ドア型ロボットが置き配を受け取り、遺影は踊る時代!Maker Faire Tokyo 2022に行ってきた

デイリーポータルZ

「Maker Faire Tokyo」 が2年ぶりにリアル開催された。

9月3日(土)、9月4日(日)の2日間に渡って、久々の夏の祭典が繰り広げられた。

テクノロジーを使い、電子工作、手芸や美術など幅広いジャンルで、今までにない新しいものづくりを展開しているイベントである。

テクノロジーって聞くと難しそうで、私に理解できない横文字の会話が飛び交っていたらどうしようと思っていたのだが、全然そんなことはなく、大いに癒されるイベントだったので皆にご報告したい。

 

R2-D2発見

軽快な音楽が聞こえてきたので行ってみると、スターウォーズに出てくるR2-D2がいた。

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クラブで踊っているかのようなテンションのR2-D2

こんなキャラだったっけ?もうちょっと控えめに感情表現するタイプだったような……。実は人が集まるところで陽気に踊ったりするやつだったのか。

学校のクラスでは全然喋らないのに、何故か部活で会うとテンション高い、みたいな二面性を垣間見たようで、しばらくじっと見つめた。

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R2-D2は2台いて、もう1台の方は少しおとなしめにしていた。

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キャラが違うだけあって、中の構造も違う

中を見たいという要望が多いので、常に後ろを開けているらしい。

映画では見られない、レアな光景である。

かわいそうに思えてくる置き配ロボット

ロボットに心は無いと言われるが、思わず、「無理しなくていいよ」と声をかけたくなるロボットがいた。

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置き配の荷物を受取ってくれるロボット

ドアの外からロボットに荷物を渡すと、両腕で受け取ってくれるのだ。家を留守にしていても、家主が帰ってくるまで盗難から守ってくれる!頼もしい!

近づいてみると手に包帯を巻いてあることに気が付いた。ロボットに包帯?

作者の方に聞いたところ、

「使いすぎて、包帯を巻いてないと持てなくなっちゃった」

とのことだった。

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まさかの腱鞘炎!

「荷物渡してみてください」と言われたが、腱鞘炎のロボットに持たせるのはちょっと気がひける……。

でもやっぱり受け取るところを見たかったので、そっと荷物を渡してみた。

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無理しないでね……!

手の甲を撫でると荷物を離してくれるようだ。

受け取ってくれてありがとう!手首お大事に……!

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ハグもしてくれる。むしろこちらが抱きしめてあげたい

この置き配ロボットの作者は、もう一つ作品を出していた。

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何もいないのに、水が減ったり、回し車がまわったりする。

生き物の気配だけある、イマジナリーペットだ。

これなら家を開けがちな人でも飼うことができる!

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そこに「何か」がいる

これは、いい!欲しい……!!新ジャンルの癒しだ!

クワガタ版も作って欲しい。職場に置きたい。

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踊る遺影

事前にTwitterで出展作品をチェックしていたとき、ぐっと引き込まれる作品があった。神妙な面持ちで立っている喪服のお二人の横で、キレキレに踊り出すファンキーなおばあちゃんの遺影である。

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この遺影が踊ります

 

遺影の写真かと思いきや、実は液晶画面になっている。前に置いてあるおりん(仏具)を鳴らすと、遺影の中でおばあちゃんがマイケルジャクソンのスリラーの音楽と共に踊りだすのだ!

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途中からおじいちゃんも合流。2人ともキレキレダンス
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ノリノリになる孫達。3人を前に本気で踊るおばあちゃん、おじいちゃん最高!
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そして最後は手を振りながら月までのぼってゆく

終始おばあちゃん愛に溢れたこの作品、ツイートにもある通り、おばあちゃんはご健在らしい。この作品をとても気に入っているらしく、本当の遺影もこれを使って欲しいと言っているそうだ。

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おばあちゃんが梨好きらしく、お供えに置いている

写真撮っていいですか?と聞いたら、

「じゃあ正装してきます!」と言って靴と上着を着替えてくれる徹底ぶり。

本物のお坊さんにも評判が良かったみたいだ。

実際こんなサービスがあったら私も利用したい。

コスパのいいロボット

大体のロボットは、どういう仕組みで動いているのか素人目には一切分からなかったが、私でもなんとなく構造が理解できるロボットを発見した。

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ファーストフードのキャッチコピーのようなブースを発見。
「さわっていいです!」の札が牛乳パック製という雑さが味わい深い

100均のもので作られているというこのロボット達。ほとんどの部分がアイスの棒っぽいものでできている。

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トイストーリーで出てくるワルい子に、魔改造されたようなビジュアル
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毛玉取り機、電車のおもちゃなど、100均で見たことがあるものが動力になっているようだ

意外とこういう身近にあるものでも、組み合わせればロボットがつくれるのだな。

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走るエリーちゃんという衝撃の作品。本来の足をぐっと折り曲げて、違う足で走らせる様は狂気を感じたが、エリーちゃんの足を切らないという作者のやさしさも垣間見える(エリーちゃんは100均で売ってる人形)

デジタルな楽器たち

楽器も数多く出品されており、実際に演奏しているブースも沢山あった。

重低音が響き、そこだけクラブのような音楽がなっているブースがあり、近づいてみたらなんと洋服で演奏していた。 

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「バーコードレス」という名前の着る楽器!

