沖縄本島デカい石敢當選手権

デイリーポータルZ

沖縄には路地の至る所に「石敢當(いしがんとう)」という魔除けが置いてある。

石敢當にはホームセンターなどで売られている既製品を使ったものも多いのだが、中には手作りのものだったり、素材が変わったものだったりと個性的なものがある。今回はそんな石敢當の中から沖縄本島内で一番デカいサイズの石敢當を探してみた。

色々な石敢當がある

さて石敢當について、まずは石敢當を見たことがないという方のためにも一般的なものを紹介しておこう。上の写真はよく見かけるタイプの石敢當である。
サイズ的には長さが20~30cm、幅は10cm前後のものが多く、だいたいはT字路の突き当たりや十字路の角などに配されていることが多い。これはマジムン(悪霊などの悪いもの)が直線的な動きしかできない、という風水的な理由かららしい。

この石敢當が面白いのは、個性的なものがあちこちにあることだ。

塀に貼り付けるのではなく、岩に埋め込まれていたり、

文字の部分が珊瑚でつくられていたり、

はたまた、ベランダの一部に一体化する形になっていたり。

書かれている文字についても「石敢當」が一般的だが「石敢当」だったり「石巖當」だったり、頭に「泰山(たいざん)」がつくものだったりと一定ではない。
なお泰山とは石敢當の発祥である中国にある山の名称らしい。

中には石製でないプラスチック製のプラ敢當があったりする。つまり石敢當とはこうであるべき、みたいな決まりがあるわけでもなく、おおらかな南の島らしくわりと自由なのだ。

そんなさまざまな個性のある石敢當、たまにビックリするほどデカい石敢當に出会うことがある。というわけで今回は、沖縄本島内で一番デカい石敢當を探してみたい。

那覇市金城町の石畳道にある石敢當

まずは首里城の城下街金城町の日本の道100選にもなっている石畳道
観光スポットでもあるのでこの風景に見覚えありではないだろうか。

石敢當の前で写真を撮る人も多い。

高さを測ってみる。

約90cmだった。

身長160cmと比べたらこんな感じ。
一般的な石敢當と比べたら大きいのだが、記事の一番目に出てくるということは小さいということでもある。
では、もっと大きな石敢當を探してみよう。

北中城村熱田公民館横の石敢當

北中城村熱田(あつた)公民館横にあったのはこちらの山石敢當。

もともとは「泰山石敢當」と石に刻まれていたが琉球王朝の尚泰王時代に偉い人と同じ文字が使うのが失礼という習慣から「泰」の文字が消されている。

高さは約100cm。

台座に乗っているので実際よりは高く見えるかもしれないが、それでもまぁまぁデカイ。

名護市汀間(ていま)集落入口の石敢當

お次は名護市汀間(ていま)集落の入り口にある石敢當。名護市東海岸の大浦湾沿いにあるのどかな集落だ。

拝所が設置されている広場の奥、三叉路に隣接した民家のブロック塀にくっつくようにどーんとそびえ立っている。石敢當の上に横書きされているのは右から読んで「泰山」。

威厳のある、というよりは手作り感溢れるほのぼのと優しい雰囲気の石敢當だ。大阪銘菓の雷おこしのようでちょっと美味しそうでもある。

高さは約121cm。

横幅は約72cm。

身長163cmの人間が横に立ってみると、だいたい胸くらいの高さだ。

嘉手納町の石敢當

まだまだ大きくなるぞ。
こちらは嘉手納町にあるロータリープラザという建物の前にある石敢當。

その名の通り、元々はロータリーだったのだが、道が変わって巨大な三叉路になっていて道路が交わる地点に設置されている。

手の大きさと比べて欲しいのだが、かなりでかい。

サイズは幅が72cm、高さは225cm。

とうとう人間の身長を超えてきた

少し石敢當より前に立っているので微妙な遠近はあるが、このサイズ感である。近くには沖縄防衛局の建物もあり、ひょっとしたら防衛局のマジムン対策なのかもしれない。

宜野湾市嘉数の壁に描かれた石敢當

普天間基地が一望できる宜野湾市嘉数の嘉数高台公園の近くにある壁に描かれた石敢當。

読みにくいが

数年ぶりに前を通ってみたけど、探していたのに素通りしてしまうぐらい文字が薄くなってきている。

刻まれているのではなく、もしかしたら高圧洗浄機アートのようなものなのかもしれない。

そのデカさは相当なもの。十分に人の身長を超える。
ただ魔除け対策という観点では文字の薄さがやはり気になる。消えてしまう前になんとかしてほしい。

民家の石敢當

たくさんの石敢當をまわってきたがこれで最後である。
ご覧あれ。

沖縄最大級の石敢當は、とある民家の石敢當だ。

文字もしっかりと刻み込まれている
圧倒的デカさ。3m以上ありそうである

この家の人になぜこんな石敢當を作ったのか聞いてみたら「人と違うことが好きだから」という理由だった。
予定ではもっと大きなものにしたかったらしいが大工さんの配慮によりこの大きさになったらしい。
台風時は家に風が吹き込まないように風ガードにもなるのでいいよとのこと。
悪霊も台風の風も防げるなんて一石二鳥すぎる。

石敢當にはいろんなタイプがある

ということで今回は一番デカいサイズの石敢當を探してみた。

鉢植えに埋められた石敢當​​​​

しかし、石敢當を探し周っている中でもはやこれで悪霊を追い払えるか不安な石敢當も見つけてしまった。
いつか石敢當のバリエーション比べなんかもやってみたい。

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