氷水をかぶる「アイスバケツチャレンジ」で集まった寄付で開発された新薬が認可される

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by Global Panorama

難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究に対する寄付を募るという名目で、氷水をかぶって支援する「アイスバケツチャレンジ」が2014年夏に世界的に流行しました。数多くの著名人が参加する一方で、「苦しむ患者をそっちのけでバカ騒ぎしている」と批判意見もありましたが、実際に「アイスバケツチャレンジ」で集まった寄付が大きな成果につながる研究結果も数年後に出ていました。そして2022年9月には、ALS協会が「アイスバケツチャレンジから調達された220万ドル(約3億円)の資金が、ALSの治療薬として承認された新薬の開発と治験に、重要な資金を提供しました」と発表しました。

FDA Approves First ALS Treatment Funded by Ice Bucket Challenge | The ALS Association
https://www.als.org/stories-news/fda-approves-first-als-treatment-funded-ice-bucket-challenge

ALS Ice Bucket Challenge helped fund the development of a new drug for treatment : NPR
https://www.npr.org/2022/10/01/1126397565/the-ice-bucket-challenge-wasnt-just-for-social-media-it-helped-fund-a-new-als-dr

ALS drug Relyvrio nets FDA approval despite some scientists’ warnings : Shots – Health News : NPR
https://www.npr.org/sections/health-shots/2022/09/30/1126267087/als-drugs-approval-draws-cheers-from-patients-questions-from-skeptics

2014年夏頃に世界的に流行したアイスバケツチャレンジは、「ALS研究に対する寄付をする」か「氷水の入ったバケツを頭からかぶる」かの二択を選ぶというもの。寄付したり氷水をかぶったりした人が、次にアイスバケツチャレンジをする人を指名することで、ALSの認知を広げる意図も含まれていました。単にSNSユーザーの中で流行しただけではなく、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏、Meta(当時Facebook)のマーク・ザッカーバーグ氏、Googleのラリー・ペイジ氏、Amazonのジェフ・ベゾス氏、Appleのティム・クック氏、歌手のレディー・ガガ氏などのセレブたちが氷水をかぶった上で寄付もしたことで、多くの話題を呼びました。

Google・Apple・MS・FBのCEOやホリエモンなど、著名人が氷をかぶる謎のキャンペーンが実施中 – GIGAZINE


その流行の一方で、アイスバケツチャレンジは「難病の支援が目的ではなくバカ騒ぎをしているだけの人も多く、不謹慎なのではないか?」といった批判も多く寄せられていました。しかし、アイスバケツチャレンジの効果により、世界中から1500万ドル(約22億円)もの寄付金が集まっており、アイスバケツチャレンジの流行も完全に収束した2016年には、マサチューセッツ大学医学部の研究チームがALS協会から寄付された100万ドル(約1億4000万円)の研究活動費を使ったプロジェクトで、ALSの原因遺伝子を発見したと発表しました。

氷水をかぶるあの「アイスバケツチャレンジ」で集まった寄付が大きな成果につながる – GIGAZINE

By Anthony Quintano

アイスバケツチャレンジで集まった寄付金のうち約67%がALSに関する研究機関に研究補助金として分配されており、この寄付によってALSの治療法開発が進む可能性が期待されていました。そしてそこから6年が経過した2022年9月末にアメリカの食品医薬品局(FDA)が承認した新薬について、「アイスバケツチャレンジから調達された220万ドル(約3億円)の資金が、今回の新薬開発と治験を助けました」とALS協会が発表しました。ALS協会の会長兼CEOであるカラニート・バラス氏は「これは、治療の早期承認を提唱するために集まったALSコミュニティ全体の勝利です」と述べ、アイスバケツチャレンジからの資金提供が「ALSとの戦いを劇的に加速させた」と語っています。

FDAが承認した新薬「Relyvrio」は、ALSの根本的な治療薬とはなりませんが、症状の進行を大きく遅らせることができるというもの。マサチューセッツ州ケンブリッジの製薬会社・Amylyx Pharmaceuticalsが137人の患者を対象とした研究において、新薬のRelyvrioは患者の寿命を5カ月から6カ月、またはそれ以上延ばす可能性があると研究者たちは示しました。一方で、臨床試験の数が不足している点や、単一の研究に基づいて承認されていることから、Relyvrioに対して疑問視する一部の研究者が懐疑的な意見を述べています。

ALS協会によると、アイスバケツチャレンジの資金は12カ国で130種類の研究プロジェクトと40種類の潜在的な治療法に資金を提供しており、今回承認された新薬だけではなく、さらなる研究の前進が期待されるとのことです。

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2022年10月11日 06時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1e_dh

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