自動操縦飛行機の旅を体験–Xwingは2025年の運用開始目指す

CNET Japan

 筆者は今、小型機の前方2座席のうちの1つに座っている。高度およそ1000フィート(約300m)を、サクラメント市のすぐ西にある地方空港に向かって飛行中だ。間もなく着陸態勢に入ろうとしており、目の前で操縦かんが前方に倒れ始める。だが、隣に座っているパイロットはそれに触れていない。

 「Auto-land sequence initiated(自動着陸シーケンス開始)」と、「Siri」のような声が告げる(今回、その音声アシスタントの名前は「Luca」だ)。

 筆者たちを乗せて降下していく実験用の「Cessna 208 Grand Caravan」は、スタートアップ企業Xwingが開発した無人飛行システム「Superpilot」の完全な制御下にある。同社は今後数年のうちに、複数の無人航空機を運用し、パイロットを乗せずに貨物を配送することを目指している。

Xwingの飛行機
飛行中の自動操縦飛行機
提供:Xwing

 今しがた終わったばかりの着陸は完璧だったとしか言いようがなく、Superpilotは次のフライトに向けて滑走を始めた。Xwingのシステムが独特なのはこの点で、滑走から離陸、着陸まで、フライトの全行程をこなせる。フライトの様子は、記事内の動画をご覧いただきたい。

 自動操縦は、人間による飛行と同じくらい前から存在するが、商用の自律飛行はまだ実現していない。商用の旅客飛行は、90%の時間が自動操縦だと推定されているものの、天候や予期せぬ航空交通のためにリアルタイムの調整が必要になるので、まだ人間が必要だ。そして、滑走、離陸、着陸はほぼ常に手動で行われている。

 「どんな不備も検出して特定し、ミッションを遂行し続けられるように、当社のシステムはイチから設計されている」。そう語るのは、Xwingの最高技術責任者、Maxime Gariel氏だ。

飛行機のセンサー
XwingのSuperpilotは周辺の状況を理解するためにセンサーとカメラを利用する。
提供:Celso Bulgatti

 Superpilotは3つの部分に分けられる。自動操縦システムは、スロットル、ブレーキ、操縦かんなど表面的なコントロールをすべて担う。認識システムは、数十のセンサーとカメラで構成されており、Superpilotが周囲の環境を把握して決定を下せるようにする(Xwingによると、Superpilotは他の航空機を検出し、フライト調整によって衝突を避けることができると証明されているというが、筆者たちを乗せたデモンストレーションでは、その部分は手動で行われた)。通信システムは地上にいる人間のオペレーター、航空管制官、他のパイロットと通信するように設計されている(テスト中、Superpilotはまだ航空管制官とは通信していない。現在はその機能を地上にいる人間のオペレーターが受け持っており、そのオペレーターが、すべて順調かどうか航空機のモニタリングも行っている)。

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