Twitter に関する「告発」、エージェンシーは注視も動じず:「対イーロン・マスク氏訴訟はより複雑に」

DIGIDAY

Twitterに対する広告主の無関心は、同プラットフォームのセキュリティおよびプライバシー問題について詳細を明らかにした内部告発者に関する8月23日のニュースを受けて、さらに悪化したかもしれない。

CNNによると、7月に米議会やさまざまな連邦政府当局に送付された200ページもの告発状で、内部告発したTwitterの元最高セキュリティ責任者ピーター・ザトコ氏は、同社のセキュリティ問題がユーザーや同社の株主、米国に問題をもたらしかねないと考えるさまざまな点について、詳述している。

このニュースはイーロン・マスク対Twitterの訴訟の直後に出てきたもので、そして7月にイーロン・マスク氏が440億ドル(約6兆1000億円)でのTwitter買収の撤回を求めた際、ボットやスパムのアカウントを主要な懸念材料に挙げたことは、助けにならないのは確かだ、とエージェンシー幹部はDIGIDAYに対して語った。

ニュースを受けたエージェンシーの動き

世間の反応がこれまで曖昧だったことから、エージェンシーは、必要に応じてTwitterに説明責任を負わせる方法や顧客を誘導する方法をより適切に評価するため、セキュリティに関する内部告発者の主張の詳細を理解しようとしている。

CNNへの声明で、Twitterは、ザトコ氏を1月に解雇したと言及し、この告発が「矛盾や不正確さに満ち、重要な背景情報が欠けている」、そして「Twitterでは、セキュリティとプライバシーが長年にわたって社内全体の優先事項であり、それは今後も変わらない」と述べている(DIGIDAYはTwitterにコメントを求めたが、同社から回答はなかった)。

Twitterの担当者から連絡がまだなく、この問題について話し合っていない、と語るエージェンシー幹部もいる。連絡があるまで、一部のエージェンシーは、顧客向けの具体的な案内を控えている。

対イーロン・マスク氏訴訟はさらに複雑に

「ユーザーデータが広告主に不適切に提供されたという主張がない限り、これは、規制当局とTwitterのあいだの問題だ」と、この件について問われた、あるエージェンシーの上級幹部は匿名を条件に語った。「Twitterとマスク氏の訴訟がさらに複雑になるのも確かだ」。

今回のニュースが、Twitterとマスク氏のあいだで係争中の訴訟と相まって、同社にとって問題になるという考えは、エージェンシー幹部と業界アナリストのあいだで共通する感情だ。ある広告担当幹部は、マスク氏が買収を撤回して以来続いている、Twitterへの広告支出に関する疑念やためらいを、掻き立て続ける可能性があると説明した。

「ハッカー名の『マッジ』で知られるピーター・ザトコ氏は、セキュリティのコミュニティでリスペクトされているため、彼から直接こうした主張が出てきた事実は、少なくともプライバシーおよびセキュリティの世界では、多少の警戒心を抱かせることになるだろう」と、デジタル広告ソフトウェアプラットフォーム、クビエント(Kubient)の最高経営責任者(CEO)で創業者のポール・ロバーツ氏は言う。

広告主とエージェンシーが動じないワケ

Twitterはすでに、直近の四半期決算でやや減速しており、総売上高は前年同期比1%減の約11億8000万ドル(約1637億円)だった。

そのうち広告の売上高は約10億8000万ドル(約1498億円)で、前年同期比2%増だった。その時でさえ、Twitterは、そうした数字を「ミクロ環境に関連する広告業界の逆風」とマスク氏による買収をめぐる「不確実性」の影響だとした。

「今回のニュースにより、抱かれていた認識がすでに強まっているが、それによって、ユーザーにとってのTwitterの関連性が損なわれることはなさそうだ。ただし、株価はさらに下がり、手を引くための攻撃材料をマスク氏にもっと与えることになる」と、ブランドコンサルティング会社メタフォース(Metaforce)の共同創業者、アレン・アダムソン氏は話す。

とはいえ、広告主とエージェンシー幹部は、マスク氏の件に及ぼす影響への注目は別として、今回のニュースに動じていないようだ。Twitterは、多くの広告主が焦点を合わせている主な対象ではなく、パフォーマンス・マーケティング予算に占める割合が小さいからだ、と言う者もいれば、セキュリティ問題は今日のプラットフォームではよくあることだと指摘する者もいる。

「担当者からは何も聞いていないが、正直に言えば、こうしたことが起きるたびに、a)衝撃的だったり意外だったりしない。デジタル世界のあらゆるプラットフォームなどと同様に、ハッキングや不正行為の影響を受けやすい。b)こういうことは常に起きているように思われ(たとえば、先日は、ブラウザでのキーストロークを記録するTikTokの機能が問題になった)、現在では鈍感になっている。c)どのプラットフォームにとっても、どんな情報漏えいや不正侵入もマイナスになる」と、ある広告担当幹部は匿名を条件に語った。

[原文:‘Further complicate the Twitter-Musk litigation’: Ad execs seek to understand specifics of Twitter whistleblower’s claims for advertisers

Kristina Monllos(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:黒田千聖)

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