消費者が優先するのは「時短」と「健康」:個包装や1人分サイズを重視する CPG ブランド たち

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「個包装」「1回分の商品」というパンデミックのトレンドは定着しているようだ。

フューチャーマーケットインサイト(Future Market Insights)は、この「1食分パック」市場が2022年に36億ドル(約4900億円)に達し、2032年には73億ドル(約9930億円)へと、さらに加速すると予測している。このカテゴリーには、パウチ、カップ、ブリスターパックなど、1人分がパッケージされた食料品が含まれる。各ブランドは、ますます健康に気をつかうようになってきている買い物客を主な需要源と考えているが、インフレによって食品のコストが上昇している状況で、これらのCPG企業は、商品の量が少ない小さなパッケージにより、コストを削減できる可能性がある。

「時短」と「健康」が優先事項に

ペプシコ(PepsiCo)は今月の決算発表で、小分け包装のスナックが、特にフルシュガーの商品において「目覚ましい成長」を見せていると注記している。アクティビア(Activia)、オイコス(Oikos)、ダノン(Dannon)などのヨーグルトのブランドで知られるダノン(Danone)では、ヨーグルトのカップ以外の包装に対する需要と人気が高まっている。ミニッツライス(Minute Rice)を運営する米ブランドのリビアナフーズ(Riviana Foods)は、米とキヌアをブレンドした1人前の新フレイバーを立ち上げる。

ダノンの最高顧客責任者を務めるクリスティーナ・コール氏は、1人前の商品は、かつては気軽に持ち運べるものとして使われていたが、現在では人々が在宅勤務において短時間で健康的な食事をとるための一般的な方法になったと語る。

「消費者は今でも、気軽にさっと食事をとれる機会を求めており、今では自宅でその食事をとることを求めている」と同氏は述べる。

コール氏は、1杯分のカップや飲むヨーグルトについて、過去2年間に大きな増加が見られたと語っている。これはカップのヨーグルトだけでなく、パウチにも当てはまる。ホライズンオーガニックグローイングイヤーズ(Horizon Organic Growing Years)は子ども向けにマーケティングされたもので、これらは在宅勤務の親が子どもたちに健康的なスナックをあげたいときによく選ばれると、同氏は語っている。

すぐに食べられる利便性に加えて、健康的な食品を選ぶことの重要性の増大も、消費者を小分け包装に向かわせていると、同氏は見ている。これは、免疫を高める原料やプロバイオティクスを配合した商品にとって、特に良い兆候だ。

ダノンはこの需要に応えるため、パンデミック時に、ショットサイズのボトルに入った飲むヨーグルト、アクティビア・プラス・プロバイオティクス(Activia+ Probiotic)を発売した。これまでのところ、予測は強気なものだ。同社によれば、ヨーグルトの4年間のCAGR(年平均成長率)が6.3%なのに対して、プロバイオティクスヨーグルトショットの4年間のCAGRは25%だ。

ペプシコの最高経営責任者を務めるラモン・ラグアルタ氏は、低糖分の飲料や小分け包装について言及し、健康が消費者の優先事項になりつつあると、最近の決算発表で述べた。消費者が炭酸水やエナジードリンクなど、より健康的で低カロリーの飲料を好むようになっているなかで、このような商品を提供するのは、同ブランドが進化を続けるひとつの方向性だ。

少量でバラエティに富んだ商品

同氏は次のように述べている。「少量のパッケージやマルチパックのスナックが大きく成長している。また、単にポーションコントロールだけでなく、バラエティに富んだ商品が伸びている。そして飲料においても同じことが起こっている。フルシュガー商品が小さな缶などのパッケージで、より少量で提供され、消費者がカロリーの摂取を押さえながら味わうことができるようになっている」。

米国を拠点とするリビアナフーズは、ミニッツライス・カップ(Minute Rice Cup)の新商品を2種類発表。ひとつはハラペーニョ風味で、もうひとつはジャスミン米と赤キヌアのコンボだ。BPA不使用のカップに入った新商品はいずれもビーガン、グルテンフリーで、電子レンジで1分間加熱するだけでできあがる。

「消費者は、便利で風味豊かな高品質の米を使えることにより、調理に必要な時間を減らし、食事や人生の大切な時間を楽しむために多くの時間を費やせる」と、リビアナフーズのシニアブランドマネージャーのエリカ・ラーソン氏はニュースリリースで述べている。

製造業者はパッケージを再考する可能性

食料品コンサルタントのマットソン(Mattson)でイノベーションおよびマーケティングの最高責任者を務めるバーブ・スタッキー氏は、食料品を共有することに懸念があったパンデミックの際、個食サイズのパッケージへの需要が高まったことを耳にしたという。同氏は、食料品小売業者による新商品の開発支援に重点を置いている。

同氏は、「当社はクライアントとの関係において、『バーにおいて、当社のスナックナッツのビジネスは事実上存在しなくなってしまった。コロナウイルスの懸念から、誰もスナックナッツのボウルに手を突っ込もうとしないからだ』という話を耳にした」と語る。

また同氏は、商品のコストについて心配している製造業者は、2022年にはコスト削減のため商品のパッケージ方法について再考するかもしれないと語っている。小さなパッケージはオンスごとのコストが高くなり、大きなパッケージを作るよりコスト高になることから、CPGブランドにとっては非効率的だと、同氏は説明する。しかし、包装材料のコストや配送料金が上昇するにつれ、製造業者は商品の小型化に注目する可能性があると、同氏は語っている。

インフレへの対応策を模索

ダノンとペプシコはいずれも、最新の決算発表において、インフレの激しい環境に言及している。ペプシのラグアルタ氏は、インフレは引き続き懸念事項であり続けるが、ビジネスの主な責任は、インフレの圧力にかかわらずカテゴリーを確実に成長させることであると語る。ダノンで財務・テクノロジー・データの最高責任者を務めるジュエルゲン・エッサー氏は4月、ミルクやデンプンなどの商品のコストが上昇しているため、インフレが重要なポイントになっていると述べたが、それでも、第1四半期には実売上が7.1%増加したと述べている。

スタッキー氏は次のように述べている。「誰もが、困難と商品のコストの増加を感じている。現在では、サプライチェーンのあらゆる部分がより高価になった。すべての企業がそれに対応するための独自の対応策を持っているだろう」。

[原文:CPG brands are leaning on small-sized portions, citing health-conscious shoppers]

Melissa Daniels(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:黒田千聖)
Image via Minute Rice

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