OOH やストリーミング広告でパフォーマンス思考からの転換を図るブランド:「今はまさに、自らの戦略の転換期だ」

DIGIDAY

米ウェルネス企業、リキッドI.V.(Liquid I.V.)は、ブランドアウェアネス向上のための広告戦略見直しの一環として、ストリーミング広告費を倍増し、OOHに力を入れている。

リキッドI.V.のマーケティング担当バイスプレジデント、ステイシー・アンドレード氏によれば、CPMが着実に上昇し、データプライバシーの変化が求められる中、カリフォルニアを拠点に事業を開始して10年となる同社にとってこれは、これまで大きく依存してきたパフォーマンスマーケティング戦略からの転換だという。

「このような大きな変化を受けて、私たちは全体的な戦略の見直しを迫られ、ブランドアウェアネスを高めるために何がベストな方法なのかを再検討した」と同氏は話している。

目的達成のためにもっとも効果的な手段を探る

ペットのヘルスケア関連スタートアップ企業のファジー(Fuzzy)テンポラリータトゥーを扱うインクボックス(Inkbox)などのブランドも同様の動きを見せており、データプライバシー規制によって広告主のデータオプションが不透明となる中、デジタルパフォーマンスマーケティング戦略以外のメディアミックスを多様化させている。

広告代理店MMIエージェンシー(MMI Agency)のメディア担当シニアバイスプレジデントであるフレディ・ダバギ氏は、eメールによる取材への回答のなかで、このようなブランドはストリーミングやデジタルOOHなどのチャネルに着目しているが、それは「ターゲティングやパフォーマンスキャンペーンのような方法を活用しながらも、従来型広告のように幅広いオーディエンスにリーチできる」からだと述べている。

2022年の夏、リキッドI.V.は新しいメディアミックスを実践し、これまでで最大のマーケティング活動を展開、2000万ドル(約26億円)の広告枠購入を大々的に打ち出した。全米で実施された「Fuel Your Play」キャンペーンでは、インフルエンサーマーケティングやOOHへの投資のほか、ロサンゼルスでの対面のサンプリングやアクティベーションも行われた。

このキャンペーンはリキッドI.V.のOOHとしては初の取り組みで、同社の広報担当者によるとストリーミング支出のための予算額は2021年から50%以上増加したという。アンドレード氏は、同社のマーケティング費や広告予算については詳細を明らかにはしなかった。

「我々は戦略を進化させながら、個々のチャネルや戦術のうちのどれが目的達成のために最も効果的かを学んでいく」とアンドレード氏はいう。OOH広告については、ゴルフコース、地方交通機関、ロサンゼルス市とその近郊のビルボードなどにクリエイティブを掲載している。また、動画アセットはクリエイティブスタジオのシックストゥエンティシックス(SixTwentySix)が制作し、動画配信サービスのピーコック(Peacock)、パラマウントプラス(Paramount+)、Huluに15秒と30秒のスポットを掲載している。

重要なのはブランドアウェアネスの維持

市場調査会社カンター(Kantar)によると、リキッドI.V.は、2022年の今年は、8月までに71万ドル(約9230万円)以上の広告費を支出している。2021年は180万ドル(約2億3400万円)を広告に費やしており、2020年の40万ドル(約5200万円)から大幅に増加した。ソーシャルメディアの数字については、カンターが追跡していないため、これらの金額には含まれていない。

ダバギ氏によると、サードパーティCookieがない未来が間近に迫り、新しいデータプライバシーの変更がソーシャルメディアのプラットフォームに影響を及ぼしつつある今、パフォーマンスマーケティング戦略で指標を超えたブランドが次に考えるのは、ブランドアウェアネス戦略でメディアミックスの多様化を図ることである。

「パフォーマンスマーケティングでは購入やエンゲージメントの可能性がもっとも高い人をうまく予測することが可能だが、一方ですべての意思決定が衝動的になされるわけではないこともわかっている」と同氏はeメールの中で述べている。「そして最終的に販売を伸ばすためには、ブランドのアウェアネスとリコールを維持する必要がある」。

アンドレード氏は、「リキッドI.V.のマーケティング戦略の転換が少しずつ前進するなか、消費者インサイトと購買客への最良のアプローチ方法を探ることに集中するために、よりいっそうの協調努力がなされている」と話している。「確かに私たちはまだ結果指向だし、パフォーマンス指向でもある。でも今はまさに、自らの戦略に対する考え方の過渡期だ」。

[原文:Wellness brand Liquid I.V. trades performance marketing for streaming and OOH

Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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