海賊版サイトへの広範な接続禁止の命令内容がCloudflareの反論で大幅修正

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海賊版ストリーミングサイトを相手取って行われた著作権侵害訴訟で、アメリカの裁判所は国内すべてのISPに対して、サービス加入者の海賊版サイトへのアクセスをブロックするよう求める広範な差止命令を出しました。海賊版サイトへの接続のブロックを求めることは権利所有者にとって当然に思えますが、この差止命令のままでは、権利所有者が適正な手続きや司法の監視なしに強力な命令を出せることを懸念してCloudflareが反論、内容が大幅に修正されることになりました。

TV Boss Threatens Mastercard & Visa Over Support For Pirate Sites * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/tv-boss-threatens-mastercard-visa-over-support-for-pirate-sites-220330/


US Court Orders Every ISP in the United States to Block Illegal Streaming Sites * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/us-court-orders-every-isp-in-the-united-states-to-block-illegal-streaming-sites-220502/

Big Tech Protests US Pirate Site Injunction “Power Grab” Against Cloudflare * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/big-tech-protests-us-pirate-site-injunction-power-grab-against-cloudflare-220617/

Broadest US Pirate Site Injunction Rewritten/Tamed By Cloudflare * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/broadest-us-pirate-site-injunction-rewritten-tamed-by-cloudflare-220704/

プロデューサーで映画投資家のMoshe Edery氏は2021年、海外に住むイスラエル人を対象としたテレビストリーミングサービス「ScreeniL」を開始。同種のサービスを許諾を得ることなく提供していた海賊版ストリーミングサービスのうち「Israel-tv.com」「Israel.tv」「Sdarot.tv」を特に悪質なものとして、ロンドン警察に通報、アメリカでは訴訟を起こしました。

Producer goes after firms illegally helping stream Israeli content abroa – The Jerusalem Post
https://www.jpost.com/j-spot/article-702654

この裁判は、最初から被告が出廷する可能性が低いため原告のEdery氏らが勝つとみられていて、2022年4月、原告が所有する51の作品について765万ドル(約1億円)を支払うようにという判決が下りました。

問題となったのは、この判決の中で示された「アメリカでサービスを提供するすべてのISPは、システムで利用可能な技術的手段により、現在知られているドメインアドレス、または将来被告が使用するドメインアドレスでのウェブサイトへのアクセスをブロックするものとする」というアクセス差止命令です。

Edery氏は複数のドメインを押収した後、Cloudflareが差止命令に従わず、2022年6月以降もIsrael.tvにサービスを提供し続けたとして、「法廷侮辱罪に問われるべきである」とニューヨーク裁判所に通知しました。

しかし、実際には「Israel.tv」のドメインはEdery氏自身が5月26日ごろに押収しており、Cloudflareはドメイン押収のタイミングでサービス停止を確認し、すでにCloudflareとして実行できるアクションはなかったと反論しました。

原告は、被告が新たなドメインをCloudflareに追加しており、差止命令では「将来被告が使用するドメインアドレスでのウェブサイト」も対象となっていることから、Cloudflareは通知を受けたときに措置を講じる必要があると主張。

Cloudflare側は「原告は、追加されたドメインのいずれかがIsrael.tvに接続されていること、あるいは被告または代理人によって所有・運営されていることを示す証拠の断片も何も提供しようとしていません。追加ドメインをカバーするために拡大された差止命令は、差止命令による救済の範囲に関する基本的な制限に違反するものです」と説明。Googleや電子フロンティア財団も「差止命令の範囲が容認できないほど広い」とCloudflareを擁護する立場を取りました。

交渉を経て、原告側は「差止命令を現在の形で執行することはできない」という申し出をしたとみられ、新たな差止命令が作られることになりました。新たな命令は裁判所の承認を待っているところで、「被告の業務に関連して使用されるサービスを提供する第三者」に対する執行に関連する権限が削除されたほか、「被告の著作権侵害ウェブサイト運営、およびホスティング」に言及されていた部分から「ホスティング」が取り除かれ、差止命令への対応として7日以内にドメインを非アクティブにする必要があったところが、命令への異議がある場合に法廷侮辱罪に問われることなく申し立てることができるようになるなどの変更が行われています。

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