YouTubeに違法アップロードの責任を負わせる判断を裁判所が下す

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動画共有サービスには無数のムービーがアップロードされていますが、中には映画や漫画などを丸ごとアップロードしたものも存在しています。そのような海賊版コンテンツの拡散についてYouTubeなどのプラットフォーム提供者が責任を負う可能性があるとする判決をドイツの連邦最高裁判所が下しました。

YouTube and Uploaded Could be Liable For Pirating Users, Court Rules * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/youtube-and-uploaded-could-be-liable-for-pirating-users-court-rules-220602/

YouTube & Uploaded Not Liable For Pirate Uploads Advises EU Advocate General * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/youtube-uploaded-not-liable-for-pirate-uploads-advises-eu-advocate-general-200716/

YouTubeなどの動画投稿サイトには数多くの海賊版コンテンツがアップロードされており、日本でも2010年に漫画の違法アップロードが摘発されて以降、複数のユーザーが著作権法違反の有罪判決を受けています。また、2022年5月には映画を短くまとめた「ファスト映画」を公開していたユーザーに対して東宝や日活などの映画会社が5億円の損害賠償を求めており、違法アップロードによる被害の大きさが顕著になっています。

「ファスト映画」男女3人に5億円の賠償求め 映画会社が提訴へ | NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220519/k10013632481000.html


しかし、上記のような違法アップロード事件で責任を問われるのはコンテンツをアップロードしたユーザーであり、YouTubeなどのプラットフォーム提供者が責任を問われることはありません。そんな中、新たにドイツの連邦裁判所がプラットフォームの提供者に一定の責任を認める判決を下しました。

連邦裁判所の判断は、2例の裁判がもとになっています。1つ目の例はミュージシャン兼音楽プロデューサーのフランク・ピーターソン氏が「サラ・ブライトマン氏の楽曲を本人の許可なく使用可能にしていた」としてYouTubeとGoogleを訴えた裁判で、2つ目の例は大手出版社のエルゼビアがファイルアップロードサービス「uploaded.net」で「グレイ解剖学」や「Atlas of Human Anatomy」の海賊版が配布されていたとしてuploaded.netの親会社であるCyandoを訴えた裁判です。


ドイツの連邦裁判所は上記2例について判断するべく欧州司法裁判所に助言を求めました。その結果、欧州司法裁判所は「YouTubeやCyandoはユーザー同士のコミュニケーションを仲介する場を提供しているにすぎないため、コミュニケーションから生じる主要な責任は原則としてユーザーが負い、プラットフォームの提供者は責任を負わない」という予備判決を下しました。ただ、この予備判決には「ただし、権利者から苦情を受けた際に迅速に対応しなかった場合はプラットフォームの提供者に法的責任が生じる」「また、プラットフォームが著作権侵害に加担したり、著作権侵害を認識しつつ対応しなかったりすると法的責任が生じる」という例外も設けられていました。

欧州司法裁判所の予備判決を受けて、連邦裁判所「プラットフォームの提供者が海賊版コンテンツについて適切な処置を講じなかった場合、責任を問われる可能性がある」という判決を下しました。著作権やプライバシーの関するニュースサイト・TorrentFreakは「連邦裁判所の判決は潜在的な責任追及の扉を開きます」と述べ、YouTubeなどのプラットフォーム提供者に責任の一部を認めた連邦裁判所の判決を歓迎しています。

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