居酒屋が『ちょい飲みセット』を販売することは珍しくも何ともないが、実際に頼んで “ちょい” でフィニッシュ出来ることは極めてレア。人によっては、「奇跡」と言っていいくらいの確率であろう。
では、一体なぜ人はちょい飲みセットを “ちょい” で終わらせることが出来ないのか?
原因は一概に言えないとはいえ、失敗のポイントさえ把握しておけば『ちょい飲みセット』に飲まれることは無いはず。
そんな気持ちから、私は天下一品、餃子の王将と回ってきたのだが、今回は激安焼き肉チェーン「安楽亭」である。
安楽亭の『ちょい飲みセット』は4種類用意されており、1000円が2種に1300円、1600円というラインナップ。私が狙っていたのは、最安のDセット(1000円)だ。
コースの詳細は上の画像を見ていただきたいのだが、ドリンクや料理にばかり気を取られているとしたら危険である。なぜなら、もうすでに仕掛けが始まっているのだから……。
あえて言おう。それは罠だと。では一体どんな罠なのか。以下で箇条書きにしてみよう。
罠その1:実施時間の短さ
『ちょい飲みセット』が注文できるのは平日の15時から18時まで。よって、働いている人が楽しもうとしたら、18時前には仕事を終わらせていることが条件となる。
これはハードルが高い。少なくとも私は無理である。だがどうしても安楽亭のちょい飲みを楽しみたい……! という気持ちを止められなかったので、有給を使うことにした。
本来働いている時間に飲むアルコールがどれほど美味いか。ここで説明するまでもないだろう。
罠その2:“数百円刻み” の計
先に述べたように、4種の『ちょい飲みセット』のうち1番安いのが1000円のタイプで、もっとも高いのが1600円。さらに、プラス200円で飲み放題に変更可となっている。
……よほど意思の強い人なら別だが、上のような料金設定を見ていると このような心理が芽生えてくるに違いない。
「まぁ数百円くらいなら」
これが危険! なぜなら、安楽亭は何種類もセットがあり、当然ながら、『ちょい飲みセット』よりお高めのセットも存在する。
「まぁ数百円くらいなら」という気持ちが芽生えてしまったら最後。あなたの意識が『ちょい飲みセット』よりもっと贅沢なセットに向いてしまうのは時間の問題だろう。
罠その3:食べ放題の魔力
これは「罠その2」ともリンクするが、『ちょい飲みセット』は食べ放題でも飲み放題でもない。一方で、安楽亭には1000円台の食べ放題がある。
たとえば、『ゼロ放題コース』はサイドメニューのみ食べ放題(100分)で1628円。1600円のちょい飲みセットと価格的に変わらないのだ。ここに飲み放題を付けたら天国になるな……という悪魔のささやきに耳をふさぐことが出来るだろうか?
私が思うに9割の人は無理である。なぜなら、先の「罠その1」で述べたように、『ちょい飲みセット』はそもそも時間的な制限がある。ってことは、大抵の場合それだけ頑張って店に向かっている。
仕事を速攻で切り上げ、残業を断り、あるいは私のように有給を取った人だっているかもしれない。もうその時点で、悪魔の声に耳を貸しまくっているではないか。今さら抵抗しろという方が無理な話である。
こうして……
私の場合は……
会計が予定の4倍以上になってしまったので、みなさんはお気をつけいただきたい。特に危険なのは “数百円刻み” の計。こいつはマジで厄介だ。気がついたら心のガードがガバガバになっていたことを考えれば、催眠効果があるのかもしれない。
なお、以前の記事でも述べたように、本記事は言い訳ではなく、失敗の原因と分析。私が引っかかった罠に注意しながら、楽しんでいただければ幸いだ。