筆者の左手の薬指には、くすんだプラチナの結婚指輪がはまっており、右手には、黒いチタンのスマートリングがはまっている。右手にはまっている「Oura Ring」は、半年以上前から筆者の手の一部となった。過去にレビューした以前のバージョンも含めれば、もっと長い。Oura Ringを装着したまま就寝し、シャワーを浴びる。意識することは、ほとんどない。Oura Ringは、「Apple Watch」にはないもの、そして次期Apple Watchが採用すべき機能もいくつか備えている。
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シャワーを浴びた後は、ほぼ毎朝、スマートフォンアプリをチェックする。「コンディション(Readiness)」スコアや「睡眠」スコアを確認するためだ。これらの数字とその下の詳細なデータをじっと見つめながら、今日の体調は良好だろうか、と自問する。
Oura Ringは奇妙なウェアラブルデバイスだ。価格は299ドル(約4万2700円)から。身体に完全になじんでおり、ある意味で、目に留まらない。操作することはないし、ディスプレイも搭載されていない。どこかしら、銀色の円盤状フィットネストラッカー「MISFIT SHINE」のような10年前のウェアラブルをある意味想起させるところがある。画面は搭載されておらず、測定値をその場で確認することはできない。そうした意味では、Oura Ringは余分なものに感じられるが、少なくとも現時点ではApple Watchが実現できていない機能を提供している。
Apple Watchや多くのスマートウォッチは、アクティビティーと「リングを完成させる」という目標に焦点を当てている傾向がある。一定の距離を歩き、一定の時間立った状態で過ごし、一定のエクササイズをする、といった具合だ。Oura Ringにも達成すべき目標はあるが、毎日の測定データの多くは、総合的なものである。今日の体調は良好だろうか。今日の予定に影響するだろうか。コンディションスコアの概念はスマートウォッチの世界に徐々に広まっているが、肝心のAppleはまだ採用していない。
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Oura Ringは先読み型のアプローチを採用しており、コンディションスコアで、その日をどう過ごすべきかを提案する。Apple Watchは、装着者の1日がどうだったかを振り返る傾向がある。Fitbitのフィットネスと健康に関する指標は、Ouraのモデルに近づいており、おそらく他の製品も追随するだろう。あるいは、少なくとも、より総合的なデータで体験を拡張するようになるはずだ。Oura Ringは、筆者の体温が最近上がったようだとか、呼吸数が変化したとか、夜間の血中酸素濃度が変化したようだとか、安静時心拍数が上昇または下降した、といった場合に警告してくれる。これらの兆候は、筆者が病気になっていることを示しているかもしれない。あるいは、休息が必要なのかもしれない。単なる誤警報の可能性もある。
ほんの数日前、筆者は何らかの風邪症状と熱で体調が悪くなった。Oura Ringは、呼吸数が夜の間に増加し、体温が上昇していることを検知した。そして、その日は休息モードに切り替えるように勧めてきた。Oura Ringに指示されるまでもなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査を受け、結果は陰性だった。それでも、自分が病気である可能性を認識しているアプリがあることは、有益なフィードバックになり得る。筆者は、自分の体調が優れてないときにどの統計データが変化するのか気付くようになった。