技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)2022、出場ロボット直前レポート!!

デイリーポータルZ

ロボットなんて作れない人たちが、自作の「自称・ロボット」を持ち寄り無理やりロボットバトルをするイベント、「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」。
日本中から腕に覚えのないものが集う炭酸の抜けた戦いが、今週末の7/31(日)、3年ぶりに開催される。

そこに登場予定のロボットの一部を、少しお見せします!

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この記事は、7月中旬ごろに出場者にアンケートを行い、共有してもらったロボットの制作状況をもとに編集している。

こういう記事は、参加ロボットをいくつかのカテゴリに分けたうえで、突進系はこんなのがあります、打撃系はこんなのが……って感じで紹介していくのが正統派だ。

しかし、今回はもう何でもいいから目についたものをどんどん紹介していくことにする。全員好き勝手やっていて、どうやっても分類できなかったからである。

以下、オレンジの太字はロボット名、カッコ内はチーム名だ。

ヘボコンライガー ~バルーンフォルム~(田中源士(ザマプロ))

田中源士(ザマプロ)0.jpg

こちらはバルーンを使って作られたロボットの設計図。これが実体化すると…

田中源士(ザマプロ)1.jpg

バルーンアートが下手!

技術力の低い人限定ロボコン、ロボット的な意味の技術力の低さだけでなく、こういう技術力の低さもあるんだな、と感心してしまった。
しかしその後のツイートを見てみると…

 

上達してる!!!

しかしこうなったらこうなったで、「いやバルーンの練習よりもっと作り込むべきところがあるのでは」と心配になってしまうのが人間心理の難しさである。一応言っておくが、競技はロボット相撲である。

『戦慄の爆音ロボ』ツインシンバルくん(イシイハジメ(ザマプロ))

なんかめちゃくちゃやばいやつが登場した。

ワンウェイホイールというのは、片側にだけ回るタイヤ。シンバルを叩く振動のうち、前方向への加速だけを生かして前進している、ということだろう。
振動から推進力を取り出すという原理はけっこうクレバーなのだが、それを全く感じさせない見た目のクレイジーさが良い。

インテリ君1号(常盤の森ねこねこカレッジ)技術科教育の限界(sue)

やや似た形のロボットが2体登場し、気になっている。

常盤の森ねこねこカレッジ.jpg
ロボティクスの専門書。本だ
sue.jpg
教育指導要領。本だな

どちらも本。

制作中の写真なので見た目は今後変わっていくはずで、それぞれ、ここからどのような独自進化を遂げるか楽しみである。

それよりも「難しいページを敵ロボットに見せ混乱させる(インテリ君1号)」「この国の科学技術の礎が迫ってくるので、敵は権威に圧倒される(技術科教育の限界)」とコンセプト的が近いのが気になる。
いや近いのはいいんだけど、対戦相手はロボットであり、心臓部であるモーターは難しい本に混乱もしなければ圧倒もされないのである。

まずその前提を理解してほしい。

あるいはコンピューターであれば多少は入力情報に左右されるかもしれないが、ヘボコンでは誰もそんなものは積んでいないのである。

夏の思い出2022ロボ(あいびーあーる)

あいびーあーる.gif

写真と一緒に送られてきたコメントには「トカゲがかたかた鳴ります」とだけ書いてある。何から何まで全く意味が分からず最高なのだが、一番わからないのはなぜこれを動画で送ってきたのかである。(掲載にあたりGIFにしたが元は動画ファイルだった)

出場者から送られてくる動画にはたいていロボットが動くシーンが収められているが、これはロボットが動ではなく、カメラの画角がちょっとだけ動いている。おかげで造形が少しだけ立体的に見える。

毎日がEveryday(あづみ)

あづみ.jpg

これだよ、これ!

運営サイドとしてはすごく安心感のあるロボット。「推しの誕生を全力で祝います」とのことで、コンセプトもわかりやすいし、なにより完成しているところがすばらしい。

ただ、だからと言って決して「ちゃんとしてる」わけではないのだ。グロースティックを袋ごとぶっ刺してあるなどヘボコン特有の妙な野性味を感じる。完成してなおポテンシャルの高い、当日の活躍が楽しみなロボットの一つ。

No.66-B(KEROKEROBOT)

KEROKEROBOT.JPG

しばしば電気を使わないロボット(ロボット?)が登場するヘボコンだが、これは空気式だろう。

コメントには「ピロピロ笛を伸ばしたいので、対戦相手の方にはピロピロ笛が伸びるまで押し出すのを待ってもらえると助かります。」とある。

勝負を何だと思っているのか。ここは戦場だぞ。

原稿提出ロボ(初稿機)(じきるう)

