ロレアルUSA のCEO、不況にもかかわらず「ビューティに強気」

DIGIDAY

米国では不況が迫っていると噂されているが、ロレアル USA(L’Oréal USA)のCEO、デイヴィッド・グリーンバーグ氏によるとビューティは依然として強く成長しているカテゴリーだという。

楽観的なロレアル、ビューティには強気姿勢

8月末、ロレアルのロサンゼルス本社のオープンの際に行われたGlossyとのインタビューで、グリーンバーグ氏は米国の不況の可能性に関する議論が続くなかでのビューティ業界の見通しについて触れた。また、大量離職やサプライチェーンの問題、販売チャネルの混乱などパンデミックに起因するビューティ業界全体への継続的な影響についても語った。

「当社はもともと楽観的であり、ビューティにはかなり強気だ」と同氏。「景気後退の可能性は? まあ、あるだろう。それはほかのカテゴリーに影響を与えるように、ビューティにも影響を与えるだろうか? そうは思わない」。

米国経済が第2四半期にマイナス成長を記録し、連邦準備銀行による利上げの経済への影響に警鐘を鳴らしている政治家もいるが、ビジネス専門家や経済評論家の意見は分かれている。すでに景気後退は起こっている、または差し迫っているという意見もある。一方、UBSはその可能性は「60%」と予測しているが、「起こりそうにない」という人もいる。

機敏性の高いロレアル、北米での好調な売上

しかし、ビューティへの支出は依然として堅調である。7月28日に発表されたロレアルグループの上半期財務報告によると、ロレアルグループの全ブランドの北米での売上高は、2022年上半期に10.7%増加したということである。

「ビューティはいつも高い回復力を持っている」とグリーンバーグ氏は述べ、米国は7月に52.8万人の雇用を追加し、失業率が3.5%に低下したという事実を強調する。また、インフレの鈍化とガソリン価格の下落も良い兆候であると指摘している。

「当社は規模にかかわらず非常に機敏な会社であり、状況に対応できる。だが、いまのところは前進しつづけており、非常に楽観的だ」。

複数の報告によると消費者がインフレゆえに支出を控えていることが示されているが、グリーンバーグ氏は、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)などの小売業者が直面している過剰在庫の問題はビューティカテゴリーではそれほど顕著ではないと述べている。小売業者は家具やテレビなど「コロナ禍で人々が購入していた」カテゴリーの「ハードグッズの在庫を抱えすぎた」。ビューティ製品の場合には状況は「まったく逆だ」と同氏は語っている。ビューティに関しては「販促はないと思う。パティオ用家具が買いたいなら、大手量販店でセールになっているのを見つけられるだろう。だが、これはビューティ製品には起こらない」。

グリーンバーグ氏はパンデミックによって引き起こされたサプライチェーンの課題も緩和されたと述べ、「ほとんどの困難はすでに過ぎ去った」と語った。

また、同氏はサプライチェーンの混乱がもっともひどかった時期に「常に調整を行ってきた」と述べている。

「我々は(サプライチェーン危機の前に)製造施設を活用して、そこでは製造していなかった製品ラインをサポートした。ヨーロッパで製品を作り米国へ運んだが、これはいままで行ったことはなかった」。また、場合によっては、原材料の不足に対応するためにブランドが製品を再調整することもあったという。

実店舗の優勢は変わらず

小売販売チャネルに関しては、パンデミック下のeコマースの急増はオンラインへの恒久的なシフトを生み出してはいない。

「実店舗は依然として優勢だ」とグリーンバーグ氏。同時に、ロレアルは、オンラインで購入したいという「消費者をサポートするための適切なインフラストラクチャーを用意するために多額の投資を行ってきた。それが自社ブランドのウェブサイトか、ピュアプレイ(単一事業者)か、Amazonのようなウェブサイトか、小売業者のサイトか、購入がどこで行われるかは不明だが、消費者にはできるだけすばらしい体験をしてもらいたいと思っている」。

社員にも魅力的な職場環境を提供

米国の雇用は強力に伸び続いており、人材を維持するための同社の戦略は「人々にとって魅力的な価値提案をすること、つまり人々から働きたいと思われる社風を意味する」とグリーンバーグ氏は述べている。これには「ともに働く人々とのつながり」、「競争力のある給与と福利厚生」、教育の機会、「魅力的な職場環境」などがある。

「ロレアルでは、大量離職はまったくなかった」。

消費者に価値を提供する努力がますます重要に

ビューティの全体的な環境について、グリーンバーグ氏は「このような時期には消費者の鑑識眼はますます鋭くなるだろう」と述べている。「企業はこれまで以上に高い関連性を持ち、いっそう魅力的でなければ。消費者がどこにいても必ず見つけてもらえるように、そして消費者に適切な価値を提供できるようにますます努力しなければならない」。

[原文:L’Oréal USA CEO ‘bullish on beauty,’ in spite of recession

LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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