【ゲーム別GPU性能総比較】「Microsoft Flight Simulator」をGPU 22種類で性能検証!

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Microsoft Flight Simulatorの検証では、ディスカバリーフライトのナポリでAI操縦を2分間行なった際のフレームレートをCapFrameXで計測している

 本連載では、GeForceとRadeonシリーズのGPUを多数使い、特定のゲームのフレームレートを一斉比較していくことで、どのGPUが自分にとってのベストチョイスであるかを示していく。第11回目は世界中を3Dで再現したことで話題となったフライトシミュレータ「Microsoft Flight Simulator」だ。

 用意したGPUは主にハイエンドからミドルレンジでGeForceは15種類、Radeonは7種類の合計22種類のビデオカードだ。取り上げるGPUとそれを搭載するビデオカードの製品名およびスペックは、使用したPCの環境も含めて、記事の最後にまとめている。

 テストの条件だが、グラフィックのプリセットは最上位の「ウルトラ」に設定。DLSSは使用していない。アンチエイリアスは「TAA」、DirectXは「DX11」とした。

Microsoft Flight Simulatorのグラフィックス設定

グラフィックのプリセットになるグローバルレンダリング品質は最上位の「ウルトラ」に設定。レンダリングスケーリングなどはデフォルトのまま。垂直同期はオフにしている

データ接続関係の設定はすべて「オン」とした

 このゲームはベンチマーク機能を備えていないので、ディスカバリーフライトからナポリを選び、AI操縦を2分間行なった際のフレームレートをCapFrameXで計測。今回はその測定結果から、フルHDと4Kの平均フレームレートを掲載する。

 約3万7,000箇所の空港を収録するなど、世界中のあらゆる土地をリアルに再現するフライトシミュレータだけにマシンパワーを求める「重量級」ゲームに分類される。

 発売は2021年11月で、現在までに無料アップデートは第10弾まで続いており、より精密化した都市の追加やパフォーマンスの改善などが精力的に行なわれている。2022年11月にはシリーズ40周年を記念した超大型アップデートも予定されており、いまからGPUごとのパフォーマンスをチェックしておくのもよいだろう。

 動きの激しいアクションゲームではないので、今回はプレイできるラインをいつもの平均60fpsではなく、平均30fpsとしたい。もちろん快適にプレイしたければ、フレームレートは高いほうがよい。

 フルHDで見るとエントリークラスのGTX 1650/1630以外は平均30fpsをクリア。GTX 1060やRX 5500 XTなど旧世代が意外に健闘している。

 なお、ハイエンドクラスを見ると平均93fps前後で頭打ちだ。GPU使用率を見るとハイエンドクラスは100%に届いておらず、95fps程度がこのゲームの上限と見るべきだろう。

 4Kになると描画負荷は強烈に高い。平均30fpsに届くのはGeForce系ではRTX 3060 Ti以上、Radeon系ではRX 6800以上とミドルレンジを超える性能が必要だ。

 平均60fpsでプレイできるのはRTX 3090だけと4Kの最高画質で滑らかな描画を求めるなら、最上位クラスのGPUが必要と言える。GeForce RTX系ならアップスケーラーのDLSSを使って描画負荷を下げてプレイしたほうがよいだろう。

 グレードごとに見て行くと、GeForce系ではRTX 3060 Ti/3060/3050で大きくフレームレートが下がっている。CUDAコア数の減少に加えて、メモリバス幅も256bit→192bit→128bitと狭くなっているのが影響しているのだろう。Radeon系はグレードごとに順当にフレームレートが落ちている印象だ。

 GTX 1650/1630はCUDAコア数が少ない、メモリバス幅が狭い、ビデオメモリが4GBだけと、軽めのゲームをフルHD解像度で遊ぶにはよいが、重量級ゲームを高画質で遊ぶには厳しいスペックと言える。

 Microsoft Flight Simulatorは景色がすばらしく美しいので、できればハイエンドクラスのGPUを利用し、4K解像度でのプレイをオススメしたい。

使用PCはCore i9-12900K搭載のマウスコンピューター「G-Tune XP-Z」

 この連載で使用しているPCはマウスコンピューターのハイエンドゲーミングPC「G-Tune XP-Z(プレミアムモデル)」だ。

マウスコンピューターの「G-Tune XP-Z(プレミアムモデル)」。メモリはDDR4-3200が32GB、ストレージには1TBのNVMe SSDと4TBのHDDを搭載。価格は60万4,800円から(販売時期によって価格が異なる場合がある)

 CPUはCore i9-12900K(16コア24スレッド)、マザーボードはZ690チップセット、CPUクーラーは36cmクラスの簡易水冷を採用しており、ビデオカードの性能測定をする上でCPUが可能な限り、ボトルネックにならないようにしている。電源も1,200Wとこちらもどのビデオカードと組み合わせも不安のないものだ。

 なお、CPUのパワーリミットについてはLong Duratin Power Limit(PL1)が125W、Short Duratin Power Limit(PL2)が241Wに設定されていた。

