日に日に肩身が狭くなる愛煙家たち。先週より今週、昨日より今日、そしてさっきより今──。特に都心における喫煙所は迅速かつ確実に目減りしている。というか、コロナを理由に閉鎖した喫煙所はコロナが落ち着いたら再開するんだろうな?
それはさておき、つい先日のこと──。秋葉原を歩いていると「有料喫煙所 平日プランのご案内」という貼り紙が目に飛び込んできた。そう、ついに『サブスク喫煙所』の時代がやって来てしまったようだ。
・激減する喫煙所
公共の喫煙所が激減し、都内では灰皿を置いていないタバコ屋も今や珍しくない。個人的には、煙草を売ってるコンビニがシレッと灰皿を全撤去したことに怒りを覚えているが、それも時代の流れと納得するしかないのだろう。
最近ではタバコが吸えることを大々的に打ち出した「スモーキングカフェ」がちょいちょい出来ているが、金銭的なことを考えれば1日何度も通うのは現実的ではない。……が、月額制の喫煙所ならば……?
そりゃ無料で吸えるに越したことはないが、全面禁煙のビルも珍しくないこのご時世。果たして秋葉原の『サブスク喫煙所』はどんな仕様でどれくらいの人が利用しているのだろう? 運営会社に問い合わせたところ、取材に応じてもらえることになった。
話を聞かせてくれたのは、レンタルオフィス業を展開する「NUWORKS(ニューワークス)」の代表取締役・三浦亮氏。ご自身も愛煙家だという三浦氏が語る『サブスク喫煙所』の実態とは……?
・会員数は…
──貼り紙によると平日プランは月額2200円とのことですが、現段階でどれくらいの利用者がいらっしゃるのでしょうか?
「はい、約250名ですね。そのうち200名はビル内にお勤めの方で、その他の50名は近所のオフィスビルからいらっしゃっている方が多いようです」
──250名も! 御社はレンタルオフィスを運営されているので、喫煙所も作りやすかったということでしょうか?
「はい、弊社はビル1棟を丸ごと借り上げているので、その辺りの融通は利きやすかったのだと思います。とはいえ喫煙所を作るのは初めてだったので、設計などはJT(日本たばこ産業株式会社)さんに確認いただいたりしました」
──かなり広いですし、エアコン完備で快適ですね。ソファがあるところも “わかってるな” という感じがします。
「ありがとうございます」
──秋葉原には無料の喫煙所がいくつかありますが、確かに1本吸うごとに100m、200m歩くのはダルいですよね。
「そうですね、実際にはビルの合間でコッソリ喫煙している方も見かけますし、銀行などのお堅い仕事だと公共の喫煙所を利用しにくいケースもあるようでして……。当初の予想より多くの方にご利用いただけているのかなとは感じております」
・サブスク喫煙所を作ったワケ
──そもそもなぜ月額制の喫煙所を作ろうと思ったんですか?
「はい、我々がレンタルオフィス業を運営している関係で “有料スペース” 自体に抵抗がなかったことはあるのかもしれません。また、私自身も喫煙者として全面禁煙になるくらいなら、多少はお金を払うよ、とも思いました」
──確かに無料で吸えるならそれが1番ですが、僕もそういう状況なら会員になってしまうと思います。
「実際に、他のビルからいらっしゃる方は連れタバコも多いですし、そういう方たちはお勤めのビルに喫煙所があったら会員になると思うんですよね」
──確かに。
「料金も喫煙所の維持費とスマートロック、スマートキーの利用料を込みで平日プランなら2200円、週末込みでも3000円でご用意しております。喫煙者として、自分でもこれくらいなら払えるなという価格を設定しました」
──1日100円をどう取るかですが、確かに毎回何百メートルも歩かなきゃいけないことを考えれば安いのかもしれませんね。空調が効いてるのもありがたい。
「現在のところご好評いただけていると思いますので、今後もタイミングを見て良質なサブスク喫煙所を増やせて行けたらな、と考えております」
ご覧のように「勤務先のビルが全面禁煙」である場合などは『サブスク喫煙所』はかなりありがたい存在になるのではないだろうか? むしろ都内100カ所で使えるサブスク喫煙所などがあれば、個人的に今すぐ利用してしまうことだろう。
また、お金を払うことで非喫煙者と隔絶した空間を利用できるなら「余計な気を遣わない」「非喫煙者の迷惑にならない」等のメリットもあるハズだ。今すぐに普及するかはさておき、近い将来『サブスク喫煙所』があたり前になっている……のかもしれない。