一度は冷めたように思えた D2C 分野の広告、復活を見せる:恩恵を受けるTikTok、損失を広げるFacebook

DIGIDAY

昨年Appleは、同社の透明性ツールであるATTを使ってトラッキングを制限しようとし、これによって当時勢いを増していたD2Cブランドも打撃を受けた。それから1年以上が経ち、D2Cブランド各社は数度の縮小を経験したようだが、重要なことに、今また拡大を見せており、TikTokがその成長の主な受益者になっている。

昨年Appleは、同社の透明性ツールである「ATT(App Tracking Transparency:Aアプリ・トラッキング透明性)」を使ってトラッキングを制限しようとしたが、これによって一部のオンライン広告がたちまち制限を受けてしまった。そこには、当時勢いを増していた消費者にダイレクトに宣伝する、D2Cブランドの広告も含まれていた。

それから1年以上が経ち、D2Cブランド各社は季節変動の影響で数度の縮小を経験したようだが、重要なことに、今また拡大を見せており、TikTokがその成長の主な受益者になっている。

より購買につながる手段として

CTVやストリーミングサービスを主に扱う広告代理店、オーディエンスX(AudienceX)の営業担当バイスプレジデントであるロブ・フィギュロウ氏は、ここ数カ月の間に、スニーカーから小売店(名前は明かされなかった)まで、これまでよりもよりボトムオブファネルを獲得する手段として、大手ブランドが「D2Cルート」を選択する事例が増加していると話す。

「現在、消費者へのD2C的なアプローチが急増しており、通常では我々がアクセスしていないいくつかのブランドとのつながりが生まれている」。

「ここには大きな成長が存在している。eコマースやD2C分野からの収益が10%、20%、30%と成長しており、適切な取り組みと、もう少し注力すれば、50%にも達することができるだろう」とフィギュロウ氏は付け加えたが、具体的な数字は明かさなかった。

「成長」の恩恵を受けたのは?

では、どのプラットフォームがこの急増の恩恵を受けているのだろうか。

約1800社のEコマース分野の広告支出を追跡している調査会社ヴァロス(Varos)によると、Facebookの2022年7月の月間支出中央値は1万9022ドル(約270万円、前年比2000ドル[約30万円]減)で最も高かった。Googleの支出中央値は同時期に8101ドル(約110万円)から8209ドル(約117万円)へと微増した。TikTokは4095ドル(約58万円)から5981ドル(約86万円)に成長した。

ヴァロスが米DIGIDAYに提供したデータによると、これら3つのプラットホームすべてに広告を出している企業の総支出も同様の変化を見せ、Facebookが2021年7月の74%から60%へ、Googleが20%から25%へ、ティックトックが7%から14%へとそれぞれアップした。

ヴァロスの共同ファウンダーでCEOのヤーデン・シェイクト氏によると、AppleのATTの動きによって、「これまで見てきたのは、生き残っていないD2Cブランドもあれば、マーケティングチャネルの多様化に取り組む企業もある」という。そして多様化の恩恵にあずかったのはTikTokで、ビジネスの損失を主に被ったのはFacebookだった。

CPAに応じて調整する必要も

ヴァロスはCPAもトラッキングしており、その値は上昇を見せている。そのためD2Cはリピーターとリテンションにより重点を置いているとシェイクト氏は述べる。「顧客獲得コストが非常に高くなると、基本的にD2C広告主は、その広告の対象となる顧客の価値を見合ったものにする必要がある」。

「顧客を獲得するのに100ドル(約1万4000円)かかり、製品が50ドル(約7000ドル)しかかからない場合、その顧客を説得してもう一度購入させる方が、まったく新しい顧客を獲得するよりもおそらく安くつくだろう」。

[原文:How and why DTC advertising hasn’t cooled off as much as once thought

Michael Bürgi(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)


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