100均お菓子がそっけない(デジタルリマスター)

デイリーポータルZ

前々から思っていた。なんだか、そっけないなあ、と。

100円ショップなどで売られているお菓子のことだ。安っぽいというのでは含みきれない「そっけなさ」を感じるのだ。

100円均一、ディスカウントスーパーなどをまわり、「あ……、そっけない……」とさびしくつぶやきながら、そんなお菓子を見て回りました。あたらしい100円ショップ散策のご提案ともいえます。

2006年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

まずはこれをごらんください

これ、今回100円ショップやディスカウントショップを回って買ったクッキーである。

ココナッツクッキー、以上。

なんだか、そっけないと感じる。

普通のスーパーやコンビニに売っているメーカーもののお菓子にはない、どこか突き放した感じ。

商品名やキャッチコピーで購買意欲を訴えることなく、ただただ「ココナッツクッキー」と必要最低限の業務連絡が書いてある。

実態はあの「ミスターイトウ」のメーカーの商品なのだが、ブランド名は「ノーブランド」。

中身は普通のクッキーだ。開封してみればすごく美味しそうでテンションが高いのに、パッケージは冷静。

100円ショップにはこういった そっけないパッケージのお菓子が多く、ずっと気になっていた。

こちらはガム。

ゴシックの文字が冷静に並び、パッケージの正面ではないかのようだが
裏側は、ちゃんと裏側なのだった

やっぱりそっけない。

だからなんだといわれると何のご返事もできないのですが、今回「ああ、そっけない……」と見て回った結果、単に100円ショップのお菓子がすべてそっけないわけでもなく、その そっけなさの条件のようなものも絞れてきたのだ。

こちらはワッフルクッキー。側面にコーヒーの写真などイメージをあおってはいるものの
やっぱりどうにもそっけない。「ヨーロピアンスタイル」って書いてあってもやっぱり どこかそっけない。
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向かったのは食品に強いディスカウント店

そういったわけで、できるだけ多くの そっけないお菓子を目撃すべく、食品をたくさん扱っていると思われる店を回った。

大型100円ショップ、ディスカウント系スーパー、食品専門の100円ショップなどだ。

このビルの7Fが全面100円ショップなんです
おそろしい品揃えの中「食べる」というコーナーを発見。コーナー名が動詞ってのも100円ショップ(というかダイソー)的
こちらは店内の多くの食品を99円で売るディスカウントスーパー
秋葉原の駅ビルともいえる「アキハバラデパート」の2Fには食品専門100円ショップが

そっけないお菓子の条件とは

買い物かごを片手にうっかり「そっけない」もの以外を買わないよう、注意深く店内を回った。

その結果、はっきりとそっけない系に分類されないお菓子が浮かび上がってきた。

100円ショップには、そっけない系のお菓子以外に、普通にスーパーやコンビニなどで見かけるお菓子もかなり多く並んでいる(中にはうっかりするとスーパーで80円ぐらいで売られているものなんかもありますよね)。

物産ぽいお菓子や、昭和っぽい懐かしいお菓子が多いのも特徴だ。毛穴の開くラインナップだが、これらには そっけなさは無い。と思う。

物産ぽいお菓子。シンプルだが、今回いう そっけなさとはちょっと違う
懐かしい系のお菓子にはもえもえ。レトロオシャレでこれも そっけなくない

そっけないお菓子のめやす(1)

・コンビニなどで売られていないお菓子
・物産系じゃないお菓子
・レトロ系でもないお菓子

続いてディスカウント系のスーパー。こういった店には、どこから流れ着いたんだろう、というお菓子が多い。有名メーカーの見切り品が大量につまれていたりもする。

コンビニやスーパーなどによくある「プライベートブランド」の商品も多く見かけた。有名メーカーの類似品(ときに有名メーカーと提携していたりもする)のようなお菓子を安価に同じパッケージにして売っているやつだ。

これはこれで そっけない感じはするが、私が求めているあのそっけなさとはちょっと違う。

さらに、おつまみやドライフルーツに良くある 多種類展開のパッケージ。これはとにかく見ているとわくわくして、それこそ そっけないどころではない。

プライベートブランド商品、こういうの。
ずらーっと同一パッケージで豆多種! わくわくする

そっけないお菓子のめやす(2)

・プライベートブランド商品ではない
・多種類展開していない

こういったものは、パッケージがそっけなくても許されている感じがする。肉のハナマサの同一パッケージぶり(「プロ仕様」というあれ)や無印良品といったような。これは シンプルなのであって、多分そっけない とはいえない。

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そうして見つけたそっけないもの達

以上のような条件をかいくぐると、いよいよそこに そっけないお菓子の地平が見えてくる。

本当はそっけなくちゃいけないのに、なんだかそっけない。そんな商品たちだ。

たとえば、こんな感じ。

品名のみ書いてある、そっけなさの代表
味の説明イラストはあるのに、なんでかさびしい

これだけ見ていくと、どうやら商品名が「そのものズバリ」だと そっけなさ度がグッと高まるようだ。

そっけないお菓子のめやす(3)

・商品名が、まんま

まんまの商品名が堂々と大書きされていればされているほど、そっけなさは加速する。

黄桃。以上。
ピーナッツバター。キャラクターもむなしくそっけない。

こうやって、商品名だけだと、なんだか嘘っぽいからだろうか。

マンガの中のキャラクターが食べている記号としてのお菓子みたいというか、お母さんが自宅で瓶に「砂糖」と書くみたいというか、垢抜けない感じもある。

キャッチコピーや写真がちゃんとしていても、どうしても そっけない、うそっぽい
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そっけなさ、商品名を超えて

さらに、商品名がまんまという以外にもそっけないお菓子が見つかった。輸入系のディスカウントお菓子によくあるタイプだ。

たどたどしいチーズスティッククラッカーの文字

惜しい。右端の「チーズスティッククラッカー」の文字がなければ、ちょっとおしゃれな輸入お菓子だったのに。

日本語のせいでどこかうらさびしい風情になってしまっている。

そっけないお菓子のめやす(4)

・日本語がどこかたどたどしい

続いてこちらも そっけない。

読みづらい「バターキャラメルキャンディー」の文字
ざらついたプリント

どっか適当だ。これぐらいでいいだろうという投げやりな感じ。そっけない。

そっけないお菓子のめやす(5)

・すてきな適当感

「あー、あれもそっけない、これもそっけない」としんみりしながら結局は興奮して歩いてまわっていた。

あ、私、このそっけなさが大好きなんだ、と気づいたのは、そっけないお菓子のたくさん入った買い物袋の重さに気づいたときだ。

これからも、100円ショップに行くとそんなお菓子を買ってしまうと思いました。これらのお菓子が総じてプリミティブな味付けであり、カロリーが高そうなのが気がかりです。

100円ショップやディスカウントショップのお菓子には、見たこともないものが多い。こういった そっけなさに囲まれると、どこか違う国のスーパーに行ったような気分になる。

安さ以外にもいろいろな魅力がある100円ショップ、ディスカウントショップ。この手のそっけなさも絶対その魅力を支えていると私は思うわけです。

ソースも良いかんじにそっけなかった

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