福島での水素の社会実装が本格化–トヨタ傘下CJPTら、電動車普及に向けた取り組み開始

CNET Japan

 トヨタ自動車傘下で商用車におけるCASE技術、サービスの企画などを事業とするCommercial Japan Partnership Technologies(CJPT)は7月19日、2023年1月から福島県と東京都で、電動車普及に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築、社会実装を開始すると発表した。

 2023年1月〜2029年度末、福島県、東京都、東北−関東−関西(幹線輸送)で実施する。燃料電池大型トラック(FC大型トラック)や量販燃料電池小型トラック(量販FC小型トラック)など、約580台の商用電動車を導入する。福島県での水素の社会実装を本格化させるという。

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 CJPTは、トヨタ80%、いすゞ10%、日野10%の資本構成で2021年4月に設立以降、CASEの普及を加速させ、カーボンニュートラル社会実現への貢献と、ドライバーや作業者の負担を軽減するため、物流現場での取り組みを検討してきたという。

 電動車普及には、荷主や物流事業者、インフラ事業者、自動車メーカーなど、関係するパートナーが一体となり、プラクティカル(実用的)な形でサステナブル(持続可能)に取り組むことが求められている。そこで、各業界の賛同者と協議を重ねた結果、福島県と東京都で社会実装を開始することになった。

 参画パートナーは、福島県と東京都のほか、アサヒグループジャパン、アマゾンジャパン、いすゞ自動車、岩谷産業、ENEOS、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、小名浜包装資材、佐川急便、佐藤燃料、シオヤ産業、スズキ、西濃運輸、セブン‐イレブン・ジャパン、ダイハツ工業、田村建材、東京ガス、巴商会、トヨタ自動車、トヨタモビリティパーツ、日本エア・リキード、日本通運、日本郵便、根本通商、磐栄運送、日立物流、日野自動車、ファミリーマート、福山通運、ヤマト運輸、大和電設工業、ヨークベニマル、ローソン、産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所 再生可能エネルギー研究センター。

運行管理とエネルギーマネジメントで課題解決を

 商用電動車の導入にあたっては、車両購入に加え、充電、水素充填などによる荷物とクルマの停滞(ダウンタイム)や、充電タイミングの偏りによる事業所電力ピークの増加など、社会全般の負担が増大するという課題がある。

 今回の社会実装では、幹線輸送にFC大型トラック、地場輸送に量販FC小型トラック、ラストワンマイル配送に商用軽バン電気自動車(BEV商用軽バン)など、商用電動車を導入。さらに、商用車の運行管理と一体となったエネルギーマネジメントで、社会全般の負担とCO2の削減へとつなげていくという。

 具体的には、福島県で水素エネルギーの社会実装を促進する。

 福島県では2022年6月から浪江町と双葉町で、FCEV(燃料電池自動車)の持つ発電能力を活用した冷蔵、冷凍庫などの電気機器を搭載する移動販売車の活用を推進していたが、いわき市と郡山市で2023年1月から、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどへ量販FC小型トラック約60台とFC大型トラックを導入。生活インフラであり、災害時の避難拠点でもあるスーパーやコンビニで、配送を中心とした水素の社会実装を本格展開する。

FC小型トラックのイメージ
FC小型トラックのイメージ

 同時に、各社の運行管理システムと車両の走行情報、水素ステーションの情報をつないだエネルギーマネジメントシステムを構築。水素ステーションの最適な配置やオペレーション条件を提示し、水素ステーションの渋滞回避や水素ステーションへの移動時間による車両や荷物が止まる時間(ダウンタイム)の最小化を図る。

 そのほか、デンソー福島工場を技術実装のショーケースとし、新たに開発する水電解装置により製造したクリーンな水素を工場ガス炉で自家消費する「水素地産地消」モデルの構築を開始する。

 オフィスでは、定置式FC発電機の設置による低炭素化に加え、災害時の電源としての活用も視野に入れた実装を始め、店舗における設置に向けた検討を開始する。工場や店舗のカーボンニュートラルの実現に向け、再エネ活用とあわせて水素の利活用を進める。

 なお、量販FC小型トラックは、CJPTといすゞ自動車、トヨタ自動車、日野自動車の4社の知見と技術を結集し、小型トラックに求められる性能や条件を満たす商品を追求して開発を進めているという。

 BEV商用軽バンは、スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車の3社で軽商用車に適したBEVシステムを共同開発。CJPTが企画に参画したものとなる。

 FC大型トラックは、トヨタ自動車と日野自動車が共同で開発。アサヒグループホールディングス、NEXT Logistics Japan、西濃運輸、ヤマト運輸、トヨタ自動車の各社の物流業務において、2020年春から走行実証を開始している。

FC大型トラックのイメージ
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