AirTagの預かり禁止で話題となった航空会社が一転して「AirTagを預けてもOK」と発表

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500円玉サイズのApple製落とし物トラッカー「AirTag」は、カバンや財布などに入れておけば紛失した際に位置情報を追跡することができるほか、「信頼できない引っ越し業者を追跡するために家具に忍ばせる」「航空機の手荷物に入れてロストした際に現在地を特定する」といった活用法も知られています。2022年10月、ドイツのルフトハンザ航空が「AirTagは危険物である」と認定し、電源が入ったまま受託手荷物として預けることを禁止したと報じられましたが、最終的にルフトハンザ航空がAirTagの持ち込みを許可したことがわかりました。

Lufthansa says AirTags allowed in checked bags after confusion over ban – The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/travel/2022/10/12/lufthansa-air-tags/

Lufthansa awkwardly abandons AirTag ban after baffling face plant | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/10/lufthansa-awkwardly-abandons-airtag-ban-after-baffling-face-plant/

Appleの落とし物トラッカーであるAirTagは、財布やカバンに入れて紛失時に追跡することができます。近年では航空会社に預ける荷物にAirTagを入れておき、荷物がロストした際に居場所を特定するというライフハックも広まっているとのこと。

ところがルフトハンザ航空は2022年10月、「AirTagは危険物と認定されるため、電源が入った状態で受託手荷物として預けることはできない」という見解を示し、世界中で話題となりました。

AirTagを航空会社が危険物に認定し電源ON状態での手荷物預かりに制限 – GIGAZINE


ルフトハンザ航空の公式Twitterアカウントはユーザーへのリプライで、「ルフトハンザ航空はアクティブとなったAirTagを荷物に入れることを禁止しています。AirTagは危険物だと分類されており、オフにする必要があるのです」と述べています。

Hi David, Lufthansa is banning activated AirTags from luggage as they are classified as dangerous and need to be turned off./Mony

— Lufthansa (@lufthansa)


この際にルフトハンザ航空が持ち出したのが、国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)の危険物規制です。しかし、ICAOの危険物規制は発火事故の懸念があるリチウムイオンバッテリー搭載のスマートフォンやタブレットを対象にしたものであり、手荷物トラッカーについて記しているわけではありません。また、AirTagに使われているのはリチウムイオンバッテリーではなく、時計や医療機器にも用いられるコイン型リチウム電池のCR2032です。

Appleは声明で「(AirTagは)機内持ち込み手荷物および受託手荷物に関する国際航空運送安全規制に適合しています」と述べています。アメリカの連邦航空局も、「0.3g以下のリチウムを含むリチウム金属電池を搭載した荷物追跡デバイスは、受託手荷物で使用できます」と述べ、リチウム含有量が0.1g未満のAirTagは受託手荷物に入れることが可能との見解を示しました

海外メディアのApple Insiderは、「ルフトハンザ航空がICAOのガイドラインに基づいて規制しているという主張は完全に間違っています」「AirTag が使用するバッテリーは小さすぎて、ガイドラインの下では問題とは見なされません」と述べています。また、AirTagが用いるBluetooth通信モードのBluetooth Low Energy(BLE)も民間航空機のシステムに干渉するほど強力ではなく、ある専門家は「ルフトハンザ航空が荷物の紛失で恥ずかしい思いをせずに済む方法」ではないかとまで主張したとのこと。

ルフトハンザ航空のAirTag規制は多方面で話題になりましたが、ルフトハンザグループのメディアであるLufthansa Newsは2022年10月12日、「ドイツ航空当局(Luftfahrtbundesamt)は本日、私たちの『バッテリーと送信電力が非常に小さい追跡装置を受託手荷物に入れても安全上のリスクはない』というリスク評価を共有することを確認しました。従って、これらのデバイスはルフトハンザ航空のフライトで許可されます」とツイートし、ルフトハンザ航空がAirTagの持ち込みを許可したことを認めました。

The German Aviation Authorities (Luftfahrtbundesamt) confirmed today, that they share our risk assessment, that tracking devices with very low battery and transmission power in checked luggage do not pose a safety risk. With that these devices are allowed on Lufthansa flights.

— Lufthansa News (@lufthansaNews)


航空業界関連のブログ・Cranky Flierを運営するブレット・スナイダー氏は、「航空会社は基準が明確になるまで、規制を自分たちが適切だと思う方法で解釈できます」「ルフトハンザ航空は非常に保守的な傾向があるので、デフォルトで『AirTagは利用できない』としたのも驚きではありません」と述べました。

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