夏の沖縄では、いつでもどこでも「ぜんざい」が食べられる

デイリーポータルZ

沖縄の夏といえば「ぜんざい」ではないだろうか。世間一般的に「ぜんざい」といえば、餅と粒あんが入った温かい汁物の事を指すが、沖縄の「ぜんざい」は全く違う。

黒糖で柔らかく煮込んだ金時豆にかき氷が乗った氷菓のことを沖縄では「ぜんざい」と呼んでいるのだ。店によって、押し麦や白玉だんごが入っていることもある。

この冷たいぜんざいは夏はもちろんほぼ年中販売されているし、専門店や街角の小さなパーラー、ショッピングモールのフードコート、そば屋のデザートなどありとあらゆるところで販売されていて本当にどこでも食べることができる。

そんな沖縄のソウルスイーツともいえるぜんざいをいろいろな場所で食べてみた。

まずはぜんざいの老舗有名店へ

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那覇市にある「千日(せんにち)」は1952年創業で今年で70年になる老舗。
沖縄のぜんざいの発祥は不明とされているが、現存するぜんざい屋としてはここが最古の店だろう。
那覇市唯一の海水浴場である波の上ビーチから歩いて行けるので、昔から海水浴帰りの地元の人たちで大賑わいだったらしい。

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レトロな雰囲気がたまらない店内

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ぜんざいが有名だが、沖縄そばや、沖縄では珍しいたい焼きや今川焼き(大判焼き・回転焼き)も食べられる。

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千日のアイスぜんざい(400円)。
甘く煮込まれた金時豆の上に、円錐状に山盛りになったかき氷。
これぞ正統派の沖縄ぜんざいである。 

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なるべく氷を崩さないようにして、でもこぼれつつ、金時豆を目指す。
ようやく辿り着いて、サクサクの氷と金時豆の甘さを一緒に口に入れたときの幸福感!
このシンプルさがうまい!氷は山盛りだが、箸というかスプーンが進むので溶ける前に完食した。

頼んだことはないがぜんざいは持ち帰りも可能。
食べている間に持って帰る人を見たが、容器だけ変えたぜんざいをふたなしでそのままレジ袋に入れているだけに見えた。
溶ける過程を考えたらなかなかスリリングなテイクアウトである。

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そば屋のサイドメニューにもぜんざいがある

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続いてのぜんざいは沖縄そば屋。沖縄そば屋の定番サイドメニューといえば「じゅーしー(沖縄風の炊き込みご飯)」だが、定番のデザートといえばやっぱりぜんざいだ。

というわけで今回は那覇市の沖縄そば屋「ゆうなみ」へ。

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ゆうなみではそばの麺も選ぶことができる。これは平麺の沖縄そば

こちらはミックスそば。ソーキ(スペアリブ)と軟骨、三枚肉が乗っている。

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 そしてこちらがぜんざい(350円)。味は黒みつきな粉、抹茶、ミルクから選ぶことができる。

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氷部分にも黒みつで味がついているので、食べ進めやすい。氷の下にはしっかり金時豆と白玉だんごが。

ぜんざいとしてはちょっと変わり種だが、アツアツの沖縄そばをすすった後の冷たいぜんざいはやっぱりうまい。

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ケーキ屋さんでもぜんざいが食べられる

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 実はケーキ屋さんでもぜんざいが食べられる。
こちらは県内に2店舗を構える「パティスリーきゃっする」。いわゆる街のケーキ屋さんだ。

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ぜんざいは夏季限定の商品らしい。
ケーキのショーケースの中に入っていて。値段は300円。

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 購入すると氷の入ったカップと、豆の入ったカップに分けて渡される

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 氷に豆を入れるとこんな感じ。金時豆の煮汁が結構トロッとしていて、後味はほのかな黒糖味。氷に対して豆の量が結構多いのでかなり濃いめのぜんざいを楽しめる。ケーキ屋のぜんざいもなかなか侮れない。

スーパーマーケットでもぜんざいを

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 ぜんざいを食べたいが、専門店に行くまででもない…。
そんな県民のためにスーパーマーケットでもぜんざいが販売されている。

