心をえぐるトラウマアイテム! ピーターラビットのカプセルトイから出てきた目を疑うフィギュアとは…

ロケットニュース24

イギリスを代表する児童文学「ピーターラビットのおはなし」。

青いジャケットを着た愛らしい うさぎ を知らない人はいないだろうが、全編を把握している読者は少数派かもしれない。

ときに小さな事件は起こるけれども、平和な村では小動物たちが仲良く助け合いながらのんびり暮らしており……

という話ではない。


・「ピーターラビット ブックフィギュア」(500円)

ある日、量販店でピーターラビットの新作カプセルトイを見つけた筆者。同シリーズが大好きで、過去にはイギリス湖水地方の作品舞台まで訪問したほど。喜び勇んでガチャを回した。


これは、まぎれもなく主人公ピーターラビット!


1回500円のちょっと高めのカプセルトイだけあって迫力あるビッグサイズだ。すごくいい! 全4種であることを確認し、中身の違うものが4個揃った時点で帰宅した。



うほほーい、開封の犠だ。


やはりフィギュアは手のひらにごろんと転がる満足サイズ。


さらに「ブックフィギュア」の名前のとおり、絵本を模した背景がついている。実際の絵本の一場面がプリントされた透明シールが付属しており、購入者が各自で貼りつける。

かわええぇぇぇぇ!


これから外出するお母さんに「いい子で留守番してるんですよ」と言い聞かせられている場面。姉妹はいいつけを守るのに対し、ピーターだけ人間の農夫・マグレガーさんの畑に忍び込み、散々な目に遭うというのが第1作のストーリーだ。



こちらは従兄弟のベンジャミン・バニー!


一緒にマグレガーさんの畑を再訪して上着と靴を取り戻してあげる場面。手に持っているのはピーターの靴だ。夜のあいだにたまった雨水を捨ててあげているところ。鼻血が出そうなほど可愛い~~~!

大きな帽子は、マグレガーさんのカカシから拝借したもの。ついでに野菜もいただき、ピーター以上に豪胆でちゃっかりした性格だ。この後、大変な目に遭うのはお約束。



続いては「こねこのトム」!


なのだが、見慣れない姿をしている。筆者は「まさかこのチョイスで来たか!」とヒザを打った。

「こねこのトム」といえば、洋服姿の方がお馴染みかもしれない。お母さんに無理やり「おめかし」をさせられるのだが、やんちゃな子猫のことだから黙ってなんていられない。あっという間に大事な洋服をなくす話。

ところがこちらの姿は、悪いネズミにつかまって「ねこまきダンゴ」にされているシーンなのだ。もちろん目的は美味しく食べるためである。

必死の形相で助けを求めるトム。作者ビアトリクス・ポターのユーモアがいかんなく発揮されている。

引用されているのは『ひげのサムエルのおはなし』という本だ。「可愛い」だけのチョイスではなく、よくぞこのユニークなシーンを選んでくれたと拍手喝采したい。


ピーターラビットのシリーズは1冊1冊が独立した絵本で、主人公も異なるのだが、同じキャラクターが複数作品にまたがって登場する。

つまりほとんどが同じ時代、同じ場所の物語だ。実在の村が舞台になっているため、いまでも現地では作中そのままの風景が見られる。



最後に出てきたのはピーターのお父さん。


え……ピーターのお父さん? そんなキャラクター、作中には登場しない……


こ、これはー!!!


うさぎパイになって食べられた

ピーターたちの父じゃないかー!!!


お母さんのセリフ「お前たちのお父さんは、マグレガーさんの奥さんに肉のパイにされてしまった」として登場する父。ピーターたちが母子家庭である理由がそれなのだ。

うさぎは畑を荒らす害獣であり、しかも立派な食材なので、つかまえたら食べるのは当たり前なのである。Noooooo!

人間と動物たちが心を通わせる優しい世界線はどこ……? こんがり焼き上がった着色も素晴らしく、やたらと美味しそうなのがむごい!

ほかのキャラクターたちと違和感ありすぎだろー!


・ピーターラビットの魅力

小動物が出てきて冒険したりお茶会をしたりする、ほのぼのとした世界観と思いきや、「食べる」「食べられる」という自然界の法則をシビアに描いている同シリーズ。

たとえば『あひるのジマイマのおはなし』は、主人公のジマイマが悪いキツネにだまされて、アヒルの丸焼きに使う材料を集めさせられる。

『りすのナトキンのおはなし』は、老フクロウに皮をはがされそうになって尻尾を失うリスの話だ。

「見栄の張り合い」や「人づきあいのわずらわしさ」など社会の縮図のような描写もたくさん出てくる。それでいて、最後にはくすりと笑えるエンディングで人間愛も感じられる。

作者のビアトリクス・ポターは、時代が違えば学者だったろうというほど科学的な観察眼に優れていた。さらに先見性や独立心にもあふれ、農場主として事業を展開して後半生を送ったことでも知られている。

ステラおばさんのような優しい老婦人かと思いきや、村の子どもたちからは「怖かった」「厳しかった」という証言があるほど。

ときにシニカルに、あるいはユーモラスに自然界や人間界の厳しさを描く。ちょっと毒のあるところが、またピーターラビットの魅力でもある。

同アイテムは7月上旬から店頭に並んでいる。珠玉のシーンを切り取ったメーカー、株式会社SO-TAのセンスを称えたい。子どもがなけなしのお小遣いを投入してパイが出たら泣くと思うけどな。


執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

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