岸田首相のNISAの恒久化案、だけどそれよりどうやって増やす?

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西九州新幹線の長崎-武雄温泉が開通しました。その距離わずか66キロ。新鳥栖と武雄温泉間はフル規格を推進したい国と新幹線のメリットが十分享受できないと主張する佐賀県の間で着工の目途どころか、話し合いのきっかけすらありません。似たような話はリニア建設を進めるJR東海と静岡県も同様です。他の国なら重要度次第で一定のプロセスを経て推進に正当性があれば国の強権で進められます。この辺りにもプロジェクト推進力の低下を感じさせます。人々のマインドは「昔は我慢できたけど今は絶対に許さない」となれば国家規模の事業など今後、日本で進めることは不可能になりませんかね?

では今週のつぶやきをお送りします。

為替介入懐疑論

木曜日午後、日銀の政策決定会合の記者会見で黒田氏がブレない金融緩和継続姿勢を表明しました。諸外国との政策の違いが浮き彫りとなり円安になりやすい地合いでした。146円にじわっと向かっていたその瞬間に介入を行い、一気に5円ほど円高に振れます。日銀がこの介入で何兆円の外貨準備の現金を使ったかわかりませんが相当額でしょう。為替益も巨額とされます。ただ、日本単独の介入だけに技術的には金曜日の祭日の薄商いというリスクは承知とすればずいぶん思い切ったことをしたと思います。

この介入について私はもちろん懐疑派です。そもそも根本問題として欧米をはじめとして主要国が大きく利上げを進めている中、日本だけがポツンとマイナス金利である理由が十分に説明できません。日本は世界経済とリンクしていないのでしょうか?インフレ傾向がようやく数字として表れましたがそれでも軽微ゆえに緩和継続という黒田氏の判断はそこだけ見れば正当性があります。ただ、私は90年代以降、日本経済の歯車が狂い、未だ樹海をさまよったままと考えています。

もう一つ、黒田氏寄りの考察として氏が欧米のインフレがいずれ収まると期待している節です。それならば自分が任期の終わりまでには欧米の狂乱利上げ競争は終わり、景気後退が鮮明になり、心理的にドル一強が反転すると予想できます。これは私も一定程度同意します。確かに対ドルでユーロもカナダドルも韓国ウォンも真っ青な状態で円だけの問題ではありません。ただ、円の下げ幅が他通貨に比べて圧倒しているのです。私がジョージソロスなら恐ろしいほどの資金力で円を売ります。180円ぐらいまで売りをすれば「日銀を負かした男」として歴史に残るのでしょうか?

世の中どこか狂い始めている、一抹の不安

ロシアの話ではありません。私の周りでこの1週間に起きた出来事です。一つ目はマリーナのマネージャーからの報告。「昨夜夜中の1時半に海岸遊歩道で女が叫び声を上げながら暴れ、挙句の果てに海に飛び込んだ。そのまま泳ぎ、うちのマリーナによじ登った」と。通行人が警察を呼び、船に泊まっていた顧客がその一部始終を捉え、警察はその女を連行しました。その二。弊社のマリーナに停泊するチャーターボートでその日、ある高校の日帰り航海の遠足がありました。その高校に相当の悪ガキがいたのでしょう。クルーズの際に乗船予定の特定の女子学生を海に突き落とすと予告しました。

学校はその悪ガキ一味をその遠足に参加させない決定を下しました。するとその悪ガキは遠足当日、うちのマリーナに腹いせで爆破予告をしてきたのです。オーマイガーです。話の前後関係が判明し、悪ガキの電話番号もわかり、学校にすぐに通告、少なくとも爆破はされませんでした。その三。私と同じマンションに住むN氏は超金持ちなのに酒癖が悪いトラブルメーカーです。10日ほど前、隣接するホテル駐車場でインド人警備員が車の中で夜食のサンドウィッチを食べていたところ、つかつかと歩み寄り、罵声を浴びせ、そのハンバーガーを一口、自分の口に入れ路上に捨てます。警察が来たけれどお咎めなし。一昨日、N氏はタクシーで泥酔い帰宅するとタクシー代を踏み倒し、別のインド人警備員に暴行。残念ながらその行為は全て私どものセキュリティカメラに写っていて警察に証拠が渡るところです。この場合、逮捕より怖いのは裁判での接近禁止命令で、そうなればN氏は引っ越しを余儀なくさせられます。

日本ではこんなトラブルは全国版ニュースになりかねないのですが、こちらでは日常茶飯事とは言わないまでも珍しくはありません。ただ、このところの「とち狂い感」が半端ではない気がします。人々のメンタルはそれほど強いわけではありません。ポストコロナはコロナという疾病だけではなく、強いストレスと思った通りに行かないというフラストレーションも生んだ気がします。物価は上がる、株価は下がる、人間関係は微妙、空港も道路も渋滞、欲しいものは手に入らない… そうなるとこの不満をどこにぶつけたらよいのでしょうか?もう、我慢が出来ない、となれば倫理観も道徳観も崩れつつあるのでしょうか?別の怖さを感じます。

NISAの恒久化案、だけどそれよりどうやって増やす?

NISA(小額投資非課税制度)を恒久化したいとようやく岸田首相が重い腰を上げました。そもそもこれが時限だったことを多くの人が忘れています。だからといって2千兆円の潜在個人資産に対して27兆円しか利用されていないというのはちょっと暴力的な比較でそもそもapple to appleではありません。カナダにも同様の仕組みはあり、良く機能しています。いわゆる年金の二階部分を自分で作るという発想でよいのだと思います。

ニューヨーク証券取引所でスピーチする岸田首相 首相官邸HPより

どうやって運用するかといえば私の場合は10年15年寝かせるつもりで配当株を安い時に購入してあとはほったらかしです。配当がたまればまたそのお金で配当株を買う、あるいは目標株価に達したら乗り換えるという作業を時々すればある程度セミオートで資産は貯まります。では日本でそんなセミオートの資産運用が可能か、と言えば配当株を利用すれば増え方は遅いかもしれませんが、可能だと思います。なぜ日本の増え方は遅いのかといえば企業、ひいては日本にそれだけの成長力がないからです。

私の友人が日本人向けに不動産投資マネーをアメリカに呼び込みたいと。しかも相続税対策もできると。仕組みは比較的簡単なのですが、この種明かしをすると怒られるのでしません。実は私もあるスキームを実行するつもりです。名づけて「元気なうちに相続にかかる税を確定しちゃおう作戦」であります。それこそあと2-30年頑張れるというタイミングで資産額と相続にかかる税の主要部分を確定させ、将来の会社の成長分を次の人にバトンタッチさせるのです。もちろん、自分は社長のまま、そして会社の経営権も維持できます。この発想に応用をかけたのが私の友人のプランです。これならば日本から外国に資金が恒常的に動きやすいスキームが出来てしまいます。日本在住の個人は得するけれど日本政府は嫌がるでしょう。だけど世界との成長力の差を取り込めるその潜在需要は極めて高いはずです。

後記
日本は台風に大雨続きで連休も散々のようですがこの異常気象ともいえる話はここカナダでも同じ。カナダ東部にハリケーンがこの週末上陸するため、厳戒態勢が敷かれています。ハリケーンといえば一昔前はフロリダあたりがメッカでしたが温暖化の影響はハリケーンをも北上させているようで、地元は戦々恐々としています。台風に強い沖縄や九州と違い、東北、あるいはカナダなどはその備えや防災体制が十分ではないため被害が甚大になりやすい弱点があります。本当に悩ましい時代になりました。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年9月24日の記事より転載させていただきました。