販売されているぜんざいにはレトルトパウチのものやカップタイプのものなど様々な種類が用意されている。

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こちらはカップタイプのぜんざい。

super03.jpg かき氷を作ってそこにかけるのが正しい食べ方なのかもしれないが、そのまま食べてもおいしい。
この商品は押し麦が入っている。沖縄ではぜんざいの他に緑豆と大麦を甘く煮た「あまがし」というものがあるのだが、ぜんざいの押し麦はそれの名残らしい。

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コンビニでもぜんざいが食べられる時代に

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 沖縄県内にあるコンビニチェーンのうち、ローソンとファミリーマートでぜんざいが販売されている。ローソン沖縄のぜんざいが和食レストラン「和風亭」監修なのに対し、沖縄ファミリーマートはぜんざいの有名店「富士家」のぜんざいの販売を最近はじめた。

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氷などが売られている冷凍ケースからレジに持っていくスタイル。お詫び文が貼ってあるが、めちゃめちゃ売れていて本当にどこに行っても売り切れなのだ。

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 すぐ食べる場合はレジで豆と氷を電子レンジで温めてくれる。

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 富士家のぜんざいはショッピングモールなどでも店舗が出ていたりするのだが、沖縄ファミリーマートのぜんざいはそれよりも黒糖の味が強い感じがする。
白玉だんごがちょうど良い大きさで絶妙の食感なのはさずが。

富士家のぜんざいには氷にもこだわりがあって、金時豆を煮た時の煮汁がつかわれていてほのかに味がするようになっている。
数量限定で発売されているのだが、通年販売して欲しい。冬でも買うから…!

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 こちらはローソンのぜんざい。

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レジ前のカードを提示して注文するスタイル。注文を受けるとカウンターの後ろにあるかき氷マシーンで削りたての氷をのせてくれるシステムになっている。

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 思ったよりもボリュームがあって、食べごたえがある。コンビニでこれだけ本格的なぜんざいが食べられるのは大きな進歩なんじゃないだろうか。

ついに自動販売機も登場

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そしてついに、最近街角でよく見かける飲料以外の商品を売る自動販売機ブームの波が沖縄ぜんざい界にも到達した。

 沖縄本島南部、八重瀬(やえせ)町にある野菜の無人販売所隣接して設置されたこちらのぜんざい自動販売機は、現時点ではおそらく沖縄県内唯一。

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 商品ラインアップは「ぜんざい 200円」と「手作り黒糖 3枚1000円」の2種類のみだが、黒糖は製糖業が盛んになる冬場の季節限定商品らしく真夏である現在は品切れ中。次回販売は11月末頃を予定しているとのことだった。

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というわけでぜんざいを購入。ハーゲンダッツのカップアイスぐらいの大きさのガッチゴチに凍った状態のぜんざいが出てきた。

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 原材料は「金時豆(米国産)、押し麦(国産)、手作り黒糖(沖縄県産)」。ふたを開けてみると、かき氷というよりは金時豆の煮汁をそのまま凍らせたような状態だ。
自販機に備え付けてあったプラスチック製のスプーンでは到底歯が立たないほど固かったので、自宅に持ち帰りつつ解凍することに。

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30分ほど解凍したらようやく食べごろになった。昔ながらの黒糖の味がする、とても素朴な味わいのぜんざいだ。押し麦もたっぷり入っているのでとろみがあり、なんとなく羊羹を食べているような感覚。先述のスーパーマーケットのぜんざいともよく似ている。ドライブ中に少量をサクッと食べてクールダウンしたい時には最適ではなかろうか。 

沖縄の夏、ぜんざいの夏

沖縄では思い立ったらいつでもどこでもぜんざいが食べられる。
ぜんざいはアイスクリームなどに比べるとカロリーが低く、原材料がシンプルで無添加のものが多いのもなんだかうれしい。黒糖でミネラル補給でき熱中症対策にもなりそうだ。

沖縄の夏はぜんざいを食べなきゃ始まらないし、終わらない。
そば屋で、コンビニで、自販機で。Anytime, anywhere, 沖縄ぜんざいを楽しもうじゃないか。

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