Amazon が「在庫制限」について、新たな変更を発表

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Amazonは在庫制限について、新しい特大カテゴリーや、小型および軽量プログラムの最低価格の増加など、新たな変更を加える。

同社は4月18日から、これまで運用してきた標準、サイズ超過、アパレル、フットウェアのストレージタイプに加えて、新しい特大ストレージタイプを追加した。従来の在庫でこの特大ストレージタイプの基準を満たすものは、自動的に「特大」に再分類される。また同社は4月28日から、米国における小型および軽量プログラムの最低価格を8ドル(約1020円)から10ドル(約1280円)に変更する。

eコマース大手である同社は、フルフィルメントby Amazon(FBA)の在庫制限をほとんど予告なしに変更してきた歴史がある。いくつかのサードパーティ出品者は昨年、Amazonがサイズ超過商品の最大在庫容量を25%〜60%削減したことを告知された。同社の最近の発表は、小売業者が注文に対応するためFBAを使用するとき直面する不確定性の一部を裏書きするものだ。これらの在庫制限は、出品者が特定の時点で各種商品を何ユニットまで倉庫に送ることができるかを決定するものなので、在庫制限が変更されると、出品者が十分な商品を在庫できるかどうかに影響を及ぼす。

変更の裏にある狙い

Amazonは発表で次のように述べている。「各出品者のFBA数量制限は、特大アイテムとサイズ超過アイテムについて別々に決定される。この決定は、出品者の過去の販売数と、将来予測される販売数に基づいて決められ、フルフィルメントセンターの容量に従って調整される」。

同社は、新しいストレージタイプが追加された理由について説明していないが、これにより出品者は大きな商品について在庫や数量制限をより「柔軟に」管理できるとしている。しかし、Amazonで出品者の販売の最適化を行っている企業のサプライキック(SupplyKick)によれば、より多くの商品を販売しながら倉庫の占有容積が少ないブランドのために、在庫容量を空けるのが目的だという可能性がある。

サプライキックのCEOを務めるクリス・パーマー氏は4月19日に、新しい特大カテゴリーの追加は「今朝からはじまり、当社はエアーコンディショナーのような主要なアイテムや、より大きなアイテムを入庫できなくなった」と、米モダンリテールに語った。

サードパーティ出品者の声

Amazonは、小型および軽量の商品についてのFBA変更により、さらに多くの商品がプログラムの対象となり、フルフィルメントの割引を得られるとしている。プログラムのほかの要件は、重量制限や商品の寸法も含めて、変化していない。小型および軽量プログラムの条件を満たす商品は、低いフルフィルメントコストで提供可能だ。

多くのサードパーティ出品者が、注文に対応するためAmazonのFBAを利用している。ジャングルスカウト(Jungle Scout)によれば、68%はFBAのみを使用しており、21%はFBAとフルフィルメントbyマーチャント(FBM)を併用している。

パンデミックがもっとも激しかった時期に、たとえば必需品以外のアイテムの配送を一時的に受け付けるなど、AmazonはFBAに多くの変更を加える必要があった。同社は過去数年間に、出品者が自社の倉庫にどれだけの在庫を同時に送付できるかなど各種の変更も加えており、これらは多くの場合、出品者の業績に応じて異なっていた。

業界誌マーケットプレイスパルス(Marketplace Pulse)の創設者であるジョーザス・カジウケナス氏は、FBAの変更が出品者にどのような影響を与えたかについて、「過去のAmazonのフルフィルメントは、出品者が使用できる、はるかに予測しやすいサービスだった」と、以前米モダンリテールに語った。「しかし今日では、数量制限と配送時間についての不確定性が非常に大きい」。

在庫制限の変更は、Amazonがサードパーティ小売業者から受け取るこれまでの料金に5%の燃料およびインフレ割増金を加算することを発表してから、わずか1週間後に行われたものだ。Amazonはこの追加料金により、フルフィルメント手数料率が平均で0.24ドル(約30.7円)増加すると、米モダンリテールに語った。Amazonの第4四半期の決算発表で、サードパーティ出品者サービスからの実売上は前年比で11%増加し、303.2億ドル(約3兆8800億円)に達した。

[原文:Amazon announces new changes to inventory limits]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:猿渡さとみ)

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