ロシア出禁の松川るい議員、“党内トップ3”にランクイン。一方萩生田大臣は出入り自由?

アゴラ 言論プラットフォーム

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ロシア外務省が5月4日に発表した63名の日本人無期限入国禁止は波紋を広げ、アゴラにも関連記事がいくつか掲載されました。

ロシア入国禁止の対象者リスト

ロシア政府の入国禁止リストに入った人の怒りと「落選」した人の嘆き

「冷静に考えれば、この件で日本が騒げば騒ぐほど、ロシアの思う壺なんですよね」(東野筑波大教授のツイッター5月6日より引用)という指摘もあり、確かにその通りとも思います。しかし経済制裁等を通じて、旗幟鮮明に米国およびNATO諸国側に立つ日本ですから“敵性国”ロシア側の意図を専門家が分析することは必要な基礎動作でしょう。

今ごろ取り上げても、話題としてはやや古いのですが、それはそれで落ち着いて考察できるという利点はありますので、再注目します。

松川議員は自民党内“第三席”(閣僚と沖縄北方特別委等を除く)

63名中、岸田総理や岸信夫防衛相が入国禁止に指定されるのは当然ですが、「私も?」と意外に感じた方も多かったようです。松川議員もツイッターで“なんと私がロシア入国禁止リスト14番目に!非常に不愉快です。一体どういう基準なのかわからないから。(「松川るい =自民党=」ツイッター5月5日より引用)”と表明し、意外だった様子がうかがわれます。(本当はちょっと嬉しい?:個人の感想です)

松川議員は「リスト14番目」という認識ですが、それは単に記載リストの上からカウントしての14番目です。閣僚および衆参院議長ならびに沖縄北方特別委(および日・ウ友好議連会長)を除く自民党内の役職順で並べると、「高市早苗 自民党政調会長」、「佐藤正久 自民党外交部会長」、「松川るい 自民党国防部会長代理」となり“第三席”と見ていいのではないでしょうか。

ところで松川議員は会長代理ですが、それでは自民国防部会長は誰でしょうか。ロシア問題ではちょっと“影が薄い”(すみません)ですが、一時期「核共有の議論の早期幕引き」を図ってか「議論はもう終わり」という言説が報道されていた宮沢博行議員が自民国防部会長です。

無慈悲なロシアの指名によって、プレゼンスの面で下剋上が起きてしまいました。先輩の“嫉妬”がないことを祈りますが、これは“離間の計”でしょうか。(多分違います。)

松川議員の言説はロシアにとっては痛かった?

真面目に考えると、今回松川議員がロシア側に入国禁止者として選ばれたのは、やはり侵略開始前から明確にロシア側の動向を以下の通り予見し、侵略開始後も反対の立場を鮮明に表明していたことによると考えます。

「2022年に気になること:ウクライナ情勢が他人事でない理由」
私が目下最も懸念しているのは、昨年末に緊迫化したウクライナ情勢です。これは、単にロシア対ウクライナ、ロシア対米国・NATOということではなく、仮にロシア軍がウクライナに侵攻することとなれば、事態を抑止できなかったとして(以下略)(同氏ブログ2022年1月12日より引用)

侵攻開始が2月24日ですが、年初の段階でここまで洞察し明快な立場を表明してきた議員は、他には少ないのではないでしょうか。情報として入っていても、表明するのは胆力も要るものです。なかなか豪胆な言説は誠に潔く感じます。(個人の感想)

これをロシア側から見るならば、「痛いところを衝かれた」と感じ、「意趣返しをしたい」と思ったとしても自然です。(単なる想像であり、断定ではありません。)

萩生田大臣が指定されていない

根拠のないまま他人の意図を推測しすぎると“妄想”に陥るので、事実だけを見ると重要閣僚のうち萩生田経産相が指定されておりません。

もしかして「親ロシア?」と思うのは早計で、萩生田大臣は「ロシア経済分野協力担当」でもあり、ロシアにとってはエネルギー関連でも特に重要な対話の相手ですから入国禁止措置は取らなかったと解します。

ロシア側もしっかりと「実」は残しておいたというところでしょうか。

まとめ

現在のところロシア、特にプーチン大統領は侵略による現状変更を試み、“悪魔の所業”を今も続ける国際社会にとっての“絶対悪”とされています。

そのロシア側から入国禁止者に指名されて一喜一憂する必要は全くありませんが、内閣や党内で外交や国防を担当する議員であれば、むしろ指定されないことは担当職務遂行力と存在感という点に自省すべき何かがあるのかもしれません。いずれにしても、政治家に関する限り閣僚以外では、当面ロシアに入国できないことから生ずる日本側の不利益は実質的には皆無でしょう。

ところで森裕子(立憲)さんも指定されていますが、ロシアから見ても恐ろしい人だったのでしょうか。

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