インスタグラム でZ世代へのリーチを図るスプリッツブランド:「ターゲットとする消費者をを取り込むブランド戦略を構築する」

DIGIDAY

2022年9月、スピリッツブランドのファイヤーボール(Fireball)はZ世代へのリーチ数増加と認知向上を狙い、15秒から20秒の広告を制作。ESPNやピーコック(Peacock)、Huluのようなストリーミングサイトやインスタグラムでデジタル動画の出稿を増やした。

今や多くのZ世代が飲酒可能な年齢に達したことを受け、シナモンウイスキーメーカーのファイヤーボールがはじめてZ世代をターゲットに展開したのが、このクリエイティブキャンペーンだ(対象層は21~24歳)。ターゲット層にリーチするため、夜遊び、卒業、社会人生活を取り上げて、ファイヤーボールならではの解釈で大人が抱える痛みを紹介している。

心に直接語りかけるクリエイティブな戦略

米国では、スカイウォッカ(SKYY Vodka)グレイ・グース(Grey Goose)ブルーワーズ・アソシエーション(Brewers Association)のような数多くのブランドが、飲酒に関心のある21歳以上のZ世代の心をつかもうと取り組んでいる。

「大学を卒業する年頃になったからといて、即座に飲酒すると限らない」。そう話すのはマーケティング企業ヒューズクリエイト(FUSE Create)でクリエイティブ戦略に携わるマジソン・ロジャース氏だ。「こうした広告は、ファイヤーボールを楽しめるさまざまな場面を紹介するのに効果があるだけではない。現状を打破しようとする取組みでもある」。

ファイヤーボールは今回、広告代理店サーカス・マクシマス(Circus Maximus)に依頼して3種類の広告を作成した。広告キャンペーンには制作に携わった同代理店社員10人の氏名がクレジットされている。

ファイヤーボールでグローバルブランドディレクターを務めるダニー・スイッチ氏は、「今回のキャンペーンで期待しているのは、心に直接語りかけるクリエイティブな戦略でファンやファン予備軍にリーチし、Z世代のお気に入りNo.1スピリッツブランドになることだ。この戦略で認知度を高め、友人と思い出作りをするときには、そうだ、ファイヤーボールを飲もうと手に取ってもらえるようになりたい」と話す。

若者の心的ニーズをいかに汲み取るか

今回の広告はキャチコピーが「Free Your Fire」で、ネットで流れるのはYouTubeとインスタグラムに限定されるが、ターゲット層に間違いなくリーチできるように、ファイヤーボールの愛好者がオンラインでアクセスするYouTube TVやESPN、Hulu、ピーコックのようなデジタルストリーミングサイトでも流す予定だ。

100%がデジタル広告である今回のキャンペーンの場合、予算はデジタル動画が中心で、その残りがクリエイターとの提携や有料SNSに回る。スイッチ氏は、支出の具体的な内訳を明言しなかったが、広告トラッキング企業のパスマティックス(Pathmatics)のデータによると、2022年これまでのところ、ファイヤーボールは広告費に160万ドル(約2億1000万円)近くを注ぎ込んでいるという。

ファイヤーボールは9月にスポーツパブリッシャーのバースツール・スポーツ(Barstool Sports)と新しく契約を締結しているが、この契約で今回のキャンペーンに拍車がかかるとスイッチ氏は話す。バースツールでは、各プラットフォームの動画やSNSをターゲットにするだけでなく、スポーツ賭博のデイリーコンテンツ「Picks Central」(ピックス・セントラル)や雑学クイズショー「ザ・ダズン・ライブ・ツアーズ(The Dozen Live Tours)のメインスポンサーになる予定だ。なお、金銭面の条件など契約の具体的な内容は明らかにはされなかった。

「ファイヤーボールはターゲットとする消費者を明確に定めている。つまり、新しいライフステージを踏み出そうとしている若者たちだ。彼らの心的ニーズを取り込むブランド戦略を構築してきた」。そう話すのは、成長戦略コンサルティング会社プロフェット(Prophet)でブランドアクティベーションを統括する同社パートナーのマリサ・マルビヒル氏だ。「おそらく、すでに大人の世界にどっぷり浸かった消費者層の心にも響くはずだ」。

Z世代のメディア行動を分析

ファイヤーボールでは2022年、今回の新しい戦略を念頭に、オーガニックに宣伝を展開してきたため、現在のところ、SNSのプラットフォームは主にインスタグラムを利用している。また、コンテンツは話題性のあるカルチャー系で、シェアしてもらいやすいものが中心だ。ファイヤーボールのスイッチ氏は非公式な数字ではあるがと断りを入れたうえで、この戦略のおかげで、2022年1月から8月で、オーガニックな投稿の平均エンゲージメントが60%増加(いいねとコメントが783件から1266件)、オーガニックリーチは50%増加(ページビューが1万3419件から2万663件)を見せていると話した。

さらに、具体的な数字は公表されなかったものの、メディア関連の予算が50%以上増加しており、今後も数カ月はデジタルチャネルに予算を注ぎ込む予定だ。「ターゲットをZ世代に絞り、効果的かつ効率的なリーチと関連性の構築を実現し、最終的にはトライアルまでピンポイントで持っていきたい」とスイッチ氏。「そのためには、Z世代はどこでコンテンツを見るのか、また、利用するデバイスや視聴の好みを明らかにする必要がある」。

[原文:Fireball taps into streaming, Instagram to reach Gen Z of drinking age

Julian Cannon(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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