ファブレティックス 、リゾ監修「イッティ・バイ・リゾ」1号店を店舗内にオープン:ショップインショップの相乗効果を探る

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イッティ・バイ・リゾ(Yitty by Lizzo)を立ち上げてからわずか数カ月、アクティブウェアブランドのファブレティックス(Fabletics)は6月下旬、自社の既存店舗のひとつにイッティの最初のショップインショップを開設した。

このファブレティックス内での初のショップインショップは、ユタ州ソルトレイク郡マレーにあるファッション・プレイス・モール(Fashion Place Mall)にある。イッティ専門のショップは、マレーの店舗で350平方フィート(約32.5平方メートル)を占め、イッティのシェイプウェア商品について、もっとも人気のあるアイテムを含め、厳選された品揃えを特徴としている。ファブレティックスは、今年中にほかの3つの場所でもイッティのショップインショップを開設する計画だと語る。

「シェイプウェアとファッションへの新たな挑戦」

イッティは、あらゆるボディタイプに合わせて作られたシェイプウェアのブランドで、グラミー賞を受賞したアーティストのリゾ氏とのパートナーシップにより、4月にファブレティックスから発表された。シェイプウェアは同社の新しいカテゴリーであることから、イッティ専門のショップは、ブランドをアピールする機会であるとしている。

ファブレティックスのシニアバイスプレジデントと小売責任者を務めるロン・ハリーズ氏は次のように述べている。「ソルトレークシティは全般として、当社にとって非常に良い市場だ。当社には、この市場に居住している多くのメンバーが存在する。今年はほかにもショップを開設予定の素晴らしい場所がいくつか控えているが、そのなかでここにショップを開設した理由のひとつは、イッティをいかに早く市場に出すことができるかという点で、この場所での日程が合致したためだ」。

同社はセレブリティの支援を受けた企業で、アスレチックウェアカテゴリーで、レギンスやジョガーズ、スポーツブラに加え、ラウンジウェアや水着などの商品の販売から事業を開始した。共同創業者であるアダム・ゴールデンバーグ氏とドン・レスラー氏は、女優のケイト・ハドソン氏とともに同社を2013年に創業した。ファブレティックスは、同社が2021年に年間収益5億ドル(約680億円)に達したと語っている。昨年4月にウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)はファブレティックスがIPOを準備していると報じた。

マレーにあるイッティ専門のショップは、ファブレティックスとイッティの共同ブランドの外装看板を持つ最初の店舗となる。ショップインショップは曲面ガラスの壁によって店舗のほかの部分と区切られており、完全にインクルーシブなマネキンが設置されている。これは、異なる体型に合わせた商品を提供するという同ブランドの構想に基づいたもので、6XからXSまでの幅広いサイズを揃えている。また、デジタルディスプレイ画面、カスタムされた照明、イッティブランドの壁紙も設置されている。

立ち上げの準備として、ファブレティックスのすべての従業員は、イッティの商品についてのトレーニングも受けた。

ハリーズ氏は次のように述べている。「これは、シェイプウェアとファッションへの新たな挑戦だ。このショップは、ブランドのことを人々に周知し、最高品質で革新的な体験を顧客に与え、適切な方法でブランドを顧客に紹介する目的のために存在する」。

ショップインショップの利点

ファブレティックスは、自社の知名度を利用し、オンラインでイッティブランドを買い物客に紹介してきたが、現在ではホームページでシェイプウェアのコレクション専用のセクションを設けている。TikTokなどのソーシャルメディアプラットフォームでも、イッティブランドは発売以来大きな支持を得てきた。動画共有アプリTikTokでは、「#Yitty」タグの付いた動画が合計6500万回以上も再生されている。また、イッティはカリフォルニアのグレンデールにあるグレンデールガレリア(Glendale Galleria)というショッピングセンターにポップアップ店舗を開設した。この店舗には、商品について人々に語りかけることを任務としている専任チームを配置している。

ほかの小売業者も、ファブレティックスと同様に、自社の小売店舗でショップインショップを構築してきた。たとえばターゲット(Target)は自社拠点のいくつかにApple、アルタ(Ulta)、ディズニー(Disney)専門の店舗を立ち上げた。コールズ(Kohl’s)は自社店舗内でセフォラ(Sephora)のショップインショップの数を増やしているところだ。

コンサルティング企業のブルックスベル(Brooks Bell)のCEOを務めるグレッグ・ン氏は、ショップインショップが顧客に対して新鮮なショッピング体験になると語っている。ファブレティックスにとっては、新たな不動産を取得する経費なしに、自社の社内ブランドのアイデンティティを的確に定義する機会になる。

ン氏は次のように述べている。「店舗内に別のブランド用のストアを設けるのは、ある種のお墨付きとなる。また、これによって両方のブランドのリーチを拡大し、買い物客がこれらの小売業者を使用するときに感じるある種の評判や感覚を、はるかに深い方法で定義できるようになる」。

コンセプトの拡張性

デジタルマーケティング戦略企業のマーカシー(Markacy)のマネージングパートナーであるクリス・ジョーンズ氏は、これらのショップインショップのコンセプトに存在する大きなリスクは、両方のブランドの顧客の質や好みが類似しているかどうかだと語る。また小売業者は、インフラ構築がコストに引き合うものかどうかも評価する必要がある。

ショップインショップのコンセプトは長期的に進化していくかもしれないと、ジョーンズ氏は語っている。小売業者は自分たちが自社店舗内のショップインショップをどのように提示するか、たとえば店舗の物理的な構造などについて実験を開始する可能性がある。これには、拡張現実や仮想現実によるショッピング体験までもが含まれるかもしれない。

ジョーンズ氏は次のように述べている。「今後を考えると、ショップインショップのデザインと実装に進化を期待できる。これは我々の観点からは新しい概念かもしれないが、各種のキオスクやポップアップ店舗はここ数年で本当に普及が進んでいる」。

ハリーズ氏は、店舗の面積が許せば、可能な限り多くのファブレティックスの店舗に、今後数年間にイッティ専門のショップを引き続き開設する計画であることを語った。また同社は、ほかのブランドについてもショップインショップの開設を考えている。ファブレティックス、ジャストファブ(JustFab)、サベージXフェンティ(Savage X Fenty)はすべて、ブランドインキュベーターのテックスタイルファッショングループ(TechStyle Fashion Group)のポートフォリオのもとで運営されている。ファブレティックスは今年末までに、全世界で100店舗以上を保有することをめざしている。

同氏は次のように述べている。「このショップインショップから得られる最大の教訓は、あらゆる段階でパートナーと関与することだと考えている。リゾ氏は、話し合いが可能なあらゆる人と対話することにオープンな態度だった」。

[原文:Fabletics launches first Yitty by Lizzo shop-in-shop]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Fabletics

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