価格は「現在の市販されている温室効果ガスの計測ツールの平均価格が、月額8000〜1万円程度になるので、同程度の価格を目指したい」(宮脇氏)とのこと。すでに、2社に導入の話しが進んでおり、2021年度中に5〜6社の導入を進めていく計画だ。

左から、アークエルテクノロジーズ EV充電マネジメントシステム責任者の石崎正宏氏、代表取締役の宮脇良二氏、開発責任者の甲斐あずさ氏、東京大学 先端科学技術研究センター社会連携研究部門特任准教授の辻真吾氏
左から、アークエルテクノロジーズ EV充電マネジメントシステム責任者の石崎正宏氏、代表取締役の宮脇良二氏、開発責任者の甲斐あずさ氏、東京大学 先端科学技術研究センター社会連携研究部門特任准教授の辻真吾氏

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