コンセッション方式で拡大するクレアーズの リテール 戦略:ウォルマートからギャラリー・ラファイエットまで

DIGIDAY

ライアン・ベロ氏は、2019年にジュエリーブランドのクレアーズ(Claire’s)のCEOに就任した際、チャンスを見出した。同社には何千店という直営店があったが、認知度を活用して他の店舗で製品を販売することはまだ行われていなかった。

ウォルマートから高級デパートまで幅広く進出

9月20日の時点でクレアーズのネットワークにはウォルマート(Walmart)の1200店舗が加わり、同ブランドの製品を販売するウォルマートの店舗数は2500店になった。また、Walmart.comでも製品の取り扱いがある。

だが、クレアーズの小売パートナーはウォルマートだけではない。2019年でクレアーズ製品を販売しているマルチブランド小売業者はCVSだけだった。現在では、ウォルマート、トイザらス(Toys “R” Us)、フランスのデパート、ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)など何千もの小売店で取り扱われている。ウォルマートをのぞくほとんどのパートナーシップは実店舗のみで、eコマースはない。同社の他店舗で販売されている製品分類は2021年には70%の成長を見せた。今年はすでにさらに100%の成長を遂げており、事業の11%を占めている。

パーティシティ(Party City)の元社長であるベロ氏は次のように述べている。「ナイキ(Nike)やアップル(Apple)のようなもっともアイコニックなブランドは、個々の製品だけではなく自社ブランドを売り込みマーケティングしている。実際ナイキはかつてクレアーズと同じようなことを行っていた。自社店舗を運営していたが、ブランドのメッセージ全体を強化するために他社の店舗で販売するようになった。当社がほかの店舗で売る場合、数点の商品を提供するだけではない。クレアの品揃え全体の展開を試みている」。

コンセッション方式のメリット

そのために、クレアーズは卸売りモデルではなくコンセッション方式で小売業者と独占的に協働している。コンセッション方式を使うブランドは、自社製品の価格設定、陳列、マーチャンダイジングをより管理することができ、小売業者のほうは実際に在庫を購入しない。コンセッション方式からのクレアーズの売上は2021年に9400万ドル(約135億円)に増加した。

コンセッション方式は、特に製品の陳列方法にうるさいラグジュアリーブランドのあいだで人気のモデルである。ノードストローム(Nordstrom)は昨年、主にコンセッション方式を通じてパートナー・共有の収益を5~30%拡大することを発表した。また、2021年8月にファーフェッチ(Farfetch)は20のトップブランドをeコンセッションモデルに移行している。通常、ブランドが各販売からの大部分の収益を得る。卸売による販売と比較して小売業者の取り分は少ないが、在庫を購入するリスクを負わないというメリットがある。

ベロ氏にとっては、コンセッション方式の魅力と小売業者に対する比較的軽めのリフト値は、クレアーズの製品をギャラリー・ラファイエットのような高級店も含めたより広範な店舗に売り込めることを意味している。

「ウォルマートとのパートナーシップは当ブランドの強さを試すものだ」とベロ氏。「世界中の店舗にクレアのブランドスペースがある。ハドソンズベイ(Hudson’s Bay)とギャラリー・ラファイエットと協働している。グッチ(Gucci)とプラダ(Prada)の隣に陳列されている。ウォルマートには毎日何百万人もの客が足を運ぶ。これは当社にとって絶大なチャンスだ」。

小売業者にとって、コンセッション方式は品揃えがあまり充実していないカテゴリーに食い込むための低コストの方法を提供するものだ。たとえば、ウォルマートが取り扱うジュエリーの品数は少ない。ウォルマートのジュエリー・アクセサリー担当バイスプレジデント、ミシェル・ギル氏は、同社は「ファッション関連の購入先としての地位を確立しつつあり、高品質で、トレンディで、手頃な価格のアパレルとアクセサリーの品揃えを拡大することにフォーカスしている」と語っている。

ベロ氏によると、コンセッション販売の増加によってクレアーズは直営店の戦略に再びフォーカスできるようになったそうだ。同社は2600の直営店と300を超えるフランチャイズを運営している。これまで店舗の多くは大規模なモールに出店している。ベロ氏は、今では店の構造を狭くして、クレアーズの顧客基盤が強い地域にフォーカスするように変更を試みていると述べている。最終的には直営店をもっとも効率的な場所に集中させて、店舗総数の変更を最小限に抑えることを狙っている。

「モールにある店舗の割合を大幅に削減した」とベロ氏。「モール内店舗はまだあるが、グリーンストリート(Greenstreet)によると当社店舗のあるモールはAかBグレードのモールだ。現在はアウトレットやライフスタイルセンターなどへの出店にフォーカスしている」。

[原文:From Walmart to Galeries Lafayette: Inside Claire’s expansive retail strategy

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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