大阪維新の会による「攻め」の大阪市長予備選挙:その驚きの制度設計

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こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

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令和5年執行大阪市長選挙 候補者公募
https://oneosaka.jp/election/candidate/2024osakacity.html

9月15日に開催された大阪維新の会の懇親会にて、松井一郎市長の引退に伴う大阪市長選挙の「予備選」にかかる詳細が発表されました。

いやはや、身内のことをいうと手前味噌になってしまいますが、これはすごい予備選になる予感しかしません…!

「自分が出るか、誰かを推すか」

とのキャッチフレーズの元、広く開かれた予備選挙を目指して、画期的な仕掛け・制度設計が様々に施されています。

詳細はこの予備選挙の選挙管理を担当している杉山みきと市議がブログに書いてくれているとおりですが、いくつか私の方でもコメントをば。

まず前提として、今回の予備選挙は非常に間口が広い(立候補がしやすい)ものになっています。特別党員であれば無条件に、一般の方でも大阪維新の会所属の大阪市議・府議・国会議員から1名の推薦があれば立候補できます。

そこから内部メンバー+外部有識者で構成される選考委員会による絞り込みを経て、いよいよ投票へと至るわけですが、そこでもっとも目を引くのは「LINE党員によるオンライン投票」が導入されていることでしょう。

LINE党員とは、一定の条件)大阪府民、18歳以上、日本国籍)を満たした上でこれからLINEに所定の情報を入力すれば、今からでも投票券を得られる立場のことです。

本来は電話調査による予備選挙を意図していたものの、公選法違反の可能性を指摘されて断念してきた経緯から、一人でも多くの方に予備選挙に参加していただくための新たな手段として考案されたものと考えられます。

すでに技術としてオンライン投票のノウハウはほぼ確立されており、素晴らしい試みです。一方で、

・これから登録OKとなると、工作員などが紛れ込むのではないか
・個人情報の本人確認や不正防止など、セキュリティは大丈夫か

などの懸念が生じます。そこでLINE投票については「参加者の間口を広げる」ことを最優先とし、その結果に与える影響(票のボリューム)はごく小さなものにする設計とすることでリスクヘッジを行うようです。。

>条件を満たせば無料で登録することができるようにし、予備選での投票権を与えるという制度を作りました。ただし、一般党員はお金を払ってまで応援してくださっている存在です。当然、それぞれの1票の重みには差がつけられるべきですから、オンライン会員(LINE党員)が結果に与える影響は比較的微小なものになります。

>しかし、それでも「参加できる」ということに意義があると考えています。
杉山みきと市議のブログより抜粋、強調筆者)

LINE投票のような目新しい取り組みに加えて、

・公募締め切り日(9月30日)まで、特別党員による立候補表明の禁止
・特別党員から一般党員への働きかけの禁止(!)

という氷のようなルールが設定されています。特に後者については、

>今回は党内の代表を選ぶものではなく、大阪市長としてふさわしい候補予定者を選ぶものです。

>そのため、特別党員が持つ政治的な力を排し、真に一般党員やオンライン会員(LINE党員)おひとりおひとりの気持ちを反映したいと考えています。
杉山みきと市議のブログより抜粋、強調筆者)

と明確に狙いが述べられています。「党の代表を選ぶものではない」というのが代表選挙とのもっとも大きな違い。

党をまとめる代表であれば、むしろ「政治的な力」が重視される面もあるわけですが、今回はそうではないということをこれほどわかりやすく内外に示すメッセージは他にないといえます。

LINE投票で微小とはいえ母数が増え(僅差の結果を左右するかもしれない)、しかも既存の一般党員への「根回し」は禁止。

これはもう結果が一切読めないガチンコ勝負としかいいようがなく、オラわくわくしてきたぞっ!

もとより選挙においてパーフェクトな制度というのはありえず、LINE投票や働きかけの禁止についても賛否両論があるでしょう。

そこで大事なのがこうした制度設計に至った狙いや哲学・理念で、その点について大阪維新の会は極めてはっきりしたものが提示できてるのではないかと思います。

私自身は半分は身内、半分は部外者(維新だけど大阪維新のメンバーではない)という立場から、今回の予備選挙をしっかり盛り上げつつその行方に注視してまいりたいと思います。

それでは、また明日。

Nikada/iStock


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年9月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。