服を着たぬいぐるみがいとおしい

デイリーポータルZ

商店街や街並みを歩いていると、店先にぬいぐるみが置かれていることがある。それだけでもかわいいものだが、あまつさえぬいぐるみに服が着せられていることがある。いとおしすぎる。いとおしすぎるので紹介させてください。

百聞は一見にしかず

どういう事を言っているんだ、と思う方もいらっしゃるかもしれない。まずはこちらの画像を見ていただきたい。

お分かりいただけたことだろう

お食事処にゴリラ。しかもでかめのピンクのTシャツを着たゴリラ。どうしてゴリラなんだ。どうしてピンクのTシャツなんだ。これをいとおしいと言わずして何をいとおしいというのだろう。

このゴリラは私が昨年江ノ島で発見したものだが、これを皮切りに私の「服を着たぬいぐるみ」集めが始まった。

 とはいえコロナ禍。歩いて集めるのに限界もあったので募集もした

それから1年。

集まったぬいぐるみはその数約40体。私だけがいとおしがるには勿体無いので、いくつかのカテゴリに分けて一緒にいとおしがっていきたい。

ぱつぱつ(もしくはぶかぶか)の服を着ているやつはいとおしい

まずは先ほどのゴリラ同様サイズの合っていない服を着ているやつである。私はこれこそがいとおしさの権化だと思っているのだが、どうだろう。

例えばこのぬいぐるみ。

ちょっとぱつぱつ!(筆者撮影)

店先に立っていたくま。一応先のゴリラと違いくま用に服を仕立ててもらっている様子だが、なんとなく全体的にぱつぱつである。

頭にも花飾りをつけてもらっており、お店の店員さんによくしてもらえている様が伺える。いとおしいですね。

続いてはこちら。

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おりこうにしているぐんまちゃん(筆者撮影)

「運輸」と書かれたタスキを着けている。帽子やえりつきの服を着せてもらっているところから察するに、このぬいぐるみは何か仕事を任せられているのだろう。

こちらもそれっぽい襟付きの服を仕立ててもらっているが、今度は少しぶかぶかのようだ。ぬいぐるみに服を仕立てるのって結構難しいのだろうか。でもぶかぶかなのもいとおしい。異論は認めない。

続いては募集でいただいたこちら。

ぬいぐるみ、Tシャツ、夏(みりんさん撮影)

 そうそうこういうの、こういうのでいいんだよというオーソドックスなぬいぐるみである。おそらく人間のTシャツをそのまま着せているところもいとおしみが高い。

投稿者の方はキャンプ場で見かけたとのことなのだが、入り口で管理人さんと一緒にウェルカムしていたのだろうか。それだったらいいな。なでまわしてしまうだろうな。

ご覧いただいたようにサイズの合っていない服を着たぬいぐるみはおしなべていとおしいものだが、1匹だけとんでもないやつをもらってしまった。

それはどういう状態?(辰井裕紀さん撮影)

ぶかぶかを越えて、思いっきりサイズの合っていない人間の服を着せられている。しかも余った分がリボンか何かでくくられている。

今までのぬいぐるみはなんとなく持ち主の方がかわいがって着せていた雰囲気があったが、これはどうなんだ。あまりに勢いで攻めすぎなのではないか。

こちらは厳密にはぬいぐるみではないが、店先を眺めているとこういったものも見つかるらしい。恐ろしいことである。

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きちんと服をこしらえてもらっているやつもいとおしい

ここまでぱつぱつであったりぶかぶかであったり、人間の服をベースにおおむね思いやりを持って服を着せられたぬいぐるみ達を見てきた。

しかし服を着たぬいぐるみはそれだけではない。もちろんしっかりと服をこしらえてもらっているぬいぐるみも存在するのだ。それは言うまでもなくとてもいとおしいものなのだ。

ほらみたことか(著者撮影)

メニューの看板を持って店番をするくまだ。かわいらしい衣装をしっかりと仕立ててもらった上にぴったりの椅子。異例の高待遇である。

ここまで丁寧に仕立ててもらっていると、お店の方にまできっとしっかりしたいいお店なんだろうなと好感が持てる。ケーキとかがおいしいカフェに違いない。

続いて同じく店番シリーズとしてこちら。

店内にこの子がいるの、たまんないな(上官さん撮影)

こちらは募集でいただいたもので、大阪は難波のタリーズにて店員さんとして勤務しているらしい。きちんとタリーズ公式マークが入ったエプロンを着ており、「ハナやん」と名のついた名札もある。

そこはお客さんの座る席では……?というところだけ気になるが、きっと行ってみればあまりのいとおしさに、たとえ満席でも「ハナやんが座ってるならしょうがないな……」となるのであろう。

続いてもかわいらしいこちら。

涼しげパンダ(著者撮影)

ぴったりのアロハシャツをこしらえてもらったパンダ。このご時世のためかマスクもしているが、その柄には何か時代の流行を感じさせる。どうしたって消せない夢があるのだ。

番外編:コロナ禍のいとおしいやつ

上に挙げたパンダはマスクをしていたが、コロナ禍ということもあってか他にもマスクをしたぬいぐるみもたくさん見つけることができた。本筋とは少し異なるが、そちらも紹介させてほしい。

トトロだって感染対策はするぞ(著者撮影)

