フォードが電気自動車推進のため8000人の従業員を解雇する可能性

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ガソリン車からより環境への影響が少ないクリーンな電気自動車(EV)への移行が進んでいます。EVは初期費用が高額でも維持費や燃料費が各段に安いことも明らかになっており、車の未来は「EV一択」と言われるほどです。そんなEVへの移行を推進するために、フォードは約8000人の従業員を解雇する準備を進めていると報じられています。

Ford Job Cuts: 8,000 Roles Set to Be Affected by Push to Help Fund EVs (NYSE:F) – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-07-20/ford-plans-up-to-8-000-job-cuts-to-help-fund-investments-in-evs

Ford will reportedly slash a quarter of its workforce to fuel EV expansion – The Verge
https://www.theverge.com/2022/7/22/23274230/ford-blue-layoffs-model-e-ev

アメリカの大手自動車メーカーであるフォードは、韓国の精油会社であるSKイノベーションと合弁会社のBlueOval SKを設立し、アメリカのテネシー州とケンタッキー州にEV用バッテリーの工場を建設しています。Bloombergがフォードの関係者から入手した情報によると、フォードはBlueOval SK向けの運用コストとして2026年までに30億ドル(約4100億円)を準備することを目指しており、このためにアメリカの従業員の約4分の1に相当する8000人を解雇する準備を進めているとのことです。

フォードは2022年初めに事業を2つに分割し、従来の内燃機関(ICE)車両の製造を「フォード・ブルー」、電気自動車や高度なソフトウェアプロジェクトの開発を「フォード・モデルE」に分担しています。フォードは8000人規模の大規模な人員削減を、フォード・ブルー側から捻出することを検討している模様。

Bloombergの報道によると、フォード・ブルーでの人員削減は確定事項ではなく、変更の可能性もあるとのこと。ただし、フォードでの人員削減は2022年夏から段階的に開始される見込みとなっており、30億ドルのコスト削減は、フォードのジム・ファーリーCEOによるEV事業推進計画の重要な一歩となるそうです。


Detroit Free Pressの報道によると、ファーリーCEOは2022年7月21日(木)の朝に従業員向けにビデオメッセージを送り、レイオフの可能性を否定せずに運用コストの削減を行うと説明したそうです。

フォードの企業および公共政策コミュニケーション部門のディレクターを務めるTR・リード氏は、海外メディアのThe Vergeに対して「我々は仕事を再構築し、組織を近代化して、フォード+と呼ばれる変革計画を実現します。これには、接続された電気自動車の破壊的でエキサイティングな新時代をリードすることが含まれます。我々は、すべての自動車事業部門と会社全体で起こっていることを再形成しています。また、その過程でコスト構造を改善するための明確な目標を設定したため、無駄がなく、業界最高の企業として、完全に競争力を保つことができます」と語り、人員削減については言及しなかったものの、コスト構造の改善に取り組むことを明言しています。


フォードは人員削減が企業全体の利益を増やすためのカギであると述べていますが、製造コストの安いリン酸鉄バッテリーを導入するなど、利益改善のためにエンジニアリング面でさまざまな取り組みも行っています。

なお、フォードが2021年に販売したEV台数は2万7140台でしたが、この台数を2026年までに年間200万台にまで増やすことを目論んでいます。このために、フォードはEV事業への支出を500億ドル(約6兆8000億円)に増やすと語っており、そのための30億ドル規模のコスト削減として、人員削減が行われることとなるということのようです。

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