バーコードリーダー(レジでバーコードを読み取る機械)を使って演奏しているのだ。

重低音のビートが刻まれているが、レジで聞く、「ピッ!」という音も出せるらしい。

服全体をシマシマのバーコードのような柄にして、バーコードリーダーの服との距離や動かす速さなどで音色を変化させている。

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シマシマの間隔を変えると音がかわる

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実際にダンサーの方に服を着てもらい、ダンサーが踊っているところに何人かでバーコーダーを当てて演奏したらしい。

観てみたい!どんな舞台なのか気になる!!

服のシマシマは全部手作業でつけているらしく、本番のギリギリまで貼り付ける作業をして大変だったそうだ。

「エレクトロニス・ファンタスティコス!」というチームで活動されており、古い電化製品を使って、新しい電子楽器を作っているとのことだった。

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夕方の電池切れ問題

日曜日にイベントを見に行ったのだが、2日目ということもあってか、夕方になると電池切れやメンテナンス中の作品も多く見られた。

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イカロボットも電池切れで動いているところを見られず

作者の方がイカ好きなので、イカの生体に寄せた作りをしているのだ。

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ちゃんと漏斗(イカの水や墨を吹き出す器官)から水がでるしくみを再現している!すごい!

ヒレもちゃんと動くらしい。見たかった……!!

今度来るときは1日目の朝に来よう。

その他にもいろいろ

気になった作品をざっと紹介したが、面白い作品はまだまだ沢山ある。

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無限にプッチンできるプリン。子どもが20分ぐらいやり続けていた
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リンゴが切れるiMac。横から出てくる
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いろいろな動物の心臓のリズムを、振動で感じられる絵本
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タコのリズムがゆっくりで心地いい
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個人的にとても好きだったペーパークラフト。トイレットペーパーの芯の丸みを、ダンゴムシにしているのだ!ちゃんと丸まるのがすごい

それぞれの作品に作者の思いが詰まっており、ゆっくり見ていたら全然時間が足りなくて、最後は会場を走りながら回っていた。

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蛍の光を大合奏しているブース

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イベント終了が近づくにつれ、まるで打ち合わせをしていたかのように楽器系のいくつかのブースで「蛍の光」を演奏していて、謎の一体感が生まれていた。

今まで遠くに感じていた電子工作の世界だったが、踏み込んでみるとロボットに意外な人間味を感じたりして、想像以上に癒された時間だった。

今年も参加しているデイリーポータルZ

当サイト、デイリーポータルZも例年出展している。ブースでは、ライターのほりさんがピカピカのユニフォームを着ており、入部初日の高校生のような眩しさを放っていた。

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バットを振るのと連動してPCの中のくまがホームランを打つゲーム、が子どもに大人気!
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参加するとシールがもらえる。欲しかったが、タイミングを逃してプレイできず

最近このシールの絵をLINEスタンプにしたらしいので、欲しい人はチェックしよう!

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ナミノリさんは和服から洋服になるトランスフォームの服!かっこいい〜!
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べつやくさんのとまります仮面!紫の髪と洋服に、とまりますボタンが合う!
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機械が全てぜんまい式のようになる、斎藤さんの「なんでもぜんまい」。パッケージもかわいい!クラウドファンディングで商品化プロジェクトも行っている
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爲房さんの考えなくても一気に有利な局面になる接待リバーシ。論文風に書いた「おおきなかぶ」も展示されていた!
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林さんからは賢くなる紙を入手。会場内でもつけている人に沢山遭遇した。顔もでかくしてもらった

常連クリエイターのアップデートを楽しむ

昨年がコロナ渦でオンラインのみのイベントとなり、常連の出店者はリアル開催を待ちに待ったことだろう。

以前ネッシーあやこさんが書いていたレポート記事で紹介されていた方がまた出展されていた。

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以前はティッシュを引き抜くと波動拳が出ていたが、今回は消毒液をプッシュすると消竜拳がでる仕組みに

ちゃんと時代を反映してしている!

常連の出店者の作品のアップデートを追いかけていくのも、楽しみ方のひとつかもしれない。

この楽しいイベントが、また来年も無事に開催されることを祈っている。

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