負のパーソナリティ「ダークトライアド」を持つ人は「自分は哀れで善良な被害者だ」とアピールする戦略を取りがち

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自己愛症(ナルシシズム)・権謀術数主義(マキャベリズム)・精神病質(サイコパシー)という負のパーソナリティ3種は「ダークトライアド」とまとめられます。このダークトライアドが、自分の善良さをアピールする「美徳シグナリング」や被害者ぶった言動を示す「被害者シグナリグ」と関連しているという研究が発表されました。

Signaling virtuous victimhood as indicators of Dark Triad personalities. – PsycNET
https://doi.org/10.1037/pspp0000329

New study suggests people with dark personalities weaponize victimhood to gain advantage over others
https://www.psypost.org/2021/02/new-study-suggests-people-with-dark-personalities-weaponize-victimhood-to-gain-advantage-over-others-59806

「美徳シグナリング」とは、「自分が道徳的に正しく善良である」ということを他人にアピールする行動のことです。そして、「自分は被害者である」と周囲に強くアピールする行動が「被害者シグナリング」です。ブリティッシュコロンビア大学のEkin Ok氏らは合計3536人を対象とした研究で、美徳シグナリングと被害者シグナリングがダークトライアドの特徴や欺瞞(ぎまん)的行動とどのように関連しているのかを調査しました。

研究チームは「人間は完全な生き物ではなく、運もあるので、時として人は人生において苦しみ、不利益を被り、不当な扱いを受けるさだめにあります。苦難や不利益にぶつかったとき、その重荷に黙って立ち向かって自分自身で解決を図る人もいれば、その苦しみを周りに見せつけて『自分が被害者だ』と主張して補償を求める人もいるでしょう。私たちが研究対象としているのは後者の人たちなのです」と述べています。


研究チームによれば、人は美徳シグナリングを行う被害者を見ると、その人を助けようとする可能性が高いとのこと。このことから、美徳シグナリングや被害者意識が「他人から資源を得るための有効な戦略」であると研究者は主張しています。例えば、「食料品店やストリップクラブの前で撃たれた被害者」よりも、「チャリティーイベントでボランティアをしている時に撃たれた被害者」の方を助けようとする傾向が見られたそうです。

そして、ダークトライアドの中でもマキャベリズム、つまり人を操り欺くことをいとわない性質は、美徳シグナリングと被害者シグナリングの最も強い予測因子だとわかったそうです。研究チームによると、マキャベリズムの傾向が強い人は、「外的要因のせいで目標や夢を追求できないかを示す」「自分のアイデンティティがいかに社会で受け入れられていないと感じるかをアピールする」「自分がいかに過小評価されているかを表現する」といった行動を示すことが多く、自分が道徳的にいかに正しいかをアピールする傾向にあったとのこと。

そして、この美徳シグナリングと被害者シグナリングの傾向は、人口統計学的および社会経済学的特性を考慮した後でも維持されていたと研究チームは報告しています。つまり、ダークトライアドを持つ人はどんなに社会的地位が高くても、自分は哀れで善良な被害者だと主張する傾向が強いというわけです。

加えて、自分が善良な被害者だと主張しがちな参加者は、自分以外に被害者ぶる人を見ると「自分が得するためにわざと被害者ぶっているだけ」と大げさに主張する傾向があったそうです。


研究チームは「美徳シグナリングと被害者シグナリングを示す人が必ずしもマキャベリズムなどのダークトライアドを持つ人だというわけではありません」と注意を促しながら、「私たちの結論は、被害者シグナリングは社会的影響力を持つ有効手段であり、美徳シグナリングと一緒に展開されたときに最大限の効果を発揮するということだけです」と述べました。

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