中学の校区内に金閣寺があった。
中学の頃は「金閣寺=お寺その1」という認識だったが、今となっては「金閣寺=すごいお寺」である。
懐かしさと新しさを求め、通学路で金閣寺を目指した。
金閣寺は有名
幼時から父は、私によく、金閣のことを語っ……たりはしなかったけれども、金閣寺は日本を代表する文学作品になるくらいには有名だ。
金閣寺は、京都に17件ある世界遺産の中でも別格の存在だと思う。「金のお寺」で伝わるから、説明も記憶もしやすい。その存在感に金メダルを贈呈したいです。
金閣寺に向かう(観光ルート)
通学路で金閣寺に向かう前に、「金閣寺に向かう」が一般的にどういう状態なのかをデモンストレーションしたい。
観光地として向かうのが一般的だと思うので(というか今となっては私にとっても観光地だ)、オーソドックスなアクセス方法を選んだ結果、京都市バスで向かうことになった。
A→Dの道のり。A.下柏野児童公園(しもかしわのじどうこうえん)→B.バス停(乾隆校前/けんりゅうこうまえ)→C.バス停(金閣寺道)→D.黒門(くろもん)。
なお、下柏野児童公園は、通学路のルートと共通のスタート地点である。
バスを降りてすぐはそうでもないが、金閣寺に近づくにつれて京都観光の気配が強まる。ゴールの黒門へ続く交差点「金閣寺前」あたりで、その気配がピークに達した。
観光ルートで通過した金閣寺周辺は、地元の人を対象にしていない空気があった。近所なのに、近所にいる感じがしない。
家の近くでガッツリ旅行気分に浸れるというのは、ある意味すごいのかもしれない。そうさせる金閣寺は、やはりすごいのだろう。あと、金色の食べ物が当然のようにあってすごい。
通学路で金閣寺に向かう
観光ルートで金閣寺に向かった時と同じ出発地点「下柏野児童公園/しもかしわのじどうこうえん」からスタートする。通学路を使って、通っていた衣笠(きぬがさ)中学校を経由し、金閣寺に向かう。
中学の頃の記憶を頼りに通学路の雰囲気を予想すると、普通で平和な景色が展開しているはずだ。懐かしさを確かめたいのと同時に、新しいものにも出会いたい。これみよがしな金閣寺らしさなどあっても面白いと思う。
ルートはA→G。A.下柏野児童公園→B.わら天神前→C.木辻馬代(きつじばだい)→D.衣笠中学校→E.金閣寺の裏→F.きぬかけの路→G.黒門という道のり。
A→B 下柏野児童公園〜わら天神前
中学の頃は「私の通学路」ということに気を取られていたが、大人な見方をすると、いろんな人の道だとわかる。一方通行の狭い道で、多様な目的がひしめき合っている。
B→C わら天神前〜木辻馬代
マクドナルド・金閣寺店(通称:わら天のマクド)によって、金閣寺の存在感が強まる交差点が「わら天神前」。
このエリアにおける私の子供時代の思い出の8割はわら天のマクドが占める……なんて言いたくなってしまう場所だ。
大人になってわかったことがある。わら天のマクドより衣笠中学校より、同じエリアにある「立命館大学/りつめいかんだいがく」のほうが、存在感が強いということだ。
立命館大学と衣笠中学校は通学路を共有しているが、わら天神前の交差点を渡ると、立命館大学のテリトリーに入る感覚がある。
C→E 木辻馬代〜衣笠中学校
衣笠中学校までの通学路、普通か普通じゃないかだと、普通だった。金閣寺を意識している様子がなく、何か金色だったりもしない。ただし立命館大学の存在感はすごかった。あと、今だからこそ寂しさを感じたという意味では、新しいのかもしれない。
金閣小学校の通学路へ
衣笠中学校を過ぎると、金閣小学校のテリトリーに入っていく。私は金閣小学校の生徒ではなかったので、ここから先は他人の通学路となる。平たく言えば、新しい世界だ。
私が三島由紀夫の金閣寺の主人公なら「どんな認識や行為にも、出帆(しゅっぱん)の喜びはかえがたいだろう」とか語りかねない気分である。
E→D 衣笠中学校〜金閣寺の裏
D→F 金閣寺の裏〜ゴールの黒門
衣笠中学校の通学路では、特に金閣寺を感じなかった。ただし通学路を共有する金閣小学校の掲示物などから、言葉で「金閣」が迫ってくる感覚はあった。
金閣寺をタダで見たい
ここからは余談となるが、金閣寺、なんだったら金閣小学校の通学路から見えるらしい。すごいな金閣小学校……。せっかくなので見てみたい。
この道から金閣寺が見える。
通学路そのものはふつうでした
私の中学時代の通学路は、すごいかすごくないかだと、すごくない。金閣寺に近いからといって、これみよがしに金閣寺を彷彿とさせるような物も無い。
衣笠中学校より、立命館大学と金閣小学校が目立っていてすごい……と感じられたのは発見だったと思う。
衣笠中学校にたどり着いた時、懐かしさをこえて寂しくなったのは予想外だった。「通学路」というものの真価を味わえた気がする。これが大人の味だろうか。
エモくなってしまい、三島由紀夫の金閣寺の主人公きどりで「居場所じゃない場所にわざわざ行くという切ない行為によって懐かしい世界が変ぼうした。」とか言いたい気分である。
タダで金閣寺が見られるおすすめの場所
金閣寺の総門付近や左大文字(ひだりだいもんじ)が有名ですが、私は大真面目にホームページのライブカメラをおすすめしたいです。なぜなら見やすいからです。
この地球のどこからでも、生きた金閣を観察できます!