殺人が急増している中米・エルサルバドル

アゴラ 言論プラットフォーム

ケサルテペケ刑務所で襲撃を受けるマラ・サルバトルチャとバリオ18のギャングメンバーたち
出典:エルサルバドル政府

2日間で87人が殺害された

人口750万人の中米・エルサルバドルでまた殺害事件が急増している。独裁者の道を歩んでいるブケレ大統領が殺害事件を減らす為に犯罪グループと密約していた。ところが最近、政府はそれを守らなくなった。そのことに犯罪グループが反発して誰かれ容赦なく殺害しているというわけだ。

この反発が始まったのは3月からで、2日間で87人が殺害されるという事件が起きた。この犯罪グループというのはマル・サルバトゥルチャ(M13)が中心的な存在だ。それに加えて、バリオ18に2つのグループが存在している。

この3つの犯罪グループを構成しているメンバーはおよそ7万人から10万人近くいると推測されている。そして彼らの内で3万1000人が現在まで収監させられている。即ち、4万人から6万人のメンバーは路上で犯罪活動を展開しているということだ。また、それに協力している市民が100万人いるみられている。

政府が密約を破っている

ブケレ大統領はこの犯罪を減少させるために犯罪グループと密かに交渉を始めていた。例えば、彼らの刑務所内での携帯電話の使用の緩和とか異なった犯罪グループのメンバーの独房に同居させるのを避けて、一つの独房には同じグループのメンバーだけにさせた。

彼らにとって携帯電話のコントロールが緩和されることが重要なのは刑務所から路上にいるメンバーに指示を出すことが容易になるということ。また一つの独房に異なったグループのメンバーが雑居するのを避けたいというのは情報が漏れやすいのを避けるというのが理由だ。

政府が密約を守らなくなったというのは、路上で活動しているメンバーと交渉することを誘っておきながら実際にはそれが彼らを逮捕して収監させる手段として政府が利用するようになったことだ。

その一方で、8割近くの市民はブケレ大統領を支持しているとされている。毎日のように犯罪グループのメンバーから恐喝されたりするのを避けたいというのが市民の願いだ。また、政府にとっても経済を発展させ、必要とあらば外国からの投資を誘うにも彼らの犯罪の撲滅が必要なのである。

2021年だと1147人が殺害されている。その前年2020年だと1341人となっている。(4月22日付「エル・エスペクタドール」から引用)。

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