繰り返すが、ヘボコンは戦場なのである。しかしながら、あまりに動作が拙すぎるために、どうしても応援して見守りたくなってしまうロボットがしばしばに登場する。これもそうだ。

がんばって紙を出してほしい!でも紙を出したからって何なんだ!?!?相撲のルールを知っているのか!?!?いろんな感情に胸が引き裂かれそうになる。

みかん×ミカン モーニングルーティンーMIKANー(モーニングチルドレンあさこ)

ちょっともう何が起きているのか全然わからない。この出場者は、自分がこのあと出場するのがロボット相撲の大会だということを知っているだろうか。

スーパーロボット(チームタナゴ)

名前に「ロボット」とついている点でかろうじてイベントの趣旨を理解していることがわかる。

ドローン(四国無双)

四国無双.JPG

これを言うとネタバレになってしまうかもしれないが、あの会場でソーラーパネルを電源としたロボットが前進できたことは一度もない。しかし「ドローン」という名前の通り浮くらしいので、これから代替の推進力が搭載されるはずである。検討を全力で祈りたい。

ロボファイナル(やまねせいや(ザマプロ))

この出場者はnoteに「ヘボコン2022制作記録」という連載を書いているのだが、この記事の執筆時点で「#1 作戦とコンセプト」の1回だけで更新が止まっているのが気になる。構想だけなのだ。

やまねせいや(ザマプロ).jpg

掲載されていた設計図を見ると、構想としてはかなり固まっていることがわかる。と同時に、8年に及ぶヘボコンの運営経験からいうと、構想がしっかりしていればしているほど「構想だおれ」の5文字が頭をよぎる。

ヘボを愛でるヘボコン、構想だおれを慈しむ準備は万全ではあるが、一応当日までは前向きに制作を頑張っていただきたい。

ダンボー(たかたけいた)

ここまで、ロボットの紹介をするつもりが、いかにまだ出場機が全然できてないかを露呈する結果になってしまった。

さて、夏のヘボコンは大人の出場者が中心となるが、毎回、数組の子供チームの参加もある。
大人たちのこの体たらくに対して、キッズ勢のすばらしい進捗を見てあげてほしい。

 

できているのである。
正面にくわえ両サイドにも武器が伸びており隙のない仕上がり。ボディがどっしりしているので安定感もありそうだ。(継ぎ目がテープなのが不安だが)

しかしなにより、完成している。未就学児にしてこの計画性である。

アルティメット・ミッフィ(ミッフィ軍団)

もう一組、子供チームのロボットを紹介する。

ミッフィ軍団0.JPG

これが設計図。下の箱が空気砲になっており、ボールを落として箱を潰すことで空気を発射するらしい。

動作状況は動画で見ていただこう。

[embedded content]

まだまだ威力は弱いものの、基本動作はできているのである。このまま出場するもよし、より改良し次なる高みを目指すもよし、彼らには選択肢がある。なぜなら計画的に、一度完成させたからである。

さて、ここで主催者からの大事なメッセージだ。

大人たちは子供の計画性を見習って、ちゃんと大会までにロボットを完成させてください。

ここは普通のイベントなら「勝っても負けても楽しんで」とか「お互い称えあって」とか、もっといいことを書くべき枠であろう。こんな小言で締めることになるとは思わなかった。これがヘボコン2022の現状報告である。

技の数々

まだできていないみたいなので動画でお見せすることはかなわないのだが、アンケートには多数の必殺技(の構想)が寄せられていた。

それを一部ご紹介して、この直前レポートを締めたいと思う。

  • ドアをパタパタさせる
  • イカぐるぐるアタック
  • アメリカが世界に誇るテクノロジー・ダクトテープで全ての問題を解決
  • 相手が半額になることで実質こっちの攻撃力が2倍になる
  • 振動しての怒涛の寄り身
  • スギ花粉アタック
  • 史上最も背の高いロボットの記録更新を狙う
  • 時間の奴隷となった私が朝の虚しさを乗り越えて今日も1日頑張ろうという前向きな気持ちで投げたミカンがロボットを前へ進ませ、迫り来る時間への焦燥感で相手を押し出す。

自由すぎて一読しただけでは言葉の意味が頭に入ってこず、まるで詩のような味わいである。

これらがすべて(雑に)実装され、そして(成立ギリギリの)バトルを繰り広げるという、夢のような(あるいは白昼夢のような)大会が、今週末開催される。チケットを買っていただいた方は会場で、そうでない方は無料のライブ配信で、ぜひ見届けてほしい。

 

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