「 クリテオ はアドネットワークではなく、プラットフォームモデルだ」:クリテオ CRO ブライアン・グリーソン氏

DIGIDAY

2019年、ミーガン・クラーケン氏がクリテオ(Criteo)のCEOに就任したのは、GoogleがサードパーティCookieの棺に最後の釘を打ち込むことを確認する数週間前のことだった。これは、我々の誰もが知るとおり、広告リターゲティングを終わらせることになる動きだった。

頼れるリターゲティングツールとして業界に知られていたクリテオは、それから買収戦略に乗り出し、2016年に買収したフックロジック(HookLogic)(ブランドがeコマースサイトの広告を購入できるアドエクスチェンジ)に続き、マバヤ(Mabaya)を2021年に買収した。最近では、クリテオによるIPONWEBの買収が承認されたが、これは同社が広告業界での足跡を強化するために重要な動きだと見なす人もいる。

クリテオは、リテールメディア分野の台頭に乗じるために、こうした行動に出た。この分野では、Amazon Advertising、MicrosoftのプロモートIQ(PromoteIQ)、ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)のシトラスエーディー(CitrusAd)などが強力な競合相手となるだろう

クリテオのリテールメディア戦略におけるもうひとつの重要な要素は、グループエム(GroupM)で長年活躍したブライアン・グリーソン氏をCROに任命したことだ。グリーソン氏は米DIGIDAYの取材に応じ、クリテオがIPONWEBを統合し、広告業界で成功し、大手テクノロジー企業に対抗するための計画について語った。

インタビューは、わかりやすさを考慮して要約・編集してある。

◆ ◆ ◆

――クリテオのコマースメディア・プラットフォームと、それがメディアエージェンシーをけん引する力について教えてほしい。

すべてはフックロジックの買収から始まった。リテール(メディア)の断片化が起こり、その中心にあったのがクリテオのプラットフォームだった。

業界にはクリテオを知る人はほとんどいなかったが、徐々にシェアを獲得し、エージェンシーとのプラットフォームを構築するようになった。エージェンシーの支出を見ると、いまでは相当なものだ。その理由は、小売企業にアプローチしたいときに、我々のスタックのフロントエンドから入れることにある。

――クリテオをアドネットワークだと考える人が多い。そうでなければ、彼らにどのように説明するか?

設立当初のクリテオのビジネスモデルは、いまとはまったく異なるものだった(中略)我々は2年前にモデルを変更し、プラットフォームを導入して(マネージドサービス購入とは対照的な)100%セルフサービスモデルにした。

我々のビジネスには2つの側面がある。ひとつは真のプラットフォームプレイと呼ぶべきもので、企業向けとも言えるが、世界最大の小売業者、広告主、エージェンシーにフォーカスし、接続性を提供するものだ。フロントエンドでは、ザ・トレードデスク(The Trade Desk)やGoogleのDV 360と同じように、透明性の高い料金モデルでプラットフォーム料金を徴収している。ビジネスのこの面ではネットワークプレイは存在しない。

したがって、クリテオはアドネットワークではない。違いは、成熟サイクルが異なるということだ。小売企業はSSP(サプライサイドプラットフォーム)、つまり完全に透明な広告配信料を払うが、エージェンシーのブランドはDSP(デマンドサイドプラットフォーム)料を払う。これも透明性は完全に確保されている。つまり、プラットフォームモデルということだ。

我々のビジネスのもうひとつの側面は、(リターゲティングによる)顧客獲得とリテンションだ。Googleと似たようなモデルで、比較対象としてDV360があるが、パフォーマンス最大化(Performance Max)とは大きく異なるユースケースだ。

2万社のクライアントは、主に顧客獲得とリテンションに注力しており、残りは、真のエンタープライズプラットフォームとその優位性に注力している。

――IPONWEBについての計画と、それがクリテオのリテールメディア戦略をどのように発展させるかについて教えてほしい。

IPONWEBの買収により、我々は2通りの方法で接続性を提供■リンクを日本版URLに変更■できるようになった。

バックエンドのSSP、メディアグリッド(MediaGrid)は、オフサイト(の広告インベントリー)へのアクセスを提供する。ほとんどの小売企業にとって、オーディエンスは小規模だったり孤立していたりするため、スケーラビリティが必要になる。IPONWEBのキュレーションでこれがうまくいっている。

またフロントエンドでは、ブランド側からは、特定の小売企業のサイトで商品を販売しているクライアントがいなくても、クリテオのレコメンデーションエンジンやオーディエンスグラフ、最適化機能をフルに活用できないかという要望があり、その支援にもなっている。

IPONWEBを利用することで、我々のオーディエンスや測定にアクセスできるようになった(中略)コマースメディアを考える場合には、リテール+パフォーマンスマーケティングというイメージがある。

――クリテオは、AmazonやMicrosoftのような大手テクノロジー企業が提供するリテールメディアとどのように違うのか?

小売チャネルに対応する場合、ほとんどのブランドやエージェンシーの流通はAmazonを通じて行われているし、ターゲット(Target)、ウォルグリーン(Walgreen’s)、CVS、メイシーズ(Macy’s)、ノードストローム(Nordstrom)など、他のチャネルでも流通させている。

ほとんどのエージェンシーや大手ブランドは、(流通やそのリテールメディアとして)Amazonを頼りにしており、ここが最大の効果を見せている(中略)クリテオは(メディアプラットフォームとして)その他多くを統合しているため、Amazonと補完関係にあると思う。

私はMicrosoftを非常に尊敬している。それは間違いないが、プロモートIQは彼らの広告サービス全体の中では小さな構成要素でしかない。Netflix(ネットフリックス)で行ったことを見ればわかるが、その提携は大規模だったし、ゲーム(企業)の買収もした。Yahoo(やザンダー[Xandr])との関係をどうするかも考えなければならない。つまり、プロモートIQは彼らが行っていることのほんの一部に過ぎない。

一方、我々の市場シェアを見ると、世界のトップ小売企業の50%を占めている。プロモートIQは興味深い提案ではあるが、現時点ではポイントソリューションに過ぎない。これはクリテオで我々が毎日行っていることであり、我々以上に顧客維持と顧客獲得を理解しているものはいないし、これは我々のDNAでもある。

[原文:CRO Brian Gleason on why Criteo is ‘not an ad network’

Ronan Shields(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:)

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