まずはこちら。三鷹の森ジブリ美術館をアピールするトトロである。見つかったのが冬ということもあってか、マスクに加えボンボンのついたかわいいマフラーもしている。

服に頼らずともアクセサリーだけでもいとおしさは出せるのだ。新たな発見である。

おしゃれな黒マスク(著者撮影)

続いては黒マスクをしたくま。実は今回集まったぬいぐるみの多くはどういったわけかくまであった。大きさに関わらず、くまは服やアクセサリーをつけられがちなのだ。形状がしっくりくるのかな。

色々とギリギリだ(つつつつさん撮影)

そして募集でいただいたこちら。ガチャガチャの筐体に設置されているようだが……

どう見ても「あのネズミ」だが、マスクでうまいこと判然としなくなっている。世の中はっきりと分からない方がいいということなのだ。きっとそうに違いない。

なんとも言えない味があるやつもいとおしい

私は「服を着たぬいぐるみだ!服を着たいとおしいぬいぐるみを探すぞ!」という気持ちでいっぱいだったのでほとんど見つけられていなかったのだが、募集でいただいたものの中にはなんだか良く分からないが味があるやつらも存在した。そんなカテゴリーに縛られないぬいぐるみも少しだけ紹介したい。

その首飾り?はどうした(辰井裕紀さん撮影)

まずはパンダ。柑橘系の首飾りをしているようだが、それは一体何なんだろう。

大きさもパンダにマッチしている訳でもなく、謎は深まるばかりである。

同じ場所にはパンダのカチューシャをしているやつもいるという。パンダがパンダのカチューシャを……?(石川大樹さん撮影)
絶妙な表情のうし柄のくま(パスカさん撮影)

くまがうし柄の全身タイツを履いている。いとおしいといえばいとおしいが、意図が不明すぎる。しかも2匹。

ぱつぱつなので人間用のうし柄の全身タイツを着せている可能性がある。人間用のうし柄の全身タイツって何なのだろう。

こちらも別日は別の格好をしていたとの情報が。先の格好と打って変わって流行に乗りすぎている(パスカさん撮影)
おいどうしたクッキーモンスター(焼きナスさん撮影)

最後はぐったりしてしまったクッキーモンスター。きちんと服は着せられているものの、「花粉症になったかも……」というメモで切なさが急上昇である。横たわっているし、大丈夫か、クッキーモンスター。  

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おれよりいとおしいやつに会いに行く

募集によりたくさんのぬいぐるみの写真をいただいた。写真を眺めているだけでも大変いとおしいものだが、相手はぬいぐるみである。逃げも隠れもしないため、その気になれば直に会っていとおしむことだってできる。

その気になったので会いに行きたいと思う。

というわけで大阪にやってきた。ぬいぐるみに会うためだけに

今回会いに行くのは「うし柄の全身タイツを着たくま」だ。どうやらあのくま、関西スーパーというスーパーマーケットのマスコットキャラクターらしい。 

歩いて十数分、ベルファ都島という商業施設に到着

またインターネットで調べたところ、「カンくん」と「スーちゃん」という名前であることも分かってきた。

関西にあるスーパーマーケット、「関西スーパー」のマスコットキャラクター「カンくん」と「スーちゃん」。分かりやすすぎて一生忘れないと思う。

正面アーチがかわいい。なんとなく模様が猫っぽい?

ここ、関西スーパーベルファ都島店にあの2匹がいるらしい。今日もうし柄の全身タイツなのだろうか。それとも新衣装なのか。

逸る気持ちを抑えつつ入店すると……

いた!!!

今日は2匹そろってタイガースファンの装いだ。なんとなく身を寄せ合っていて仲良さそうなのもあまりにもいとおしい。やっぱり現物で見ると違うなあ。

写真を撮ることを推奨されていたので
記念撮影。なんだかすごい蚊帳の外みたいになった

Twitterなどでいただいたぬいぐるみの写真はまだまだある。今後の人生の楽しみとして一つ一つ巡っていくのも乙なものである。

次はあなたの町でお会いしましょう。

帰り道、まだ夕方なのに乗りたいバスだけ終了していた。かなしい

ぬいぐるみが今もいるかは事前に確かめた方がいい

大阪に行った理由は「カンくん」と「スーちゃん」の他にもう一つある。

難波のタリーズにいるという「ハナやん」である。

この子です

難波のタリーズね、了解了解とウキウキしながら向かったのだが、大きな誤算が2つあった。

1つは難波にタリーズが6ヶ所もあったこと、そしてもう1つはそのどこにも「ハナやん」がいなかったことである。

赤いピン、その全てが難波のタリーズ
そして本当にどこにもいなかった。ただ各店舗を巡るタリーズマニアになってしまった

最後のタリーズで我慢できずに店員さんに聞いてみたのだが「初めて見た」「うちの店ではない」「かわいい」と言われてしまった。

そうなのだ。かわいいのだ。でも冷静に考えると写真が撮られた当時に存在していたとしても、今現在も鎮座ましましているとは限らないのだ。迂闊がすぎるのだ。

そのぬいぐるみは「どこに」「今も」いるのか。事前に確かめるのが肝要である。

あまりにも当たり前の話である。

私は3店舗目のタリーズあたりでやっと察しました

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