ゲーム別GPU性能総比較 記事一覧

使用したビデオカード一覧

 ここで使用している多くのビデオカードは定格クロックで動作しているが、一部OCモデルも含まれている(GPU一覧表のブーストクロックが括弧内のクロックよりも高いものがOCモデル)。

 ASUSのROG STRIXシリーズにはBIOS切り換えスイッチが搭載されているが、すべてパフォーマンス用の「Pモード」に設定。ツールを使うことでブーストクロックをより高められる製品もあるが、今回はツールを使わず、すべてデフォルト状態でテストを実行した。

 また、NVIDIAのResizable BAR、AMDのSmart Access Memoryは有効にできるGPUはすべて有効にしている。

【表】使用GPU一覧
GPU 製品名 シェーダー数(CUDA・SP) メモリバス幅 ビデオメモリ ブーストクロック
(定格)
カード電力
(定格)
GeForce RTX 3090 MSI GeForce RTX 3090 VENTUS 3X 24G 10,496 384bit GDDR6X 24GB 1,695MHz
(1,695MHz)
350W
(350W)
GeForce RTX 3080 Ti MSI GeForce RTX 3080 Ti VENTUS 3X 12G 10,240 384bit GDDR6X 12GB 1,665MHz
(1,665MHz)
350W
(350W)
GeForce RTX 3080 MSI GeForce RTX 3080 VENTUS 3X 10G 8,704 320bit GDDR6X 10GB 1,710MHz
(1,710MHz)
320W
(320W)
GeForce RTX 3070 Ti MSI GeForce RTX 3070 Ti VENTUS 3X 8G 6,144 256bit GDDR6X 8GB 1,770MHz
(1,770MHz)
290W
(290W)
GeForce RTX 3070 MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC 5,888 256bit GDDR6 8GB 1,755MHz
(1,730MHz)
220W
(220W)
GeForce RTX 3060 Ti ZOTAC GeForce RTX 3060 Ti 8G GDDR6 HDMI/DP*3 4,864 256bit GDDR6 8GB 1,665MHz
(1,665MHz)
200W
(200W)
GeForce RTX 3060 ZOTAC GeForce RTX 3060 12G GDDR6 HDMI/DP*3 3,584 192bit GDDR6 12GB 1,777MHz
(1,777MHz)
170W
(170W)
GeForce RTX 3050 メーカー不明 GeForce RTX 3050 2,560 128bit GDDR6 8GB 1,777MHz
(1,777MHz)
130W
(130W)
GeForce RTX 2080 ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING 2,944 256bit GDDR6 8GB 1,860MHz
(1,710MHz)
245W
(215W)
GeForce RTX 2070 ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI 2,304 256bit GDDR6 8GB 1,650MHz
(1,620MHz)
175W
(175W)
GeForce RTX 2060 ASUS DUAL-RTX2060-O6G-EVO 1,920 192bit GDDR6 6GB 1,755MHz
(1,725MHz)
183W
(160W)
GeForce GTX 1660 Ti ASUS TUF-GTX1660TI-6G-EVO-GAMING 1,536 192bit GDDR6 6GB 1,770MHz
(1,770MHz)
120W
(120W)
GeForce GTX 1650 ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK 896 128bit GDDR5 4GB 1,710MHz
(1,665MHz)
75W
(75W)
GeForce GTX 1630 ASUS PH-GTX1630-4G 512 64bit GDDR6 4GB 1,785MHz
(1,785MHz)
75W
(75W)
GeForce GTX 1060 ZOTAC GeForce GTX 1060 AMP! Edition 1,280 192bit GDDR5 6GB 1,772MHz
(1,708MHz)
120W
(120W)
Radeon RX 6900 XT ASUS TUF-RX6900XT-T16G-GAMING 5,120 256bit GDDR6 16GB 2,335MHz
(2,250MHz)
300W
(300W)
Radeon RX 6800 Radeon RX 6800リファレンスカード 3,840 256bit GDDR6 16GB 2,105MHz
(2,105MHz)
250W
(250W)
Radeon RX 6700 XT Radeon RX 6700 XTリファレンスカード 2,560 192bit GDDR6 12GB 2,615MHz
(2,581MHz)
230W
(230W)
Radeon RX 6600 XT ASUS ROG-STRIX-RX6600XT-O8G-GAMING 2,048 128bit GDDR6 8GB 2,607MHz
(2,359MHz)
160W
(160W)
Radeon RX 5700 XT ASUS TUF 3-RX5700XT-O8G-GAMING 2,560 256bit GDDR6 8GB 1,905MHz
(1,905MHz)
225W
(225W)
Radeon RX 5600 XT ASUS ROG-STRIX-RX5600XT-O6G-GAMING 2,304 192bit GDDR6 6GB 1,750MHz
(1,560MHz)
150W
(150W)
Radeon RX 5500 XT ASUS DUAL-RX5500XT-O4G-EVO 1,408 128bit GDDR6 4GB 1,845MHz
(1,845MHz)
130W
(130W)

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