プラダとゲランは、 NFT を未来のイノベーションの鍵と位置づけている：ブランド・アイデンティティの核との関係

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プラダのリ・ナイロンコレクションのように、ラグジュアリーブランドはフィジタルツインアイテムの販売など、よりサステナブルなローンチにつなげようとする方法を示している。またゲランのように、NFTを再野生化のプロジェクトと組み合わせ、NFTホルダーが生物多様性をサポートできるようにするブランドもある。

プラダ（Prada）のリ・ナイロン（Re-nylon）コレクションのように、ラグジュアリーブランドはフィジタルツインアイテムの販売など、NFTへのアプローチを考え抜いて、よりサステナブルなローンチにつなげようとする方法を示している。また、ゲラン（Guerlain）のように、NFTを再野生化（註：開発した土地を自然な状態に戻したり、生態系を回復させようとすること）のプロジェクトと組み合わせ、NFTホルダーが生物多様性をサポートできるようにするブランドもある。

デジタル衣服やNFTの用途が拡大しているため、ラグジュアリーブランドは昨年デジタル衣服の在庫を増やしている。現在、NFTの一攫千金的な側面は落ち着きつつあり、NFTをサステナビリティと結びつけるなど、さらに深く掘り下げたNFTプロジェクトを通じて顧客と関わることを、ラグジュアリーブランドはより優先するようになってきている。同時にブランドにとってますます重要になっているのは、ブランドと連携したNFT戦略を構築することだ。

サステナビリティへの取り組みを反映したプラダのNFT戦略
ブランド・アイデンティティの核は何かを考える
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サステナビリティへの取り組みを反映したプラダのNFT戦略

7月頭、プラダは7月7日にローンチする第2弾のNFTコレクションを発表した。50点のフィジカルアイテムが24時間限定で販売され、それらはプラダのアーカイブデザインをアップサイクルしたアイテムの限定生産の一環となる予定だ。この2回目のエディションは、アーカイブの参照と循環型への取り組みという、ここ数年のプラダのふたつの優先事項を前面に押し出している。プラダのNFTの初回生産分は、1300ドル（約17万7000円）の現物のシャツを購入すると無料で提供された。またアーティストのカシアス・ハースト氏とデザインした100点のNFTも販売された。どちらも、物理的な商品とそれに対応するNFTであるフィジタルツインを販売するという、同ブランドの「タイムカプセル（Timecapsule）」のイニシアチブの一環だ。

「タイムカプセルは毎月開催されるオンラインイベントだ。毎月第一木曜日の24時間限定で、一部の市場にて非常に限られた数量の限定アイテムがprada.comで販売される」とプラダの広報担当者は述べている。タイムカプセルの各限定アイテムには固有のシリアルナンバーが付いており、カスタムパッケージングで配送される。「プラダ・タイムカプセルとNFTの希少性や好ましさには相乗効果がある」。

物理的なアイテムは新しい生地から生産されていないため、再利用可能なナイロン繊維のみを使用するという2019年に始まった「リ・ナイロン」のローンチや、その幅広いサステナビリティの目標に続き、同ブランドのサステナビリティへのコミットメントを維持している。プラダグループは、バージンナイロンの生産をすべて再生ナイロンに転換している。

現在、プラダNFTのファーストエディションは2.56イーサリアムから9イーサリアムで再販売されており、その価値は1125ドル（約15万円）から1万ドル（約136万円）となっている。これはアートからサステナビリティまで、差別化されたアプローチがリセール市場でもうまくいくことを示している。

ブランド・アイデンティティの核は何かを考える

プレミアム取引プラットフォームのミントNFT（Mint NFT）の創設者ジェームズ・サン氏は、多くのファッションハウスと話すうちに、ラグジュアリーブランドはNFTとメタバースを自分たちが行っているあらゆることに織り込みたいと考えていることが判明したと語る。「我々が求めているのは先進的な考えのファッション企業であり、特に（企業側が）戦略的なローンチをメタバースやデジタルとどのように関連付けるかという点だ。すべてのファッションハウスが、今日行っているすべてのことにNFTを統合する準備ができているわけではない」。しかし今後、変化する市場に食い込みたいと考えているブランドは、ブランドアイデンティティの中心に何があるのかについて考える必要がある、と彼は述べた。

ゲランのような他ブランドも、NFTのローンチの展開にそうしたアプローチを活用している。今年3月には、ゲランはブランドの創業年である1828年にちなんで、1828匹の「クリプトビー（cryptobees）」をローンチした。これは、フランスの自然保護区であるミリエール渓谷の特定の区画を中心とした再野生化プロジェクトに関連するものだ。この動きは、サステナビリティを同ブランドのアイデンティティの中心に据えるという、より幅広い戦略の一部であるように思える。なお、同ブランドからはこの件に関するコメントはもらえなかった。

[原文：With new launches, Prada and Guerlain are positioning NFTs as keys to future innovation]

ZOFIA ZWIEGLINSKA（翻訳：Maya Kishida 編集：山岸祐加子）