ベルリンで納豆を一万回混ぜる

デイリーポータルZ

先日、編集担当の古賀さんから「ドイツで納豆を一万回混ぜてみませんか」というご提案をいただいた。

デイリーポータルZを読み始めてかれこれ17年ほどになるのだが、記憶が確かであれば古賀さんの「納豆を一万回混ぜる」が私が初めて読んだデイリーの記事だった。

当時、悩める大学生だった私に「こういう仕事もあるんだ」という希望と「納豆はカニ味噌になるんだ」という衝撃のダブルパンチをかましてくれたのをよく覚えている。

そんな人生のターニングポイント的な記事をカバーする日がやって来るとは。心して一万回に臨んだ。

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人生のターニングポイントとしての「納豆を一万回混ぜる」

あれは2005年のことだった。どうやってデイリーポータルZのサイトにたどり着いたのかは覚えていないが、勉強の合間の息抜きに初めて読んだのが古賀さんの「納豆を一万回混ぜる」だった。

大学では美術史を専攻していたのだが、ちょうど教科書に出ていたルネサンス絵画と一万回混ぜられた納豆の間には、とてつもないギャップがあった。

役に立たないことを堂々と、そして一生懸命にやっている古賀さんの記事を読みながら、私が本当にやりたいのは多分これなんじゃないかと、心の中にデイリーの種がまかれた瞬間だった。

あれから17年、人生のターニングポイント的な記事をカバーする日がやって来たのだ。当時の自分が聞いたら飛び上がるほどびっくりするであろう。

心して一万回に臨みたいと思う。

ドイツの納豆は冷凍食品

納豆を一万回混ぜるには、まずは納豆を調達しなければならない。

日本ならどこでも手に入る納豆だが、私の住む国はドイツ。目指すは最寄りのアジア食品屋さんだ。

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めちゃめちゃお世話になっている、ベルリンに3店舗あるアジア食品スーパー。

店に入り、冷凍食品コーナーへと向かう。ドイツ、と言うか日本国外では、納豆は冷凍食品として売られていることが多いのだ。 

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あれれ、このあたりにあったはずなんだが……
かろうじて2つあった!

納豆が、中国の蒸し饅頭やインドのパンと並んで売られていた。日本だったら考えられないインターナショナルな配置だ。

MITO NO AJI NATTO。パッケージも国際的である。

値段は3.29ユーロ。日本円に換算すると476円。有機納豆だからか、インフレだからか知らないが、500円近くの納豆を買うのは初めてのことだ。庶民の味方の納豆は、ドイツでは高級品なのだ。

さあ、この高級冷凍納豆を一万回混ぜてやろうじゃないか。

ベルリンで一万回にチャレンジ

元の記事では古賀さんは手に万歩計をつけて混ぜた回数を数えていた。万歩計がなかったので、口でぶつぶつ数えながら混ぜることにした。

あと、手につけたアームバンドのおかげで箸が手のひらに食い込まなくてよかったと書いてあったが、アームバンドがなかったので軍手をはめることにした。

これで準備は万全だ。いざ、カニ味噌!

 100回。6か月ぶりに嗅ぐ納豆の香りが懐かしい。
200回。あわがパチパチと弾ける音がする。まだ余裕。
300回。豆が少し潰れてきた。
400回。泡だらけになってきた。
500回。自然光で撮影できるようにバルコニーで納豆をかき混ぜているのだが、近所の人に何しているのと聞かれたらどこから説明しようか考える。
600回。軍手のグリップが良くないのか、手が滑ってうまく混ぜられない。すでに先が思いやられる。
700回。在宅勤務の夫がオンライン会議で難しそうな話をしている。誰もまさかすぐ近くで妻が納豆を一万回混ぜているなんて思うまい。うひひ。​​​
800回。古賀さんの記事ではこの時点で豆の形がなくなっているのだが、私の方はまだ豆っぽい。混ぜ方が間違っているのか、力が足りないのか、不安になる。
900回。混ぜている間は夢中だが、正気に戻る瞬間に「な、なんだこれ」とびっくりすることがある。
1000回。箸をグーで持って、泡立て器のように混ぜると少し楽なことが分かる。古賀さんの記事にも書いてあったのに、今さら気づいた自分が憎い。

古賀さんの記事では1000回混ぜた時点でもっと滑らかなペーストになっていたのに、こちらはまだ豆が結構残っている。

冷凍だからなのか、力の入れ加減が足りないのか。曲をカバーするのなら個性が出てもいいのだが、納豆を一万回混ぜる場合は個性も何もないはずなので、少々不安になる。

あと9000回。一万回が遠い未来のように感じられる。

 

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