自販機の定番といえば、少し前までは飲料水を想像する人が多かっただろう。しかし、ここ最近の流行りはピザや寿司などといった前までは考えられないものまでも自販機で販売されている。
私の住む北海道にも自販機ブームは到来していて、自販機だけのお店が今年になってからオープンした。それがこちら、札幌市白石区にある自販機ランドだ。12号線通り沿いにあり、駐車場は2台まで建物の裏に停められるようになっている。
・有名なラーメン店など
最初に私を出迎えたのはこちらの店外にある自販機。東京で有名なラーメン店をはじめ、博多のとんこつラーメン、二郎系から家系まで、北海道では食べることのできないラーメンが自販機で買うことができるようだ。
そして次に見つけたのが……
なんと牛タン！ 80g2枚で2500円の価格だけに絶品なのだろう……と思うが、購入するまで勇気が試されそうだ。できることなら、牛タンの詳細をもっと知りたい。ほかにも宇都宮からやってきた八幡餃子というものが売られていて、北海道では物産展に行かないと買うことができないものが多い印象だ。
・話題の商品を買ってみた
次の自販機は、話題のアレ。昆虫食というフレーズは聞いたことがあるが、なるべく話題には触れないようにしていた。というのも、苦手なものベストテンに入るくらい私は虫が苦手なのだ。ここは触れないように、とりあえず店内も覗いてみる……
店内もなかなかディープな世界が広がっていそうだ。ちらりと見えるのは、お刺身、ラーメン、フロマージュの看板。自販機がたくさん並んでいることを期待してきたが、店内にはドリンク類を含めた5台の自販機と餃子製造所の無人販売が設置されていて、外の自販機を含めると自販機は合計9台だった。
とはいえ、商品の数を数えたらなかなかの数である。……と！
ここでどうしても気になる商品を発見した！
ドラクエに出て来そうなブラックスコーピオンを食べる時代がきました！！
こんなキャッチコピーはこれまで見たことがない。私の興味は一気にブラックスコーピオンとの戦いに挑む準備に入った……のだが、本日は売り切れのようだ。すでに別の勇者に討伐されたあとなのだろう。残念。
今の私にブラックスコーピオンのハードルは高すぎるというメッセージなのか。もっと優しいところから昆虫食の世界に入れというメッセージとして受け取ろう。おやゆび大のコオロギが15匹くらい入っているものが一瞬気になったが、ここは優しそうなドロップでいこう。
ドロップは3種類あって、コオロギ、イナゴ、ワームの各600円で手軽なところから昆虫食チャレンジができそう。
コオロギとイナゴの違いがわからないが、どちらも似たような系統でワームは強敵になりそうな予感しかしないから……よし！ 優しいイラストのイナゴにしよう！
こちらがイナゴドロップ
お金をいれて5番のボタンを押す
きた！
イナゴドロップ……!? ん？ ワーム？ なぜ？ 確かに私は5番を押したはずだが、
召喚されたのは、なぜかワームドロップだ！
できることなら一番出会いたくなかった対戦相手だが、出てきたものは仕方がない。不足しがちなたんぱく質の補給ができて、高カロリーで不飽和脂肪酸が豊富に含まれているらしいし……これはもう食べてみるしかない。
・昆虫食に初挑戦
もしかしたら、虫を克服した先には信じられないおいしさが待っているのかもしれない。ワームドロップを缶から取り出してみると、白い粉のついたべっこう飴のようにも見える。恐れていたワームの姿はない。
パッケージで詳細を確認してみると、商品説明にはワームパウダーの記載があるので、白い粉のようなものがワームなのだろう。実際に食べてみたいと思う。
最初に口に入れた瞬間、カニやエビの粉のような風味というか……粉っぽさが感じられる。後に続いて、ほんのりとした甘さと主張しない程度に酸味が後味を引く感じだ。ざらざらした感じが残るのが気になるものの、それ以外はとても上品で高級な飴のようだ。ふむ……これがワームか……！
こうして私の昆虫食初チャレンジは終了。昆虫食の世界の入り口に立つことができ、新たな一歩を踏み出せたのだった。この先、やってくる世界のタンパク質不足を考えると、機会を与えてくれた自販機ランドに感謝したい。強制的にワームを食べることになったけど。
何はともあれ北海道にも新しい自販機の文化がやってきた……自販機ランドのように、北海道にいながら東京や博多のラーメンが食べられたり、昆虫食を手軽に手に入れられる時代がやってきた。次回はブラックスコーピオンに挑みたいと思う。
