2023年春の トレンド 、ニットウェア、ホーム&旅スタイルが登場した背景とは?

DIGIDAY

パリ・ファッションウィーク・ブリーフィングでは、消費者がパンデミック前の正常な状態に近づいていくにつれ、デザイナーはコンフォートウェアに創造性をもたらす新たな方法を見つけ、旅行に適した製品を優先していることに着目。また同時に、ブランドは過去2年半のあいだに生まれたマーケティングと流通のチャンスに乗り出している。最後に、今シーズンのほかのファッションウィークと比較すると、パリでのモデルブッキングはどのように違っていたかについて紹介する。

2023年のアスレジャーはニットウェア

現在の経済情勢を鑑みて、デザイナーは安全策をとっている。ほとんどのデザイナーがアスレジャーやアクティブウェアに重点を置いたコレクションから脱却しているが、多くはまだパンテミック前のレベルの創造性を自由に発揮しておらず、消費者に愛される快適さへのこだわりを捨て去ることもしていない。その落としどころが、カーゴパンツやシルクのパンツセットなど、2023年春のトレンドとなっているスタイルに表れている。だが、次の時代のスタイルを支配するのは、パリで発表されたコレクションに基づくなら、ほぼ間違いなくニットウェアだ。

かぎ針編みのベーシックなものからジャックムス(Jacquemus)にインスパイアされたカーディガンまで、軽量のニットスタイルが、マージュ(Maje)、ナヌーシュカ(Nanushka)、セザンヌ(Sézane)、アン・イザベラ(Anne Isabella)などのコレクションに登場した。また、前シーズンにニットウェアに手を出した何人かのデザイナーも、春にはさらに力を入れると語っている。ニットウェアは着心地がよいだけでなく、ほかのスタイルにくらべてよりサステナブルに製造されていることが多く、消費者の現在の優先順位にはかなり合っている。

「私にはニットウェアのバックグラウンドがない」と、9月28日水曜にパリ・ファッションウィークでプレゼンテーションを行ったアン・イザベラの創業者、アン・イザベラ・ラスムッセン氏は述べた。このブランドは主に米国で、ノードストロム(Nordstrom)やエッセンス(Ssense)などの小売店を通じて販売されている。「昨シーズンに(ニットウェアを)紹介したところ、すっかり魅了されてしまった」。

春に向けて、ラスムッセン氏は3つの「ニット・ストーリー」を制作したという。そのなかには、ランジェリーにもなるデコンストラクションデザインのニットカーディガンや、3D構造のニットコレクションが含まれている。

同じように、パリ在住のデザイナー、ミラグロス・ペレダ氏は、3年前に立ち上げた自身の名を冠したブランドで、ニットウェアがさらに重要な位置を占めるようになってきたと話す。ミラグロス・ペレダは、カプセルコレクションとして初めてニットウェアをローンチした。このカテゴリーは非常に成功し、いまではブランドのコアコレクションの一部となっている。そして現在では、同ブランドはニットスタイルに使用する毛糸を自社で生産している。

ペレダ氏はニットウェアが彼女に創作の自由を与え、売れるものであることを確認した。

「私のニットウェアは着やすく、商業的なアイテムであるセーターが主に中心となっており、ミトンやネックピースなど、実験的でありながらウェアラブルなアイテムで補完している」と、彼女は言う。「あらゆる実験的なものでは、商業的な側面がありながら、なおかつ着用できることが重要だと考えている。実験して遊んでみることで、それらを商業的なものに落とし込むことができる」。

ホームスタイル vs アウェイスタイルのユニフォーム

多くの人々にとって、パンデミックの最中に屋内で過ごす時間が増えたことは、自宅をサンクチュアリ(聖域)にする機会を得たことを意味していた。インテリアの売上は急増し、たとえもうその必要がなくなっても、自宅にいることがトレンディになった。パリ・ファッションウィークの2023年春のショーの多くでは、このことがデザイナーのインスピレーションになっていたようだ。

自宅の部屋をモデルにしたプレゼンテーションを行ったブランドには、ホモログ(Homolog)やアン・イザベラなどがある。一方、デザイナーのルオハン・ニエ氏は、28日水曜にプレゼンテーションで発表した春コレクション全体のインスピレーションとして、キャンドルを選んでいる。キャンドルは、彼女が取り入れた色やプリントだけでなく、ドレープや生地のスタイルの加工にも影響を与えている。

一方、多くの消費者と同じように、家を捨て、旅をする準備ができているブランドもあった。フェイスコネクション(Faith Connexion)の共同経営者でCEOのマリア・ブチェラティ氏は、同ブランドはルイーザヴィアローマ(LuisaViaRoma)との独占契約により、春にスイムウェアを発表する予定であり、そのコレクションの撮影は間もなくサン・バルテルミー島で行われると述べた。

またメゾンキツネ(Maison Kitsune)は、パリのショールームで春の新しいプリントを発表、ブランドの担当者は、ビーチボールを持ったピンナップガールは「西海岸の休日」にインスパイアされたものだと語っている。メゾンキツネは10月、ロサンゼルス1号店をオープンする予定だ。

