ブルームバーグが 気候変動 コンテンツで目指すもの:「サステナビリティ関連のサービス需要は、間違いなく加速する」

DIGIDAY

よりサービス指向のジャーナリズムへの投資に力を入れるブルームバーグ・グリーン(Bloomberg Green)が、新たな動画配信やポッドキャスト、サブバーチカルを拡充する。

「気候問題ソリューション」コンテンツは、読者が気候変動による危機にどう対処できるかを提示しようとするもので、ブルームバーグ・グリーンの開設以来掲載されてきたコンテンツだが、今後は「よりグリーンな暮らし(Greener Living)」と題した新しいセクションの中で、消費者がより環境に配慮した暮らしをする方法を「解き明かし、かみ砕いて説明する」ことに焦点を絞っていく、とブルームバーグ・ニュースのESG(環境・社会・ガバナンス)およびエネルギー関連ニュースのヘッドであるジョン・フラハー氏は話している。

2022年7月、ブルームバーグ・グリーンは2020年1月の開設以来初めて、新エネルギー、ESGへの投資、気象・科学、電気自動車、気候関連の政策、クリーンでグリーンな技術、よりグリーンな暮らしといったトピックのバーチカルをホームページに追加する予定だ。フラハー氏によれば、同サイトのローンチ時のセクション数は5つだった。

新しいサブバーチカルは、ブルームバーグ・グリーンの立ち上げ以来「我々がやってきたことの発展形」であり、「我々がこれまで優先事項としてきたものがどう進化したのかを映し出したもの」だと、フラハー氏は語る。そして「これは私たちがすでに取り組んでいる活動に読者の関心を集中させるための方法だ」という。

急成長する「サステナブル」なプロダクト

ブルームバーグ・グリーンの拡大をサポートするため、同社は2022年夏、気候問題ソリューションレポーターのザーラ・ヒルジと、「Greener Living」のエディターのキラ・ビンドリムを採用した。同年1月には、同じく気候問題ソリューションレポーターであるトッド・ウッディもチームに加入している。フラハー氏は、正確な人数は明かさなかったが、さらに数人を近々チームに加える予定だそうだ。2020年以降、ブルームバーグ・グリーンの専属編集スタッフは3倍に増えたと広報担当者はいうが、具体的な数字は明らかにされていない。

メディアエージェンシー、マインドシェア(Mindshare)のグローバル・チーフトランスフォーメーション・オフィサー、オリバー・ジョイス氏は、Eメールの中で、サービス指向のコンテンツが増えることは「良いニュースだ」と述べている。さらに「このような環境は広告主にとって魅力的なだけではなく、ショッピングを楽しむ消費者と、持続可能なイノベーションに専門的な興味を持つ読者、その両方の視点からも歓迎されるだろう」といい、このカバレッジに合うサステナブルな製品が、今「急成長」していると付け加えた。

気候変動コンテンツに対する広告主の持続的な関心は、インフレにより鈍化するリスクはあるものの、「中期的な消費者の興味と需要に規制も加わり」、サステナビリティ関連のインサイトやサービスに対する顧客からの需要は「間違いなく加速する」とジョイス氏は話している。

ブルームバーグ・グリーンは、これまでのところまだ減速を経験していない。同社の広報担当者によれば、このバーチカルの2022年の広告収入は、2020年と比較して100%増加する勢いであり、すでに2021年の収入を上回っている。ブルームバーグ・グリーンの広告主には、自動車メーカーのゼネラルモーターズ(General Motors)、世界的建材会社のホルシム(Holcim)、コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社SAPなどが名を連ねており、メディア、イベント、カスタムコンテンツなどのスポンサーになっている。

よりグリーンな暮らし(Greener Living)

新しいサブバーチカルは、ほとんどがブルームバーグ・グリーンでの既存のカバレッジエリアをもとに形を整えたものだが、その中でもっともカバレッジが拡大するのは、新しく作られた「Greener Living」のセクションだと、フラハー氏はいう。

「ブルームバーグ・グリーンの初期のフェーズでは、気候問題の全体像に焦点を当てた。我々の会社が何をしているか、政府が何をしているかを集中的に取り上げた。メタンガス排出などに関する調査に着手して大きな成功を収めたし、気候科学に関する記事も数多く掲載した」とフラハー氏は語る。そして「ブルームバーグ・グリーンの次を見据えたとき、我々が今回手掛けるこの一連の新しいニュースチャネルと製品において特に重視するのは、気候変動が消費者にとって何を意味するのかに目を向けることだ」と述べた。

同氏によると、「Greener Living」セクションでは、消費者がより気候問題に配慮した生活を送れるようにするために開発された製品や技術、食品(気温の上昇が農業に及ぼす影響など)、持続可能な衣類、住宅の気候変動対応といったトピックを取り上げるという。

「こうしたスペースに対する読者の興味は高まっている」とフラハー氏はいう。広報担当者によれば、最近は、再生可能エネルギーや電気自動車に関する記事が、ブルームバーグ・グリーンにおけるトラフィック数の上位を占めているのだそうだ。両者はさらに、ブルームバーグ・グリーンの日刊ニュースレターの読者数が2021年の1年間で32%増加した、と付け加えた。

生活の脱炭素化を読者に提案する

2022年秋には、ブルームバーグ・グリーンでは新たに「ゼロ(Zero)」という名の週刊ポッドキャストがデビューを飾る。ホストを務めるのはシニアレポーターのアクシャット・ラティ氏だ。「Zero」では、カーボンフリーな未来への移行を実現するべく活動しているビジネスリーダーや投資家、政治家、イノベーターなどへのインタビューを特集する。「Zero」はブルームバーグ・グリーンで2つ目のポッドキャストで、2020年には「ブラッドリバー(Blood River)」という9部構成の限定調査シリーズが公開されている。

2022年10月、ブルームバーグ・グリーンは、2020年11月にローンチした同社の24時間CTVビジネスネットワーク「クイックテイク(Quicktake)」で、「Getting Warmer with Kal Penn」という番組を初めて放送する(クイックテイクはブルームバーグのデジタルプラットフォームだけでなくYouTubeでも毎日ストリーミング配信している)。

「それがテレビ番組であれ、新しいストリーミング配信であれ、私たちが今やろうとしている試みの多くは、どうすれば生活の脱炭素化ができるかを読者に説明することを目的としている」とフラハー氏は語っている。

[原文:Bloomberg Green’s expansion increases its service-oriented coverage

Sara Guaglione(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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