ビーコンによる位置情報を把握しコミュニケーションの無駄を省く
「チャットはどこからでもコンタクトしてコミュニケーションを取るには非常に便利ですが、直接会いたい、近くにいる人に伝えたいというとき、画面からでは相手がどこにいるのかが分からず、確認に手間取ることがあります。Beacapp Hereは、誰がどこにいるかをリアルタイムに確認できるので、チャットとの親和性は高いのではと考えていたところ、マイクロソフトさんのTeamsと連携させていただくことになりました」と語るのは、株式会社ビーキャップ代表取締役社長の岡村正太氏だ。
株式会社ビーキャップ 代表取締役社長 岡村 正太氏
株式会社ビーキャップが手掛けるBeacapp Hereは、ビーコンを活用してオフィスや工場、現場などで誰がどこにいるのかをフロアマップ上に示してくれるサービスだ。ビーコンとは、簡単に言うと一定の信号を発した電波を受信し、位置などを特定するものだ。例えば、身近なものでは新型コロナウイルス感染者に接触したかどうかのアプリのように、近くにいたかどうかの判断にも同様の手法が用いられている。
ビーコンはBluetooth Low Energy(BLE)の電波を用いて実現できるため、スマホをビーコン受信機器として活用できる。そのためビーコンをオフィス内に設置し、アプリをインストールしたスマホを身に着ければ、その人の位置が分かるようになり、導入も非常に容易くなっている。
Beacapp Hereでは、スマホ用のアプリのほか、専用のカード型ビーコンが用意されており、オフィスや工場、現場の規模や用途に合わせて組み合わせられる。ビーコンを会議室やワークスペース、コミュニティスペースなどに設置することで、その周囲にスマホやビーコンを持った人が近づけば検知され、誰がどこにいるかが瞬時に分かる。
「アプリは一度起動しておけば、特に操作は不要です。ブラウザやアプリからサービスにアクセスすると、誰がどこにいるのかを確認できます。また、ミート機能というのが用意されていて、登録した人が自分と同じ拠点に出社(ビーコンに近づくと)するとプッシュ通知してくれるので、『あ、今日は出社しているな』ということも、アプリを開かずとも分かるようになっています」(岡村氏)。
同様のサービスはほかにもあるが、Beacapp Hereの最大の特徴となるのが特許技術の「検知向上用ビーコン」による検知率の高さだ。通常、ビーコンを検知する際、ずっと同じ場所にいると状態の変化がないため、機器が省電力モードになってしまい検知されなくなってしまう。ところが、検知向上用ビーコンには、定期的に変化を起こすことで長時間検知されないことを防ぐ。そのため、アプリがバックグラウンドで動作していても、検知率を下げることなく利用できるため、利用する度にアプリを起動するということも不要になる。
さらに、初期導入費用も比較的安く、月額利用料もかなり抑えられており、現在170社が導入し、ユーザー数は10万人を突破している。導入者数、ユーザー数ともにナンバー1の実績を誇っている(2021年11月時点(株)東京商工リサーチ調べ)。IT導入補助金2022の利用で、最大半額補助が可能なため、補助金を活用すれば中小企業でも導入しやすくなっている。
ハイブリッドワークの時代にピッタリのTeamsとの融合
コロナ禍によって急激に働き方が変わり、オフィスだけでなくテレワークとして自宅やシェアオフィスなどで働くハイブリッドワークが浸透してきている。いつ誰がオフィスにいるのかを管理・把握するのはとても手間だが、Beacapp Hereがあれば誰がどこにいたのかというログがすべて記録され可視化されるため、手動で管理する必要がなくなる。
「オプションになりますが、ホテリング機能というのがあり、登録したスペースの予約・管理がビーコンで運用できるようになります。例えば、この機能で会議室やフリーアドレスのスペースを予約していれば、その日は出社するということですから、出社予定の管理としても活用できます」(岡村氏)。
そして今回のTeamsとの連携により、さらに活用方法が広がると岡村氏は言う。
「まず大きいのが、Teamsアプリから直接Beacapp Hereを呼び出せることですね。フロアマップから連絡したい人のアイコンをタップするとTeamsアイコンがあるので、そのままチャットへ移行できます。例えば、商業施設で近くにいるスタッフを呼び出したいとき、わざわざチャットで『どこどこにいる人いませんか?』などと呼びかけて反応を待つより、Beacapp Hereで近くの人を確認し、直接チャットするほうが効率的です。また、作業現場にいるスタッフに指示したいときでも、そこにいる人があらかじめ分かっていれば、無駄なやり取りをしなくてすみます。こうした現場で位置情報とコミュニケーションがうまく組み合わせると、生産的な職場になると確信しています」。
そのほかの活用事例としては、例えば商業施設で迷子が発生し、Teamsチャットでスタッフ全員に情報を共有。その後、迷子を発見した際に、発見したスタッフの居場所を確認することで、スムーズに保護者へ引き渡せる。オフィスでの活用例としても、例えば、フリーアドレスのオフィスで、誰がどこで作業をしているのかは把握しづらいときに直接相談したい相手の居場所をBeacapp Hereで確認し、Teamsのチャット機能で連絡が取れるなど手間を軽減できる。
また、ビーコンは人だけでなく物にも取り付けられる。例えば病院の医療機器に取り付けておけば、広い院内でその所在が分からなくても、Beacapp Hereですぐ場所を確認。近くにいるスタッフにTeamsチャットで指示すれば迅速に機器の受け渡しが可能になる。
岡村氏は「オフィスで会いたい人が違うフロアにいることをBeacapp Hereで確認し、『ランチに行かない?』とTeamsのチャットで連絡といった気軽な使い方もできますし、残業している社員を見つけて『お疲れ様』というようなメッセージを投げられます。社員からするとお節介と思われるかもしれませんが、経営者にとっては大切な社員なので、勤務状況を把握できるのは大事だと思っています。また、災害時も逃げ遅れなども把握できるのでかなり重宝するのではないでしょうか」。
Beacapp Hereは企業の課題を洗い出す裏方に徹する
Teamsとの連携もまだ始まったばかりで、今後も位置情報を起点としたTeamsのコミュニケーションを強化していきたいと岡村氏は語る。
「いま、オフィスをもっと活用するために、さまざまな企業が悩んで試行錯誤しています。特に会議室や座席などの予約系が顕著です。各企業が改善しようという取り組込みに柔軟に対応し、ホテリング機能を拡充させTeamsから利用できるようにしたいと思っています。Beacapp Hereを導入した企業が収集したデータをしっかり活用できるように、予約状況の可視化や出社管理、人流の可視化などをすることで、課題を見つける手段になれることを目指しています。Beacapp Hereは、そのための機能が備わったサービスにしていきたいと思っていますし、Teamsはそれを表現するコミュニケーションの橋渡し役として、ユーザーとのインターフェースとして最適だと考えています」。