動画転向を進める インスタグラム にクリエイターたちは反発?:「動画という変化に適応しなければ消えるだけ」

DIGIDAY

インスタグラムは画像から動画への新しい戦略変更をローンチしたが、主要なインフルエンサーやキム・カーダシアンのようなセレブからの反発を受けて、わずか数日のうちにこれを撤回した。インフルエンサーやセレブたちはメタ(Meta)傘下の同プラットフォームに対して、「インスタグラムを元のインスタグラムに戻す」ことを求めた。

インスタグラムが最大のライバルとみなすTikTokに対抗してシェア拡大を狙うなか、同社は静止画投稿より動画プロダクトである「リール(Reels)」を優先すると発表した。この動きは、インスタグラム上でビジネスを構築してきたインフルエンサーらの不満を招いた。しかし、ソーシャルメディアの戦略家たちは、動画へシフトするこうした変化は新しいクリエイターたちにチャンスの窓を開いているとも指摘する。

メカニズム(Mekanism)のパートナー兼最高ソーシャル責任者であるブレンダン・ガハン氏によると、インスタグラムはリールの利用を促そうとするなかで、リールの優先度が高くなっており、写真などのほかの古くからある機能よりもオーガニックなリーチを生み出すようになったという。もしクリエイターがインスタグラムで勝ちたいなら(少なくとも今のところは)、もっと動画コンテンツを作って投稿し、このトレンドに乗る必要がある。

「抜け目のないクリエーターやブランドは、すぐにこれを利用し始めた。よっぽど世の中の変化に疎くないと、その変化を見逃すことはないだろう」とガハン氏はEメールで述べた。

クリエイターは変化に適応するか、消えるか

アシュリー・グロス氏(ソーシャルメディアで@ewdatsgrossという名前で知られるインフルエンサー)は、インスタグラムで3万6000人以上のフォロワーを持つ。グロス氏は定期的にリールのコンテンツを投稿するようになり、インスタグラムによるリール・プレイボーナス・プログラム(Reels Play Bonus Program)にも参加した。この動きは彼女のフォロワー数を大きく増やしてはいないが彼女によると、その結果エンゲージメントが向上したことに気づいたと語った。

「動画コンテンツではなく写真にのみリソースを投じている人たちは、受動的コンテンツ(動画など)の人気が高まるにつれ、自らを失敗に追いやっている」と、同氏は米DIGIDAY宛てのメールで語った。「(変化に)適応するか消えるか、でしょう?」。

インスタグラムから距離を置くクリエイターも

インスタグラムは数年にわたり、ストーリー(Stories)やリールなど、いくつかの新機能をリリースし、ほかのソーシャルメディアに対する競争上の優位性を維持してきた。インスタグラムはまた、収益源を多様化するために、ショッピング機能とより多くの広告を導入してきた。

これらの動画投稿を促す変更を受けて、多くのインフルエンサーがプラットフォームを辞めることを発表している。インフルエンサーたちは、エンゲージメントの低下とインスタグラムの謎に満ちたアルゴリズムを原因として語っていた。バズフィード(Buzzfeed)によると、「インスタグラムクリエイター」のこうした「戦い」は燃え尽きを起こしてしまうようだ。

ライフスタイル系ブロガーのジェシカ・カービー氏は「ユーザーが動画を作る回数が増えているのは、それがコンテンツを見てもらう唯一の方法だからだ」と言う。「動画を作りたいからではない。そうしないと誰も自分のものを見てくれないことを知っているからだ」。

カービー氏のアカウントは@jessannkirbyで、インスタグラムには13万6000人以上のフォロワーがいる。小規模なクリエーターたちはリールを利用して活動を始めたが、カービー氏の場合は動画への方針転換といったインスタグラムの変更があったことで、彼女はインスタグラムから距離を取るようになり、代わりにブログのような自身のチャンネルに投資するようになったと語った。

同氏によると、動画はソーシャルメディアの未来だという。確かにその通りだが、インスタグラムの「0か10か」の方針はやりすぎだと言う。「インスタグラムは、独自のニッチを開拓する代わりに、ほかのプラットフォームがやっていることをコピーしようとしているだけ」と彼女は語った。

「ソーシャルでは変化に適応することは日常茶飯事」

エージェンシー側では、リールやTikTokのようなプロダクトが勢いを増すにつれて、クライアントからの「動画コンテンツを受け入れ制作するように」という圧力が増していたという事実がある。メカニズムのガハン氏と、英国を拠点とするソーシャルメディアとインフルエンサーマーケティングエージェンシーであるファンバイツ(Fanbytes)のオペレーション・ディレクターのジョー・ソー氏の両者がこの点を指摘した。

ソー氏は、変更を拒否するソーシャルメディアユーザーは必ず存在するが、「ソーシャルに取り組んでいれば、変化に反応すること、それを素早く行うことは日常茶飯事だ」と述べている。「今回の変更は、その重要性を強調するものにすぎない」。

[原文:Marketing Briefing: Experts say creators must ‘adapt or die’ in light of Instagram’s pivot to video

Kimeko McCoy(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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