大雨に備えてチェックしておきたい ヤフー・LINEの防災関連アプリ・機能を一挙紹介【地図と位置情報】

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大雨危険度「黒(災害切迫)」が新設、「警戒レベル5」相当

 大雨による災害発生の危険度を地図上で色分けして表示する「危険度分布(キキクル)」。気象庁が提供するこのサービスにおいて、大雨危険度の表現が今年6月30日に変更されたことをご存じだろうか。

 キキクルは、降った雨の量から災害危険度の高まりを指数化し、過去30年分の災害データをもとに設定した基準に沿って判定した結果を表示する予測情報。土砂災害や浸水害、洪水の危険性が高まるエリアを1kmメッシュで色分けして表示し、現在地から避難する必要があるかどうかを知らせる。

 これまでは色分けが「黄(注意)」「赤(警戒)」「うす紫(非常に危険)」「濃い紫(極めて危険)」という4段階だったが、今回の変更で「うす紫」と「濃い紫」が「紫」1色に統合された一方で、最も危険な状況となる「黒」が新設され、「黄(注意)」「赤(警戒)」「紫(危険)」「黒(災害切迫)」の4段階となった。

大雨危険度の色分け表現の変更

 気象庁による今回の措置は、大雨災害時に住民が避難するタイミングをより分かりやすくすることを目的に、2021年5月に内閣府が実施した「災害対策基本法」の改正で変更された避難情報に対応した。

 キキクルの新しい色分けでは、「紫」は市区町村が避難指示を発令する「警戒レベル4」相当、「黒」が緊急安全確保を発令する「警戒レベル5」に相当するとして、「紫」が出現した段階で速やかに安全な場所へ避難するよう呼び掛けている。

市町村が発令する避難情報に付与される「警戒レベル」と「とるべき行動」

 なお、色分けの変更に伴い、気象庁が発信する気象防災情報「大雨危険度通知」の内容も、最も危険度の高い状況を「警戒レベル5(災害切迫)相当」に変更している。

チェックしておきたいヤフーとLINEの防災関連アプリ・機能

 ヤフー株式会社(Yahoo! JAPAN)が提供する「Yahoo!天気・災害」(PC/スマートフォンブラウザー版)や「Yahoo!防災速報」(Android版/iOS版)、「Yahoo!天気」(Android版/iOS版)なども、上記の変更に合わせて対応した。また、ヤフーのサービスと連携している「LINEスマート通知」などでも対応している。

 「Yahoo!天気・災害」で提供している、土砂災害と洪水の危険度が分かる「大雨警戒レベルマップ」と、「Yahoo!防災速報」で提供している「災害マップ」において、警戒レベル5相当の表示を開始するとともに、「Yahoo!防災速報」や「Yahoo!天気」などの災害情報の通知や掲載における文言と表示色も変更した。

 気象庁の仕様変更にいち早く対応したヤフーおよびLINEの防災関連サービス。以下、主なサービスと、その活用方法についておさらいしてみよう。

Yahoo!防災速報

 「Yahoo!防災速報」は、豪雨予報や緊急地震速報、避難情報などさまざまな情報を配信する防災アプリ。設定した3地点と現在地の防災情報をプッシュ通知で知らせる機能を搭載している。事前にユーザーの情報を入力することで、最適な防災行動を確認することが可能。大雨などの場合に防災行動開始のタイミングとともにプッシュ通知を受け取ることができる「防災タイムライン」や、ユーザーが現在地の災害状況を地図上でリアルタイムに共有できる「災害マップ」などを使える。

 災害マップは、被災地で活動する報道機関やNPO、防災士による投稿も可能。株式会社Specteeが提供するAIリアルタイム危機管理情報サービス「Spectee Pro」と連携し、Twitterに投稿された災害状況も表示している。

「Yahoo!防災速報」のホーム画面

災害マップ

「大雨警戒レベルマップ」および「Yahoo!天気」アプリ

 「Yahoo!天気・災害」の「大雨警戒レベルマップ」は、PCやスマートフォンのウェブブラウザーからアクセス可能で、地図画面に表示したエリアにおける土砂災害や河川洪水のリスクや、気象警報の内容などを確認できる。また、前述した色分けに沿って大雨危険度も確認できる。

 雨雲の位置を確認できる「雨雲レーダー」や、自治体のハザードマップへのリンク、避難場所の位置を示したマップへのリンクも掲載されている。

 なお、前述したように、「Yahoo!天気」アプリでも災害情報の通知が行われる。

「大雨警戒レベルマップ」

「Yahoo!天気」での災害情報の通知

LINEスマート通知

 LINE公式アカウント「LINEスマート通知」において「Yahoo!防災速報」の「避難情報」「大雨危険度」「河川洪水」などの情報を受け取れる。ユーザーが登録した地域をもとに、LINEのトークに情報がプッシュ配信される。自宅や実家、勤務先など国内最大3地点までの登録が可能。

LINEスマート通知

LINEの災害時活用

 LINEの「グループトーク」は緊急時の連絡網に、「アナウンス機能」は避難所など重要な情報を周知するのに活用できるほか、「位置情報」や「LINE安否確認」など災害時にも役立つ機能を備えている。

 また、現在、全国約1200の自治体がLINE公式アカウントを開設しており、災害時はそこで避難所や防災マップ、災害時の避難情報など、さまざまな防災・災害対策に関する情報を発信している。あらかじめ自分が住んでいる自治体のLINE公式アカウントを友だち追加しておくことにより、各地の防災情報を受け取れる。

自治体のLINE公式アカウントの例

 このほか、LINEみらい財団では、災害時における情報の扱い方が学べる教材「情報防災訓練」を無償で公開している。デマやフェイクニュースの見極め方、災害時の適切な情報発信方法などについて学ぶことができる。

情報防災訓練

 あらかじめ「Yahoo!防災速報」アプリをインストールしておいたり、自治体のLINE公式アカウントを友だち追加したり、「情報防災訓練」の教材で学んだりと、平常時から事前に備えておくことにより、いざ災害が発生したときにも落ち着いて行動できる。大雨や台風のシーズンに備えて、上記のサービスを今一度チェックしてみてはいかがだろうか。

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