郵便受け争奪戦、勝ち抜けを狙う D2C ブランドの奇策とは:「批判されても型破りのほうがいい」

DIGIDAY

Facebookとインスタグラムへの依存度を軽減するため、広告ミックスの多様化を図るD2Cブランドが増えている。当然、移行先のチャネルは混み合う一方だ。

そうしたなか、一部のブランドはダイレクトメール、ポッドキャスト、OOHを活用して、他社より目立つ方法を模索している。寝具そのほかのライフスタイル製品を扱うパラシュート(Parachute)も、メディアミックスの多様化をめざすD2C企業のひとつだ。その取り組みの一環として、最近発行した商品カタログの表紙に、寝室のカーペットを泥だらけにしながら観葉植物の植え替えをする女性の写真を採用した。

それらしい絵柄より、奇抜な構図を

(受信メールの比喩ではなく、文字通りの)郵便受けにあふれる同じような商品カタログのなかで、ひときわ目を引く1冊をめざした結果、「いかにもそれらしい絵柄よりも、遊びのある奇抜な構図」を選択したと、パラシュートの創業者であるアリエル・ケイ氏は説明する。SNSなどで話題を提供できれば、とも期待しているようだ。

「長年、カタログには予算をかけてきた」とケイ氏は話す。パラシュートは少なくとも2018年からダイレクトメールを活用して広告ミックスの多様化を図ってきた。「ここ半年、あるいは9カ月くらいの傾向として、多くのブランドがカタログの発行部数を増やしている。おかげで、郵便受けがカタログであふれるようになった」。

D2Cブランドがメディアミックスの多様化を進めるに伴い、郵便受けには商品カタログが集まりだした。しかもその多くがライフスタイルブランドや家庭用品のブランドだという。パラシュートのマーケティング部門に所属する14人の部員たちは、社内での話し合いを重ね、ほかより抜きん出る道を模索してきたと、ブランドおよびマーケティング担当バイスプレジデントのフージャン・ヴォルク氏は打ち明ける。

「ライフスタイルブランドを志向する我々が、もっと意味のある方法でブランド認知を強化するにはどうするべきか。誰かの郵便受けに詰め込まれた10冊を超える商品カタログのなかで、注目される1冊になるにはどうすればよいか」とヴォルク氏は問いかける。「カタログを開いてもらうには、まずは彼らの興味を引くことが先決だ」。

「話題にならなければ、誰からも注目されていないのと同じ」

パラシュートのマーケティング予算に占めるダイレクトマーケティング(電子メール、ダイレクトメール、音声広告など)の割合はおよそ12%だ。残りの広告予算はFacebook、インスタグラム、ストリーミングプラットフォームへの出稿、アフィリエイトマーケティング、およびTikTokなどの比較的新しいチャネルに充てられる。予算の内訳は公開されていない。

調査会社のカンター(Kantar)によると、パラシュートが2021年に支出した媒体費は2190万ドル(約28億円)で、2020年の260万ドル(約3億3000万円)から大きく増えている。ただし、カンターはSNS関連の支出を追跡していないため、この数字にはソーシャルメディアへの支出は含まれていない。

多くのチャネルが飽和状態に陥り、商品カタログで広告の多様化を図るD2Cブランドが増えるなかで、他社よりも目立つ方法を見つけることはどのブランドにとっても死活問題だ。メタフォース(Metaforce)の共同設立者でブランドコンサルタントのアレン・アダムソン氏はそう指摘する。家庭用品を扱うブランドは、完璧に整えられた理想的なマイホームを描きがちだが、「必要なのは型通りではなく、型破りであることだ」と同氏は話す。

「批判であれ賞賛であれ、ソーシャルで話題にならなければ、誰からも注目されていないのと同じだ。それならば、多少批判されても型破りのほうがよい。批判されるということは、少なくとも注目されているということだ」。

ケイ氏によると、パラシュートは今後もマーケティングミックスの多様化を継続する意向という。ブランドアンバサダー制度やTikTokを試しつつ、広告やマーケティングを通じて「心に響くストーリー」を発信するという。「物語を語ることで、常に話題を提供しつづけたい」。

[原文:‘Mailboxes crowded’: How DTC brand Parachute is looking to stand out with ‘whimsical’ brand imagery as more brands diversify with direct mail

Kristina Monllos(翻訳:英じゅんこ、編集:分島翔平)

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