最後に、9月30日金曜の朝、レオナール(Leonard)のショーでデザイナーのジョージ・ルックス氏は、春コレクションのインスピレーションにカリブ海を選んだ理由についてバックステージで語っている。そのラインは、流れるようなマキシとプッチ(Pucci)のようなプリントにあふれていた。「レオナールのクライアントは旅行が大好きだ」と彼は言う。「これらのドレスは軽いので、好きなだけスーツケースに詰め込むことができる」。

フェイスコネクションのポストパンデミックの方向性

9月30日金曜の午後、エッフェル塔が見えるパリの常設ショールームで、フェイスコネクションの共同経営者でCEOのマリア・ブチェラティ氏が、同ブランドの現在の焦点と次のステップについて語った。新たな小売パートナーの確立に加え、より多くのデザイナーとのコラボレーションを行い、Web3に力を入れていく。 以下では、これらの動きについて彼女自身の言葉で紹介する。

新たなリテールミックス:「パンデミックのあいだ、私たちは米国にはいなかった。生産上の問題があり、さらに当社最大の(米国での)小売店だったバーニーズ(Barneys)が、パンデミック直前に閉店していた。だが、ちょうどその頃に私たちはインターミックス(Intermix)のオンラインと米国の全店舗にローンチを行うことができた。現在は、マックスフィールド(Maxfield)やイクラム(Ikram)などの専門のブティックにも提供している。インスタグラムのフォロワーも米国が一番多く、米国は当社にとってとてもパワフルだ」。

コラボレーションを前面的かつ中心的に押していること:「さまざまなデザイナーに関与してもらうことで、当社はインクルーシブになっている。今シーズンは、ベルギー、フランス、イタリアのデザイナーが参加し、(その結果)3つの商品コラボレーションが実現した。私たちには仲間がいるようなもので、その仲間が服を作っている」。

Web3でのイノベーション:「私たちは未来のブランドだ。フィジカルでデジタルなブランドなのだ。衣服を作るブランドとして20年の歴史があるが、今は(ビジネスに)デジタルサイドがあり、そこで実験して根を下ろしている。これは世界中のアーティストのためのインキュベーターを通じて行われている。アーティストたちは、当社の資産やプロダクションにアクセスし、当社のストアと仕事をする機会を得ることができる。10月4日には(音楽アーティストでインフルエンサーの)ギャビン・マグヌス氏が(2023年春の)イベントに出演し、フェイスの服を着用してくれる。彼が着用するコレクションをバーチャルで展示するとともに、アイテムのNFTも販売する。またデジタルツインもある。(当社が作るものは)すべてデジタルツインを持てる。またブランドへのアクセスをさらに向上させるために、ユーティリティトークンも作成した。現在では、当社はフランスで数少ないWeb3ブランドのひとつとなっている」。

ヒーローズモデルマネジメントに聞いた3つの質問

ジュリアン・ミアション=ホブソン氏は、タレントの個性を優先するエージェンシーで設立7年目となるヒーローズモデルマネジメント(Heroes Model Management)の創業者だ。このファッション月間に、同社は3人の新人をデビューさせ、フェンディ(Fendi)のショーにはマカ・カブレラ氏、プロエンザスクーラー(Proenza Schouler)にはアヴァ・クリスチャン氏、コーチ(Coach)にはレイチェル・ゴフ氏がそれぞれ登場した。今回ミアション=ホブソン氏は、春のファッションウィークが多様なキャスティングをどのように積み重ねていたかについて語った。

今シーズン、あなたから見てもっとも多様性を受け入れていたファッションウィークはどこだった?

「ニューヨーク・ファッションウィークがあらゆる種類の多様性を受け入れていた。サイズ、性別、年齢など、非常に多くのショーでインクルーシビティを目にした。さらにバットシェバ(Batsheva)、コリーナストラーダ(Colina Strada)、ガブリエラハースト(Gabriela Hearst)、トミーヒルフィガー(Tommy Hilfiger)といったブランドの多くが、アクティビストや友人、インフルエンサーやスポーツスターなどを起用し、ショー全体のストーリーに質感を加えていた」。

ヒーローズモデルマネジメントの今シーズンのブッキングでは、全体としてファッションにおける多様性のあり方についてどのようなことを言いたかったのか?

「今シーズンは、当社にとってこれまでで最大のシーズンだった。昨シーズンの41人(合計)に対し、ニューヨーク・ファッションウィークだけで114人のモデルをブッキングしている。我々は一緒に仕事をしている才能ある人々に非常に誇りを持っている。そのほとんどが、モデル以外にも興味や仕事があり、その点が何かしらブランド側から共感を得ているということに我々は気づいた。また、キャスティングや着こなしに対するジェンダーレスなアプローチは新しいものではないが、毎シーズン成長していて、我々もそれを目にするのが楽しみだ」。

パリでのブッキングで特徴的だったことは?

「パリでは(ニューヨークとは異なり)特筆すべきことは何もなかった。ミラノのショーにはいくらか魅力があった。グッチ(Gucci)は、ここしばらく見てきたなかでも、もっともエモーショナルなキャスティングのひとつだったと思う」。

[原文:PFW Briefing: How the pandemic is changing the look and distribution of spring collections]

JILL MANOFF(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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